立東舎文庫は、音楽書の刊行で有名なリットーミュージックが2年ほど前に創刊した文庫です。
これが、かなりすごいラインナップで、文庫売場で眺めるたびに「これは……全部揃えるべきか?」と考え込んでしまいます。
歴史的なことをいえば、この手の文庫は数年で消えます。いや、頑張ってすばらしい本を出し続けているリットーミュージックには悪いのですが、昔のサンリオSF文庫とか、あるいは大手出版社から出ていた旺文社文庫とか福武文庫とか、そんなの感じの「後の世で伝説になる文庫」という雰囲気がプンプンしているのです。

これまでの主なラインナップは以下のとおりです。


80年初頭に一世を風靡した「なめねこ」。当時幼稚園児だった筆者も、なぜか、なめねこの下敷きを使っていた記憶があります。
あれだけブームになったのに、今や手に入る本はこれだけ。貴重な復刻です。


団鬼六の自伝。幻冬舎アウトロー文庫に収録された『蛇のみちは』と同じ本ですが、断然、こっちのタイトルのほうが良い!
団鬼六は、実に波乱万丈の人生を送っており、小説以上の面白さです。



月と幻想科学 (立東舎文庫)
荒俣 宏・松岡正剛


古代金属国家論 (立東舎文庫)
内藤 正敏
リットーミュージック
2016-11-18

いずれも、松岡正剛の若かりし頃の著書を復刻したものです。



杉浦日向子の師匠としても有名な、稲垣史生による歴史人物評エッセイ。


定本 薔薇の記憶 (立東舎文庫)
宇野 亜喜良
(今月刊行予定)

今さら、少女趣味全開のラインナップ。


これも少女趣味の一環でしょう。








手塚治虫関連も次々出ていますが、「小説集成」「エッセイ集成」「シナリオ集成」は文庫オリジナルの編集で、ファンには貴重な内容です。「シナリオ集成」は、シノプシスまで含めた「全集」といってよい内容です。

この他にもリットーミュージックの本業である音楽関係(主にロック)の本もいろいろ出ていますが、音楽に疎い筆者には価値がよくわかりません。しかし、ファンにはきっと重要な本だらけなんだろうと思います!

いずれにせよ、数年後には「あの時やっぱり買っておけば……」と思うことが確実な本ばかり出していますので、今後も要注目です。