備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

大河ドラマ原作

NHK大河ドラマ原作紹介 昭和63年~平成4年

大河ドラマ原作紹介、第6回です。
今回も原作があるものはロングセラーばかりです。

第26作 武田信玄 1988年(昭和63年)

原作:新田次郎『武田信玄』
新田次郎は山岳小説で有名ですが、甲斐・信濃の地形や気象に精通しており、この「武田信玄」をライフワークと語っています。徹底した取材に基づいて、史料にできる限り忠実な内容を目指したという、記録文学のような趣きの小説となっています。
武田信玄の合戦は、信長や秀吉などとは全く異なります。融通無碍、変幻自在とでも言うべきか、三国志の武将のように、人間の心理を手玉に取った神話のような戦いが続き、驚かされます。
この精神を受け継いだのが、真田昌幸、幸村の親子ではないかという印象があります。昨年の「真田丸」でも、昌幸は最期まで信玄への想いが途切れなかった、と描かれていました。
大河ドラマの「武田信玄」でも、個人的に最も印象に残ったのは、橋爪功が演じていた真田幸隆(昌幸の父)でした。
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第27作 春日局 1989年(昭和64年~平成元年)

原作:原作なし

第28作 翔ぶが如く 1990年(平成2年)

原作:司馬遼太郎『翔ぶが如く』
「花神」以来、13年ぶりの司馬遼太郎原作です。西郷隆盛と大久保利通の友情を描いた原作は全10冊もありますが、物語は明治に入った時期からスタートします。ドラマは幕末編と明治編との二部構成でしたが、原作に沿っているのは後半の明治編のみということになります。
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第29作 太平記 1991年(平成3年)

原作:吉川英治『私本太平記』
吉川英治の原作は、戦後の大作「新・平家物語」につづいて書かれたもので、晩年の作品となります。
新潮文庫が「新・平家物語」を一冊ずつ刊行してくれたのが非常に読みやすかったので、続けて「私本太平記」も出してくれないかな、と待っていますが、その気配はありません。諦めて講談社版で読もうかと考えているところです。
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第30作 信長 1992年(平成4年)

原作:原作なし
原作はありませんが、ルイス・フロイスの視点から描いた信長、という設定のドラマでしたので、強いていえばフロイスが残したとされる「日本史」が原作になるでしょうか。強いていえば、ですが。
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NHK大河ドラマ原作紹介 昭和58年~昭和62年

NHK大河ドラマ原作紹介の第5回です。超大作の原作が並びます。
この時期は3年続けて現代劇が放映されました。筆者は小学生の頃、両親に付き合って見ていましたが、「いのち」は子どもには退屈で退屈で……という記憶しかありません。時代劇が復活した翌年の「独眼竜政宗」が、大河ドラマ史上最高の視聴率を記録したのもむべなるかな。
一方、太平洋戦争を描いた「山河燃ゆ」は未だにテーマ曲を聞くと体が熱くなるくらい、大好きでしたが。

第21作 徳川家康 1983年(昭和58年)

原作:山岡荘八『徳川家康』
割と厚めの文庫で全26冊もあり、Wikipediaによれば、世界で最も長い小説としてギネスブックにも登録されているという山岡荘八のロングセラーが原作です。筆者は読んでいませんが、死ぬまでには挑戦したいとずっと思っています(しかし、これを読む時間を使って、ほかにどれだけ本が読めるのだ、ということを考えるとなかなか踏み切れません)。
筆者が大河ドラマを見始めたのはこれが最初でした。

第22作 山河燃ゆ 1984年(昭和59年)

原作:山崎豊子『二つの祖国』
山崎豊子の「二つの祖国」を原作とした、大河ドラマ現代編第一弾です。松本幸四郎、沢田研二、柴田恭兵と、かっこいいおじさんがたくさん出てくるので、小学生だった筆者は夢中で見ていました。存命中だった昭和天皇が登場する回では、我が家のお茶の間が騒然となった記憶があります。
原作は、山崎豊子の代表作の一つとして現在ももちろん版を重ねています。
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第23作 春の波涛 1985年(昭和60年)

原作:杉本苑子『冥府回廊』『マダム貞奴』
明治の開化期を舞台に、川上貞奴、川上音二郎、福沢桃介らの青春劇。
杉本苑子による原作はいずれも絶版で電子書籍もありません。この原作以上に有名なのは、別の作家が自著の記述から盗用していると裁判になった著作権侵害事件(いわゆる「春の波涛」事件)です。
ずっとDVD化されなかったため、この事件によって封印されているのかと思っていましたが、来月(2017年2月)にDVDが発売されるとのことです。
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また、「春の波涛」事件については、こちらの本で詳しい経緯を知ることができます。
〈盗作〉の文学史
栗原 裕一郎
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第24作 いのち 1986年(昭和61年)

原作:原作なし

第25作 独眼竜政宗 1987年(昭和62年)

原作:山岡荘八『伊達政宗』
久しぶりの時代劇ということもあってか、大河ドラマ史上最高視聴率を記録したドラマです。本編が始まる前に解説コーナーが挿入されたり、子役が人気者になったりと、現在の大河ドラマのフォーマットがスタートした作品でもあります。
原作は山岡荘八の「伊達政宗」。小学生だった筆者は、ドラマを見つつ原作にも挑戦してみましたが、
・全く原作に忠実ではない。(ドラマの方が遥かに面白い)
・小学生には意味のわからない色っぽいシーンが多い。
という理由で、全8冊中2冊くらいでやめてしまいました。
同時に、あかね書房から出ていた子ども向けの伝記シリーズでも「伊達政宗」を読みましたが、こちらの方は「あれ?」と思うくらい、ドラマと全く同じ内容でした。まあ、ドラマにあわせて出された本のようなので、今考えればそうなるのは当然かもしれませんが。
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あかね書房
1981-05-30
(こちらは図書館の児童図書コーナーで、今もよく見かけます)
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NHK大河ドラマ原作紹介 昭和53年~昭和57年


大河ドラマ原作紹介の第4回目です。今回紹介する時期は「獅子の時代」「おんな太閤記」と原作なしが二年続くので、あまりご紹介できるものがありません。

第16作 黄金の日日 1978年(昭和53年)

原作:城山三郎『黄金の日日』
三谷幸喜が、大好きだったとあちこちで発言しているドラマで、昨年の「真田丸」には、松本幸四郎が呂宋助左衛門役で登場しました。
原作が城山三郎となっていますが、ドラマ制作と並行して執筆されたもので、実質的にはノベライズのようなものです。とはいえ、現在に至るまでロングセラーとして版を重ねています。
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第17作 草燃える 1979年(昭和54年)

原作:永井路子『北条政子』
この頃は、石坂浩二が「大河ドラマの顔」という印象がありました。前半は石坂浩二演じる源頼朝が主人公、その死後は岩下志麻演じる北条政子が主役となります。
原作は今は文春文庫に収録され、版を重ねています。
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第18作 獅子の時代 1980年(昭和55年)

原作:原作なし

第19作 おんな太閤記 1981年(昭和56年)

原作:原作なし

第20作 峠の群像 1982年(昭和57年)

原作:堺屋太一『峠の群像』
忠臣蔵を現代的に捉え直したとして話題になったドラマ。この原作も、ドラマ制作とほぼ同時に執筆された小説です。単行本はNHKの出版部門である日本放送出版協会(現在のNHK出版)から全3冊で発行され、のちに文春文庫に全4冊で収録されました。
現在はいずれも品切れしており、また電子書籍にもなっていないため、古本を探すしかありません。
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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
ブログ更新通知:https://twitter.com/squibbon19

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