先日、一家で京都の東映太秦映画村へ行ってきました。
映画村といえば改めて紹介するまでもない、京都を代表するテーマパークで、やはり子ども連れの客が目立ちますが、実は筆者のような東映ファン向けの施設でもあります。
「子どもが一緒だとゆっくりできないから、一人で改めて行きたいな」と思ってしまうくらい、楽しい場所です。
今回は、そんな視点から映画村の魅力をご紹介したいと思います。
なお、筆者が映画村へ行ったのは4年ぶりですが、この記事では前回の訪問と今回の訪問の写真が入り混じります。
まずは、映画村周辺から。
今回は車で行ったのですが、前回は電車で行きました。便利なのは、京都駅から山陰本線に乗り太秦駅で降りるルートですが、映画村へ向かう途中、京福電鉄撮影所前駅の脇にある踏切を渡ります。
4年前の踏切の風景ですが、この頃はまだここに「河端病院」が建っていました。
東映好きの方なら、「あ、この病院!」と見覚えがあることでしょう。
そう、数多のヤクザが担ぎ込まれ、さまざまな襲撃事件が起こり、赤ん坊まで生まれたりしていたアノ病院です。
東映京都撮影所で撮影された映画に病院が登場するときは、必ずこの外観が映っていました。
今は病院が移転してしまい(50年前の映画にも出てくるので、さすがに老朽化でしょう)、残念なことに更地になっていますが、この建物は歴史的な記念物として保存しておいても良かったのでは、と思います。取り壊し前に写真を撮れたのがせめてもの救いでした。
そして、踏切を渡って映画村の方向へずんずん歩いていくと、出ました!
東映京都撮影所です。これまた、映画のメイキング映像や、あるいは深作欣二監督の松竹映画「蒲田行進曲」で見覚えのある光景です(「蒲田行進曲」は松竹の製作ですが、東映京都撮影所が舞台で、東映の深作欣二が監督しました。プロデューサーを務めた角川春樹の力技)。
周辺のことを言えば、すぐ近くにある「大映通り」には「仁義なき戦い」一作目で村岡組本部として登場する屋敷が現存することで有名ですが、いろいろなヤクザ映画でロケに使われた場所が点在しています。
映画村の門をくぐるまでは、撮影所の中を歩いているような雰囲気で気分が盛り上がります。
というわけで、中へ入るまでにずいぶん手間取りましたが、映画村はそもそもは撮影所のオープンセットをそのまま観光客向けに公開するというコンセプトでスタートしており、主に時代劇用のセットが立ち並んでいます。
ところがこのセット、今回の訪問の際はエライことになっていました。
そう、大阪・京都・兵庫に甚大な被害をもたらした台風21号です。
映画村にもかなり被害が出ており、各所で復旧作業中でした。
スタジオの壁は剥がれ落ち……
吉原通りの屋根はすべて吹き飛んでました。
というわけで、見学できない施設がいくつかありましたが、大道具さんたちの作業を見物できたのは拾い物でした。
妻は「映画村の建物はやっぱりハリボテってこと?」と言ってましたが、確かに映画のセットだから台風に弱いのはやむを得ないことなのかもしれません。オープンセットなので屋内のセットよりは頑丈に作っていると思いますが、ふつうの建物ほどの強度は無いのでしょうか。
台風の被害がさんざん報道されたせいか、休日だというのに園内はかなり空いていました。
前回はギューギュー詰めで見て、握手にはとても並ぶ気になれなかった仮面ライダーショーも客席は閑散としてビックリ。
9月から始まった「仮面ライダージオウ」の握手会は、最後尾に並んだのに、2~3分で順番が回ってきました。
そう、東映といえば「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」ですが、園内のアトラクションは忍者がテーマになったものばかりで、東映の最大の稼ぎ頭である特撮もののアトラクションはありません。
これは察するに、特撮作品を制作しているのが京都撮影所ではなく、東京撮影所だからでしょう。
東映京都撮影所は昔から時代劇を量産しており、時代劇の人気が下火になってからは任侠映画を量産しました。また、現代においてもテレビ時代劇の制作を請け負ったりしています。
このため、時代劇についての人材やノウハウは豊富で、アトラクションも楽に作れるのでしょうけれど、特撮作品となると「京都撮影所らしくない」という判断が働いてしまうのではないでしょうか。
それはともかく、アトラクションはありませんが、歴代のライダーや戦隊を展示しているコーナーはあり、ルパンレンジャーが大好きな子どもたちは大喜びでした。
ここでは筆者もパパの顔になって写真を撮りまくっていたわけですが、一方では、子どもの頃から気になっていた「デンジマン」の頭にきらめいているデンジメカがどうなっているのか、これを間近で見られたため、そっちの写真も撮ってきました。
やっぱり、歴代戦隊のなかで、最も見入ってしまうデザインはコレですよね。
映画村のなかには、完全に大人向けの施設、「映画文化館」という建物もあります。
ここの中では、日本映画の歴史が展示されています。
東宝の円谷英二や黒澤明の展示もありました。
この辺は、子どもがいないときに再訪したい場所ですね。
そんなわけで、大人も子どもも楽しめる場所が映画村です。
ちなみに、この記事をここまで読んでこられた方にはどうでも良い情報かと思いますが、映画村は弁当の持ち込みが可能で、広大な屋内無料休憩所もありました。
弁当を食べられる場所がどうなっているのか、事前によくわからなかったのですが、次回、映画村へ行くときはガッツリと弁当を持参したいと思います。(ブログのタイトル通り、備忘のための記事です)
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