当ブログで紹介するまでもない、井上靖の名作「しろばんば」。
筆者も高校生の頃に初めて読んでから大好きな小説で、「夏草冬濤」、「北の海」へと至る三部作をこれまでに何度も何度も繰り返し読んでいます。
そんなわけで、今回は「しろばんば」に登場する景色をGoogleストリートビューで巡ってみます。
「しろばんば」は井上靖の自伝的小説であり、おおむね実体験に基づいて話が進んでいきます。「幼き日のこと」などのエッセイを読むと、思っていた以上に創作の部分が多いようで驚きますが、舞台地についてはだいたい現実に即しているようです。

といっても、筆者は実際に現地を訪れたことはありません。
当ブログでストリートビューを使って舞台めぐりをする記事は、これまでいずれもある程度の土地鑑があるところばかり選んでいましたが、今回はリアルでは全く未知の土地なので、おかしなところがあるかも知れません……と一応、お断りしておきます。
それから、湯ヶ島での井上靖の足跡はだいたいこちらのサイトで教えてもらえます。
伊豆市観光協会天城支部 天城温泉郷観光ガイド
今回の記事の元ネタはだいたいこちらです。

さて、まずは洪作がおぬい婆さんと住んでいた土蔵の跡地。


土蔵から目と鼻の先に母の実家である「上の家」があります。


向かいは友人・幸夫の実家が営んでいた金物屋でしたが、2018年現在は更地になっているようです。本記事執筆時点でストリートビューを見ると、角度によっては2012年に撮影された画像が表示され、そこにはまだ金物屋が写っています。ストリートビューの表示ではいずれ消えそうなので、スクリーンショットも。
金物屋

馬車の駐車場跡。


かつて小学校があった場所は郵便局になっているようです。



次に湯ヶ島から出て、沼津へ。
「夏草冬濤」ではこちらがメインの舞台となります。
かみきの家はこの通り沿いにあったようです。


洪作が初めて海を見た、千本浜の写真もGoogleにアップされていました。


というわけで、「しろばんば」を読んでいて印象的な風景をいくつか探してみました。
それにしても、小説に登場する湯ヶ島は本当にとんでもないド田舎ですが、100年経った今はずいぶん開けています。その中に、上の家などが当時のままで建っているのは、なんとも不思議です。