15年以上前になりますが、ちくま文庫には探偵小説のアンソロジーが色々と収録されていました。
今はほとんどが店頭から消えてしまいましたが、日下三蔵氏の編集による非常に良質な、まさに「傑作選」「名作選」と名づけるにふさわしい内容でした。
今回は、最初に刊行された「怪奇探偵小説傑作選」全5冊をご紹介します。
個人的には、「横溝正史集」が最もお気に入りです。
むろんのこと、収録作品のほとんどは角川文庫版ですでに読んでいましたが、目次を眺めるだけで溜息が出るくらいに、本当に傑作ぞろいの見事な短編集となっています。
巻によっては、その作家について書かれたエッセイも収録しており、高木彬光が語る横溝正史、都筑道夫が語る久生十蘭など、こちらも興味深い内容です。
以下、目次をご紹介します。
『怪奇探偵小説傑作選 1岡本綺堂集』
青蛙神
利根の渡
兄妹の魂
猿の眼
蛇精
清水の井
窯変
蟹
一本足の女
黄いろい紙
笛塚
竜馬の池
木曽の旅人
水鬼
鰻に呪われた男
蛔虫
河鹿
麻畑の一夜
経帷子の秘密
慈悲心鳥
鴛鴦鏡
月の夜がたり
西瓜
影を踏まれた女
白髪鬼
解説(日下三蔵)
『怪奇探偵小説傑作選 2横溝正史集』
面影双紙
鬼火
蔵の中
貝殻館綺譚
蝋人
山名耕作の不思議な生活
双生児
丹夫人の化粧台
妖説血屋敷
舌
面
誘蛾燈
湖畔
孔雀屏風
かいやぐら物語
続・途切れ途切れの記
解題
淋しさの極みに立ちて
選者の言葉(高木彬光)
解説(日下三蔵)
『怪奇探偵小説傑作選 3久生十蘭集』
黒い手帳
湖畔
月光と硫酸
海豹島
墓地展望亭
地底獣国
昆虫図
水草
骨仏
予言
母子像
虹の橋
ハムレット
久生十蘭──『刺客』を通じての試論(都筑道夫)
刺客
解説(日下三蔵)
『怪奇探偵小説傑作選 4城昌幸』
脱走人に絡る話
シャンプリオオル氏事件の顛末
秘密を売られる人々
妄想の囚虜
宝石
月光
晶杯
七夜譚
神ぞ知食す
此の二人
罪せられざる罪
吸血鬼
良心
宝石匣
恋の眼
宝物
七人目の異人
面白い話
夢見る
ハムレット
宿命
もう一つの裏
桃源
影の路
分身
実在
解説(日下三蔵)
『怪奇探偵小説傑作選 5海野十三集』
電気風呂の怪死事件
階段
恐ろしき通夜
振動魔
爬虫館事件
赤外線男
点眼器殺人事件
俘囚
人間灰
顔
蠅
不思議なる空間断層
盲光線事件
生きている腸
三人の双生児
「三人の双生児」の故郷に帰る
盲光線事件(脚本)
解説(日下三蔵)
おすすめ
前回に続き、現在刊行中の新訳「水滸伝」(講談社学術文庫)を読みながら、メモとして作成しているあらすじと登場人物です。赤字は百八星の初登場回です。
第五十一回 插翅虎枷打白秀英 美髯公誤失小衙内
登場人物:宋江、王矮虎、扈三娘、雷横、晁蓋、呉用、朱仝あらすじ:梁山泊では仲間が増えた宴が広げられ、宋江は王矮虎に扈三娘を娶らす。そして、晁蓋、呉用と共に全員の役割分担を決める。朱貴の居酒屋を訪れたのは雷横だった。宋江は梁山泊入りを勧めるが、雷横は丁重に断り、帰っていった。雷横は?城県へ帰ると李小二にさそわれ、白秀英の芝居を見にいく。ところが、芝居小屋で暴れてしまい、白秀英に訴えられて役所へ連行される。枷をはめられた雷横を挟んで雷横の母親と白秀英とが喧嘩をはじめ、怒った雷横は白秀英を殺してしまう。雷横は裁判にかけられる。牢役人はなんと朱仝だった。朱仝は雷横を逃し、このことにより滄州へ流刑となる。しかし、朱仝は滄州では牢へ入れられず、役所の仕事を手伝うようになる。そして、長官の五歳の坊ちゃんに懐かれ、面倒を見るようになった。そんなある日、坊ちゃんと祭へ行くと、雷横と出くわした。雷横は梁山泊へ入り、宋江へ事の経緯を伝えたため、朱仝も梁山泊へ迎えようと呉用が使わされたのだった。ところが、同行していた李逵に坊ちゃんが殺されてしまう。怒った朱仝は李逵を追い、ある屋敷へたどり着く。そこは柴進の屋敷だった。そこで聞かされた話は、朱仝をなんとしても梁山泊へ迎えるため、呉用と雷横とが李逵に坊ちゃんを殺すよう指示していたのだった。朱仝は話を聞き、梁山泊へ入るためにはある条件があると言う。
第五十二回 李逵打死殷天錫 柴進失高唐州
登場人物:朱仝、柴進、李逵、柴皇城、高廉、呉用あらすじ:朱仝の条件は李逵を殺すことだった。李逵は指示を受けて殺しただけだと反論し、柴進は李逵を屋敷へとどめて、呉用たちと梁山泊へ行けばよいと勧める。宋江はすでに朱仝の家族を梁山泊へ迎え入れているということだった。朱仝は梁山泊へ入った。柴進の屋敷で李逵が暮らすようになってしばらく経った頃、高唐州に住む柴進の叔父・柴皇城から病に伏せていると手紙が来た。州の長官・高廉は高?の従兄で、やりたい放題しており、その義弟の殷天錫は叔父の花園を取り上げようとしていた。柴皇城からその話を聞いた李逵は殷天錫を殴り殺してしまう。李逵は逃げるが、柴進は捕まり、牢でひどい目に遭う。逃げた李逵は梁山泊へ助けを求める。梁山泊は三千人の軍隊を高唐州へ向かわせる。高廉は妖術を使って梁山泊軍を撃退する。宋江も妖術で対抗するが、何度も敗退してしまう。すると、呉用がある人物を呼ぶよう提言する。
第五十三回 戴宗智取公孫勝 李逵斧劈羅具人
登場人物:宋江、呉用、戴宗、李逵、公孫勝、羅真人あらすじ:呉用は妖術を打ち破るためには公孫勝を連れくる必要があると訴えた。神行法の使い手、戴宗が李逵を伴に連れて公孫勝を探しに行くことになった。神行法を使うときは生臭いものを食っては行けないのに、李逵は言いつけを守らず、道中で酒や肉をこっそり食っていた。それに気づいた戴宗は李逵の足が止まらないようにいたずらの術をかける。そんなこんなの騒動を起こしつつ、公孫勝を居所を探り当てた。しかし、公孫勝は老母の面倒と、師匠の羅真人との関係を理由に梁山泊行きを断る。李逵は公孫勝が羅真人ばかり気にかけていることに腹立て、夜中に羅真人の道場を尋ねるとまさかりで叩き切ってしまった。すると、首からは白い血が流れた。翌日になると、羅真人は何食わぬ顔で道場に座っていた。羅真人と思っていたのはひょうたんで、妖術によって騙されていたのだった。李逵は妖術によってさんざんなお仕置きを受ける。
第五十四回 入雲龍関法破高廉 黒旋風探穴救柴進
登場人物:公孫勝、羅真人、李逵、湯隆、宋江、高廉、高?、呼延灼あらすじ:羅真人は公孫勝へ秘術を授けると、山から降りることを許した。戴宗は神行法で一足早く梁山泊へ帰っていき、公孫勝と李逵は二人で旅をした。居酒屋で休憩している時、李逵が一人買い物に出ると、道端でハンマーを振り回す芸をしている大男がいた。李逵はその芸を見かねて、ハンマーを手に取ると、弾丸のように操ってみせた。大男は平伏し、鍛冶屋の湯隆と名乗った。李逵は湯隆を弟分とした。三人が梁山泊へ合流すると、宋江は兵を出した。高廉はまた妖術で挑もうとしたが、公孫勝がその術を破り、大勝した。高廉は近隣の二州の長官へ救援を求めた。二州の軍が到着すると、宋江たちは逃げた。高廉は宋江を追って細い道へ入り込み、ふと気づくと周囲を梁山泊軍に包囲されていた。こうして高廉は最期を迎えた。さっそく柴進の牢へ救出に向かうと、柴進は牢番の差配で井戸の中へ匿われているが生死はわからないという。李逵が井戸のしたへおり、無事に柴進を救い出した。一方、高?は従兄の高廉が殺されたことを知ると、討伐軍の将として呼延灼を派遣する。
第五十五回 高太尉大興三路兵 呼延灼擺布連環馬
登場人物:呼延灼、韓滔、彭?、凌振、宋江、呉用、湯隆あらすじ:呼延灼は援軍として韓滔、彭?を呼び寄せた。準備が整うと、三軍は梁山泊目指して出発した。しかし、彭?は生け捕りされた。呼延灼と韓滔とは連環馬軍で一気に梁山泊軍を攻め立て、宋江たちは梁山泊へ逃げ帰った。高?は梁山泊の砦を落とすため、砲術の名手である凌振を呼び寄せる。さっそく、凌振は梁山泊を砲撃し、小さな砦を破壊した。呉用は策を練り、まず凌振を生け捕りにした。凌振にも梁山泊の仲間になるよう勧めると、都に家族を残しており、それが心配だという。宋江たちは家族を救い出すことを約束し、宴会を始める。連環馬軍をいかに破るかみなで悩んでいると、湯隆が名案があるという。
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第四十七回 撲天雕双修生死書 宋公明一打祝家荘
登場人物:楊雄、石秀、杜興、扈三娘、李応、石勇、晁蓋、宋江、呉用、李逵あらすじ:大男は楊雄の義兄弟・杜興だった。独龍岡には三つの村があり、それぞれ祝家荘、扈家荘、李家荘という。祝家荘は祝氏三傑と呼ばれる兄弟が降り、扈家荘には扈三娘という娘の英雄がいる。杜興は李家荘の李応に仕えていた。杜興は祝家荘から時遷を解放してもらうと、李応へ掛け合う。李応は祝氏へ手紙を書くが、解放を拒絶される。李応は祝家荘へ攻め込むが、敗れてしまう。楊雄と石秀とはやはり梁山泊へ入り、助けを求めることにする。途中、二人は石勇と出会い、梁山泊へ案内してもらう。晁蓋はこそ泥をはたらいた時遷とその仲間を軽蔑するが、宋江がとりなし、祝家荘へ攻め込むことにする。しかし、祝家荘は道が入り組み、攻略に難儀する。
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登場人物:宋江、花栄、扈三娘、林冲、呉用あらすじ:祝家荘の軍団は、入り組んだ道を提灯のあかりを頼りに指揮していた。花栄が提灯を撃ち落とすと、敵は混乱し、宋江たちはなんとか勝利を得た。しかし、この戦いの中で黄信がさらわれる。宋江は李家荘の李応へ助けを求めるが、梁山泊を警戒する李応は応じない。杜興は、宋江へ祝家荘を攻めるにあたって、祝家の許婚者・扈三娘の応援には注意するよう伝える。祝家荘の軍と戦いになると、扈三娘がやはり現れた。王矮虎は女将と聞いて攻めかかるが、逆に扈三娘に生け捕りにされてしまう。その後も戦いが続くが、宋江軍は敗走する。すると、扈三娘が追ってきたが、立ちふさがった林冲に生け捕りにされてしまう。戻ってきた宋江たちへ、呉用はある計略を話す。
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登場人物:解珍、解宝、楽和、孫新、顧大嫂、鄒淵、鄒潤、孫立、王矮虎あらすじ:さて話は変わって、登州の山に解珍、解宝という兄弟の猟師がいた。役所の命令で山へ虎狩りに出て、苦労して仕留めた。虎は崖を転がり、毛太公の屋敷へ落ちていった。兄弟は毛太公へ虎を返すよう願うが、逆に捕まえられ、虎を横取りしようとしたとして訴えられてしまう。兄弟が収容された牢の役人は従兄の楽和だった。楽和は親戚・孫新の妻・顧大嫂へ相談に行く。孫新と顧大嫂は相談し、鄒淵・鄒潤の協力を得て牢破りを計画する。鄒淵・鄒潤は協力はしたいが、その後、登州の役人に追われることになるのを憂う。孫新・顧大嫂は梁山泊入を進め、また孫新の兄・孫立が州の役人であることから、追手に配慮してもらうよう掛け合う。一行は牢破りに成功し、また毛太公一家を皆殺しにすると梁山泊目指して、逃亡した。梁山泊についた一行は祝家荘攻めで苦労していることを聞き、お目見えの挨拶がてら加勢することとする。
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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
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