備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

旅行

京都市内観光にはレンタサイクルがおすすめ

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京都旅行の際、市内の移動手段としてよく使われるのは、市バス・地下鉄の一日券です。
京都の市バスはかなり細かくルート設定がされており、また本数も多いため、生活に利用する市民だけでなく、観光客にも非常に人気があります。また一日券は、市バスのみは600円、市バス+地下鉄で900円とかなり安い価格です。

しかし、筆者としては京都市内の観光は自転車をおすすめしますね。
もちろん、季節や天候にもよりますが、春や秋の観光シーズンは公共交通機関を利用するより、はるかに楽で、機動力のある移動手段です。
何より、てくてく歩いている人や、バスを待つ長い行列を横目に、シャーっと走り過ぎる爽快感はたまりません。
筆者は、若い頃に数年間、京都で暮らしていたことがあり、その頃は市内の移動はほぼ全て自転車に頼っていました。
ゴールデンウィークのとある日、半日ほど京都の東山周辺をぶらぶらすることになり、自転車を借りてみることにしました。市内を自転車で走るのは20年ぶりくらいです。

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出発は京阪出町柳駅。今回は、この駅に隣接したお店で自転車を借りました。朝9時から開いていて、一日700円(20時まで)です。

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出町柳駅前の鴨川デルタ。天気がよいので、大勢の人がいました。奥の森が下鴨神社です。

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下鴨神社。出町柳駅からは歩いてもすぐですが、自転車に乗ると歩くことなくあっという間に到着です。駐輪場は周囲のあちこちにあります。

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下鴨神社の境内・糺の森。毎年、5月3日にここで流鏑馬が行われるため、その設営がされていました。
毎年お盆にはここで古本市が開かれます。京都に住んでいた頃、汗だくで通うだけでなく、臨時のバイトまでしていました。

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反対運動で大騒ぎになっていた下鴨神社境内のマンション。これか。
個人的にはいい感じだと思いましたけどね。

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次の目的地、平安神宮へ向かう途中、百万遍交差点。京大の立て看板が5月1日に撤去されたとニュースで騒がれています。実際、「立て看板撤去反対」を訴える立て看板以外は無くなっていました。
百万遍から立て看板が消えたらかなりの違和感だろう……と思ってましたが、うーん、まあ無いならないでそんなに違和感もないな。

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平安神宮。下鴨神社からは自転車で10分ほどです。
バスだと待ち時間だけでそれくらいかかっちゃいますね。ここも自転車はあちこちに駐められます。

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さてさて、今回の京都旅行の本当の目的はここ。京都市勧業館(みやこめっせ)。何をしに行ったかは次回の記事に書きます。
ここで本来の用件は終わっているのですが、近くまで来たので、ついでに近隣の観光地をまわります。

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南禅寺。平安神宮からは自転車で5分くらいです。歩いても10分くらいの距離ですが、自転車だと全く疲れることなく到着です。山門の手前に駐輪場があります。
個人的には京都観光で一番おすすめのスポット。
今日はゴールデンウィークなのでかなりの人出でしたが、ふだんは他の観光地に比べると人は少なくのんびりできる場所です。

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南禅寺境内の琵琶湖疏水・水路閣。

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南禅寺から自転車でまた5分ほど走ると、哲学の道に入ります。
こんなヘンな角度で写真を撮っている事情も、次回の記事に書きます。

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哲学の道は砂利道なので、自転車がパンクしないかヒヤヒヤしながら通りました。10分ほど北へ走ると銀閣寺の入口に出ます。ちょうどブラタモリでやっていた直後だからか、そもそも京都で最大級の観光スポットだからか、あまりにものすごい人波だったので、これより先には自転車では入れません。

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市営の銀閣寺駐車場のすぐ隣りにある、うどん屋さん「おめん」。いつも行列ができてますが、すごく良いお店です。
この市営駐車場は自転車置場もあるので、銀閣寺へ行くならここへ駐めるのが便利です。

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銀閣寺から今出川通の坂道をシャーっと下ってくると、あっという間に出町柳へ戻ってきます。
自転車を返す前に、鞠小路通を少し北へ上ったところにある「満月」で名物「阿闍梨餅」を購入。
京都名物の中で一番好きなお菓子です。

というわけで、今回は「みやこめっせ」がメインだったため、それぞれの観光スポットはほぼ通過しただけでしたが、移動に要した時間は合計しても1時間もかかっていません。
何分もバスを待って(しかも座れない)、バス停からてくてく歩いて……という方法に比べると、とても効率よく小回りの利く移動が可能になります。

観光だけに徹して、丸一日かければ、出町柳を起点にして北は曼殊院、詩仙堂、それに今回訪れた銀閣寺、下鴨神社、平安神宮、南禅寺を挟んで、南は知恩院、八坂神社あたりまで、かなり楽にまわれます。清水寺のあたりは人も多いし、坂もきついので、自転車で行くなら四条までが限界かな、と思いますが。

また、西の方では、北野白梅町か円町あたりを起点して、金閣寺、龍安寺、仁和寺、北野天満宮、少し足を伸ばして二条城まで、という組み合わせなら、一日で回れると思います。

南では、東福寺あたりを起点にして、東福寺、三十三間堂、京都国立博物館、伏見稲荷あたりは一日で行けるでしょう。

大原、嵐山は散策ルートが整備されている上、まわる範囲はそれほど広くないので、電車で向かって徒歩でブラブラするのが良いのと思います。大原へ行く叡山電車、嵐山へ行く京福電車は、それぞれ雰囲気のある楽しい路線です。
とは言え、京都に暮らしていた頃は、大原も嵐山も自転車でまわっていましたけどね。

ハチ高原スキー場から「山田風太郎記念館」へ

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先日、小3の長男を連れて、兵庫県北部にあるハチ高原スキー場へ行ってきました。
長男は幼稚園児の頃からスキー板を履かせていましたが、雪から遠く離れた地域に住んでいることもあり、スキー場へ行くのは年に2~3回程度。これまでは自宅から最も近くの小さなスキー場へ行って、1本しかないコースをぐるぐる回っていた程度でしたが、そろそろ上達してきたので、大きなスキー場へ行こうとハチ高原まで出かけたわけです。

さて、この関西で最も有名なスキー場へ出かけたのは今回が初めてで、たっぷり堪能してきましたが、この記事の話題はそこではありません。
そう、ハチ高原がある兵庫県養父市といえば、山田風太郎の出身地なのです。

市内に「山田風太郎記念館」があることは以前から知っていましたが、「八鹿氷ノ山インターチェンジ」を降り、ハチ高原へ向けて9号線を進んでいったところなんと! 道沿いに記念館の看板が出ているではありませんか。
なんだこんなところにあったのかと、帰り道に寄ってきました。

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初めて覗いてみた山田風太郎記念館ですが、思っていたよりもこじんまりとしたところでした。
展示されている資料はどれも貴重なものですが、スペースもそれほどないため、点数は限られています。
正直なところ、記念館のみであればわざわざ行くほどではないかな、とは思いますが、ハチ高原周辺、さらに範囲を広げて但馬地方はは冬はもちろん、夏もレジャーがさかんな地域ですし、温泉もたくさんあるので、それらと組み合わせて立ち寄るのはおすすめです。
筆者としては記念館そのものよりも、関宮という地域がどんな場所なのか、それを見られた点に価値を感じました。
山田風太郎のエッセイには、幼少期の思い出を綴ったものもいくつかあります。
早くに父母に死なれ幸福な少年時代ではなかったためか、暗い雰囲気の話が多く、山陰の陰鬱な雪国という印象を持っていました。
しかし、実際に訪れてみると、意外なほど開けた場所です。もちろん、時代の違いもあるでしょうけれど、そもそも9号線=山陰道という大きな街道に面した集落の中心地に位置して、それほど鄙びたところという印象は持ちませんでした。
一度訪れてみると、エッセイを読む時、頭のなかで想像する景色が変わってくるのではないか、とそんな風に思いました。
今回は記念館へ立ち寄っただけですが、次回のスキーのついでに時間があれば、周辺を散策してみたいと思います。



関連記事:
山田風太郎の最高傑作5選!?(エッセイ・ノンフィクション編)

「悪魔の手毬唄」と、きかんしゃトーマス

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数ある金田一映画の中でも、随一の傑作と世評高い市川崑監督・石坂浩二主演の東宝映画「悪魔の手毬唄」(1977年)。
筆者も熱烈に愛してやまない映画です。
中学生の頃(平成元年頃)にテレビ放映をビデオへ録画しながら見たのが最初でしたが、それから何度見たことか。特にラストシーンは、ほぼ原作どおりでありながら、情感たっぷりに仕上げられ、強い余韻を残します。あまりに何度も見たので、村井邦彦作曲のテーマ音楽を含めて、脳内で完全に再現できるほどです。

さて、このラストシーン。
原作では京都駅ですが、映画では岡山の総社駅という設定になっています。
総社駅を選んだのは、金田一耕助の問いかけに対する磯川警部の返事を「そうじゃ」と駅名で示したかったから……という「駄洒落説」がよく唱えられていますが、筆者は単純に撮影場所が総社駅なんだろうと思っていました。
ところが、このシーン、総社駅ではなく、静岡県・大井川鐵道の家山駅で撮影されているのです。
ってことはやっぱり駄洒落説が正解か……。

というのはともかく、大井川鐵道といえば現在、未就学児を持つ全国の家庭から熱い注目を浴びている路線です。そう、リアル「きかんしゃトーマス」を走らせているところなのです。

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筆者も先日、家族で出かけてきました。
詳細は妻のブログをご参照いただくとして、今回は新金谷駅-千頭駅間の往路はSL川根路号、復路はトーマス号に乗車しました。

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川根路号はC11形190号を使用しています。
「悪魔の手毬唄」の撮影に使用されている車両は、映像で確認できる通りC11形227号なので、型は同じですが別の車両です。
それでは、石坂浩二演じる金田一耕助が乗車したC11形227号は、今はどこでどうしているのかといえば、実は!トーマスに改装されている車両こそが、ずばり227号なのです。
というわけで、トーマス号は全国のチビッコだけでなく、全国の金田一ファンからも熱い注目を浴びているというわけなのです。

などと言いつつ、実は筆者はトーマス号のベースがC11形227号だということは、今回の旅行から帰って、初めて知りました。
中学生の頃から何度も何度もビデオで見ていた蒸気機関車が、今やトーマスになっていたとは……。ビックリしました。
行く前に知っていたら、映画と同じ角度で写真を撮ったりしてみたかったな、というのがちょっと残念。
とはいえ、子どもを3人連れているので、パパひとりがオタク魂全開で行動するのは、どのみち無理だったわけですが。
「悪魔の手毬唄」のアノ機関車に乗れた、ということだけで充分に満足な体験でした。

なお、映画「悪魔の手毬唄」に関しては、近々、下記のような書籍が刊行されます。
さすが映画秘宝。よくわかっているセレクションです。この情報を知った時はまさに狂喜して、目下、発売日を待ち焦がれている状況です。
ツイッターを眺めていると、執筆した関係者なのか、チラホラと入手したという情報を見かけますが、現時点で筆者は未見です。果たして、トーマス号の話は書いてあるのかどうか?
いずれにせよ、とても楽しみな本です。

(リンク先はAmazon)

また、C11形227号はトミカも発売されています。
もちろん、トーマス仕様ですが、「悪魔の手毬唄」ファンにとっては、これは「金田一耕助が乗車した機関車のトミカ」です。
トミカはマニア向けのものもいろいろ発売していて、例えばバットモービルのトミカや、「カリオストロの城」カーチェイスのトミカなどありますが、これもその一つと考えて良いでしょう。
筆者はそうとは知らず、新金谷駅で子どものおみやげとして買いましたが、自分用にも買うべきものでした。いや、難癖をつけて取り上げるか?(←鬼)




ついでにいうと、プラレールもあります。筆者はこっちは持っていませんが、よく考えると自宅で「悪魔の手毬唄」のサントラを流しながら走らせることも出来るわけだ。トーマスの曲なんか流すもんか。
子どものクリスマスプレゼントにかこつけて、いずれ買いたいと思います。



悪魔の手毬唄[東宝DVD名作セレクション]
(リンク先はAmazon)




悪魔の手毬唄総劇伴集
村井邦彦
富士キネマ
(リンク先はAmazon)


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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
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