備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

旅行

東映ファンの太秦映画村訪問記(2018年9月)

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先日、一家で京都の東映太秦映画村へ行ってきました。
映画村といえば改めて紹介するまでもない、京都を代表するテーマパークで、やはり子ども連れの客が目立ちますが、実は筆者のような東映ファン向けの施設でもあります。
「子どもが一緒だとゆっくりできないから、一人で改めて行きたいな」と思ってしまうくらい、楽しい場所です。
今回は、そんな視点から映画村の魅力をご紹介したいと思います。
なお、筆者が映画村へ行ったのは4年ぶりですが、この記事では前回の訪問と今回の訪問の写真が入り混じります。

まずは、映画村周辺から。
今回は車で行ったのですが、前回は電車で行きました。便利なのは、京都駅から山陰本線に乗り太秦駅で降りるルートですが、映画村へ向かう途中、京福電鉄撮影所前駅の脇にある踏切を渡ります。

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4年前の踏切の風景ですが、この頃はまだここに「河端病院」が建っていました。
東映好きの方なら、「あ、この病院!」と見覚えがあることでしょう。
そう、数多のヤクザが担ぎ込まれ、さまざまな襲撃事件が起こり、赤ん坊まで生まれたりしていたアノ病院です。
東映京都撮影所で撮影された映画に病院が登場するときは、必ずこの外観が映っていました。

今は病院が移転してしまい(50年前の映画にも出てくるので、さすがに老朽化でしょう)、残念なことに更地になっていますが、この建物は歴史的な記念物として保存しておいても良かったのでは、と思います。取り壊し前に写真を撮れたのがせめてもの救いでした。

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そして、踏切を渡って映画村の方向へずんずん歩いていくと、出ました!
東映京都撮影所です。これまた、映画のメイキング映像や、あるいは深作欣二監督の松竹映画「蒲田行進曲」で見覚えのある光景です(「蒲田行進曲」は松竹の製作ですが、東映京都撮影所が舞台で、東映の深作欣二が監督しました。プロデューサーを務めた角川春樹の力技)。
周辺のことを言えば、すぐ近くにある「大映通り」には「仁義なき戦い」一作目で村岡組本部として登場する屋敷が現存することで有名ですが、いろいろなヤクザ映画でロケに使われた場所が点在しています。
映画村の門をくぐるまでは、撮影所の中を歩いているような雰囲気で気分が盛り上がります。

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というわけで、中へ入るまでにずいぶん手間取りましたが、映画村はそもそもは撮影所のオープンセットをそのまま観光客向けに公開するというコンセプトでスタートしており、主に時代劇用のセットが立ち並んでいます。

ところがこのセット、今回の訪問の際はエライことになっていました。
そう、大阪・京都・兵庫に甚大な被害をもたらした台風21号です。
映画村にもかなり被害が出ており、各所で復旧作業中でした。

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スタジオの壁は剥がれ落ち……

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吉原通りの屋根はすべて吹き飛んでました。

というわけで、見学できない施設がいくつかありましたが、大道具さんたちの作業を見物できたのは拾い物でした。
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妻は「映画村の建物はやっぱりハリボテってこと?」と言ってましたが、確かに映画のセットだから台風に弱いのはやむを得ないことなのかもしれません。オープンセットなので屋内のセットよりは頑丈に作っていると思いますが、ふつうの建物ほどの強度は無いのでしょうか。

台風の被害がさんざん報道されたせいか、休日だというのに園内はかなり空いていました。
前回はギューギュー詰めで見て、握手にはとても並ぶ気になれなかった仮面ライダーショーも客席は閑散としてビックリ。
9月から始まった「仮面ライダージオウ」の握手会は、最後尾に並んだのに、2~3分で順番が回ってきました。

そう、東映といえば「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」ですが、園内のアトラクションは忍者がテーマになったものばかりで、東映の最大の稼ぎ頭である特撮もののアトラクションはありません。
これは察するに、特撮作品を制作しているのが京都撮影所ではなく、東京撮影所だからでしょう。
東映京都撮影所は昔から時代劇を量産しており、時代劇の人気が下火になってからは任侠映画を量産しました。また、現代においてもテレビ時代劇の制作を請け負ったりしています。
このため、時代劇についての人材やノウハウは豊富で、アトラクションも楽に作れるのでしょうけれど、特撮作品となると「京都撮影所らしくない」という判断が働いてしまうのではないでしょうか。

それはともかく、アトラクションはありませんが、歴代のライダーや戦隊を展示しているコーナーはあり、ルパンレンジャーが大好きな子どもたちは大喜びでした。

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ここでは筆者もパパの顔になって写真を撮りまくっていたわけですが、一方では、子どもの頃から気になっていた「デンジマン」の頭にきらめいているデンジメカがどうなっているのか、これを間近で見られたため、そっちの写真も撮ってきました。
やっぱり、歴代戦隊のなかで、最も見入ってしまうデザインはコレですよね。

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映画村のなかには、完全に大人向けの施設、「映画文化館」という建物もあります。
ここの中では、日本映画の歴史が展示されています。
東宝の円谷英二や黒澤明の展示もありました。

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この辺は、子どもがいないときに再訪したい場所ですね。

そんなわけで、大人も子どもも楽しめる場所が映画村です。
ちなみに、この記事をここまで読んでこられた方にはどうでも良い情報かと思いますが、映画村は弁当の持ち込みが可能で、広大な屋内無料休憩所もありました。
弁当を食べられる場所がどうなっているのか、事前によくわからなかったのですが、次回、映画村へ行くときはガッツリと弁当を持参したいと思います。(ブログのタイトル通り、備忘のための記事です)

関連記事:
「東映」の歴史を知るための5冊
なぜか文庫化されない俊藤浩滋インタビュー本「任侠映画伝」(1999年・講談社)

ネスタリゾート神戸レポート(2018年)

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自宅から車で約40分の距離にあるネスタリゾート神戸のプールへ、今年も行ってきました。
わが家の家族構成は、筆者と妻、息子3人(小4、年長、3才)で、これまで夏のプールと言えば東条湖おもちゃ王国が定番でしたが、昨年、ネスタリゾート神戸のプールができてからはこちらも行き先に加わるようになったため、夏休みは大忙しです。
近隣に住む方向けのレポートです。

筆者が行ったのは月曜日でしたが、かなり混雑していました。昨年は日曜日に行ったので、それよりはマシでしたが、とはいえ新しいうえに、街なかにポスターや看板をガンガンと出して宣伝しているのでかなり集客しています。

このプールは、車で行けるなら車で行くのが一番おすすめですね。駐車場はかなり収容力があるように見えましたので、おそらく土日でも満車ということは無いと思います。到着時間が遅くなると、プールからの距離がちょっと離れる程度。また、施設周辺も特にひどく渋滞するような道ではありません。

入場券は現地でも買えますが、事前にコンビニのチケット販売で買っておくこともできます。
わが家は、ネスタへ向かう途中のコンビニで買いました。
チケットを事前に買っておくと、チケット売り場へ並ぶことなく入場できるのでスムーズです。メリットはその程度ですが、混雑する日には威力を発揮します。
また、筆者が行った時期はたまたまコンビニで割引券を販売していたため、大人100円、子ども50円安く買えました(ちなみに2歳から有料)。

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プール内では、屋内休憩所のなかにレジャーシートを敷くか、テント設営スペースにテントを張るかして拠点を作ります。
どっちも、午前中の早い段階で全て埋まってしまいますね。わが家はテントを持参するのが面倒だったので屋内休憩所狙いで開園直後の時間帯に到着しましたが、入場したときには上の写真のとおり、すでにかなりのシートが敷かれていました。このあと、最終的にはギッチギチになってきます。
テントスペースの写真は平日の11時くらいでこの状況なので、休日であればもっと早い段階で満員になるのでは、と思われます。
この無料スペースのほか、有料スペースもあります。こちらは椅子とテーブルが用意され、頭上にテントが張ってあります。こちらも割りとはやい段階で満席になっていたようです。

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スライダーは3種類ありますが、人気があるのはこの2つです。身長115センチから。
緑の方は「ファミリースプラッシュ」で、大人3人、あるいは大人1人と子ども3人(いずれの場合も合計体重が220キロ以下)が一つのボートに乗って滑ることができます。
青い方はグレートブラスター。大人2人が1つの浮き輪に乗って滑ります。
どっちも人気で、開園と同時に長蛇の列になっていました。
どちらも同じ場所に並んでいるのですが、列の整理があいまいで、筆者は青い方に並ぶつもりが、気づいたら緑の方に並んでいました。ただまあ、どっちでもいいか、と並び直したりはしませんでしたけどね。炎天下で並ぶことになるので、一つだけ滑ってもう一つは来年までお預けということにしました。

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スライーダはそんな感じですが、子どもにとってはこっちの水の要塞のほうが遥かに楽しいようで、わが家はほとんどの時間をこの要塞、流れるプール、屋内のちびっこ向けプールで過ごしました。

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屋内プールの方も、スライダーあり、バッシャーンありで、かなり楽しめます。わが家の3才児は去年行ったときもここを堪能していたので、小さい子どもがいる家族はここがメインになるのではないでしょうか。

その他、施設の写真をいくつか。

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空気入れコーナーはありますが、開園時からかなり並びます。
わが家は妻が、家で空気を入れていくことを主張し、そうしましたが、正解でした。これも車で行くからこそできる技。

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新しいだけにトイレはめちゃくちゃキレイです。

わが家は、コインロッカーは使わなかったのですが、更衣室の難点はテーブルなどがないため、物を置く場所がなかったことですね。着替えるのにちょっと苦労しました。
また、弁当持参で行ったので、園内のレストランも使っていません。からあげとポテトだけおつまみに買いました。
屋台で販売しているグリーンカレーが名物のようで、かなりの人が食べていました。
12時になると点検のために全員がプールからあがるので、食堂は混雑すると思います。この前後を外したほうがスムーズでしょう。

というわけで、子どもがまだ小さいこともあり、2時過ぎくらいには堪能して(クタクタに疲れて)帰ってきました。

古本とラーメンを求めて京都小旅行

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さて、前回の記事では京都観光の移動手段は自転車がおすすめ、という内容で書いたのですが、実際は今回、京都へ行ったのは観光のためではありません。
ゴールデンウィーク中のある一日、家族が旅行へ出かけていて一人になる日があったため、久しぶりに岡崎公園の古本市へ行こうと思ったわけなのです。
岡崎公園の京都市勧業館「みやこめっせ」では、毎年ゴールデンウィークに古本市が開かれており、屋内で開催ということもあって、いつも良い本が大量に持ち込まれています。京都の古本市というと、規模が大きい夏の下鴨神社が有名ですが、個人的にはみやこめっせの古本市が一番好きです。
京都で暮らしていた頃は毎年欠かさず覗いていましたが、約20年前に京都を離れてからは数年おきに、機会があるとちょこちょこと覗いています。今回は4年ぶりくらいです。

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久しぶりに京都へ行くついでに、昼飯に府立大学前のラーメン屋「いいちょ」へ行くことにしました。

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「ついで」とか書きましたが、実は京都へ行った目的の半分はこのお店です。
筆者が昔、この近くに暮らしていたころにオープンしたのですが、個人的には京都で一番おいしいラーメン屋はここだと思っています。
京都で一番おいしいということは、日本で一番おいしいということです(ラーメンの本場は京都、と思い込んでこれまでの人生を送ってきました)。
開店したばかりの頃は、「ついに見つけた幻の味!」というような幟を店の周りに大量に立てていました。
当時いっぱしのラーメン通を気取っていた筆者は「まあ、こんなことを言っている店は大したことないんだよな」などと、新参者に対して完全に上から目線で、どれどれ味を見てみるか、という感じで入ってみたのですが、一杯食べて打ちのめされました。いやホント、京都にいた頃はラーメンばかり食べていたのですが、ここは空前絶後のおいしさでした。
それからは、「近所にこんなにおいしい店があるなんて本当にラッキー」と、週に1~2回というかなりのペースで通いつめました。
はじめのうちは、店主の気まぐれなのか、日によってキャンペーンをしていたのか、ときどきチャーシューが薄切りではなく乱切りでゴロゴロ入っていることがありました。
これがまた、べらぼうなおいしさ。
乱切りで入っているのは毎回ではなく、ごくたまに、という感じだったため、ここへ通いつめていたのは「またアレをやってくれないかな」という期待も込めてのものでした。
しかし、あっという間に人気店になってしまうと、乱切りはなくなりましたね。さすがに採算がとれなくなったんでしょうか。
筆者が京都を離れてからは、ぐんぐんと京都を代表する人気店になり、しかし店構えは全く変わらないので、常に行列ができる店になってしまいました。
これまで気軽に通っていた店が、並ばないと入れないというのは悔しいので、その後、京都へ行くときには必ず開店時間より早めに店へ到着し、並ばずに食べられるように頑張っています。
今回も、10分くらい早めに着くと、すでに何人か開店を待っていましたが、なんとか先頭グループの一人として入店することができました。

ということで、自転車を借りたのは、岡崎公園と府立大学という、ちょっと離れた地点をスムーズに移動する方法として「そうだ、自転車を借りてみよう」と思いつき、調べてみると出町柳駅にお店があったため、これはちょうどうってつけの起点ではないか、ということになったわけです。(市バス206系統を使えば乗り換え無しで行ける位置ではありますが)

せっかく自転車を借りたので、観光地以外もいろいろ周りました。

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出町柳から府立大学へ向かう途中、一乗寺の本屋「恵文社」に立ち寄りました。
ここは非常に有名な本屋ですが、京都で暮らし始めて最初の数年間は、店の前を通りながらも「このおしゃれな店はなんだろう」と、まさか本屋とは思わずにずっと素通りしていました。
相変わらず、抜群のセンスの品揃えで素敵なお店です。
蔵書家の書庫を覗きに行って、しかも「置いてあるものは何でも売りまっせ」と言われているような、ウキウキした気分になれる本屋です。
ほとんどの本は棚差しの一点しか在庫がないのですが、ふだんはとことん美本にこだわる筆者も、ここの店で買うときだけはなぜか、カバーの傷みや帯のちょっとした破れ、立ち読みの跡などが全く気になりません。自分でも不思議なのですが、少々の傷みも「恵文社の味」と思ってしまうんですよね。まさにアバタもエクボ。

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恵文社からさらに少し東へ自転車を走らせ、古本屋「萩書房」。
ここはミステリが充実しているため、京都在住時はかなりお世話になりました。
しかし、古本市開催中のためお店は休業。たぶんそうだろうな、と思ってましたが、やっぱり。

古本市を覗いたあと、南禅寺へ向かったのも、観光目的ではありません。
南禅寺の裏手、哲学の道の起点にかつてあった喫茶店「若王子」がどうなっているか見ておきたかったのです。
若王子というのは、以前にこちらの記事で書いたことがありますが、島田荘司「占星術殺人事件」で、御手洗潔が事件解決のヒントを得た店です。

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前回の記事に載せた哲学の道のこの写真、たぶん御手洗潔が寝ていたベンチはこの辺かな、と思われるものを撮った写真だったわけです。
このちょっとした休憩スペースのすぐ近くに喫茶「若王子」はありました。

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今も建物は残っているのですが、営業はしておらず、敷地内は荒れ放題になっています。

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店内はいろいろ珍しい置物がたくさんあり、いかに島田荘司が好きそうなお店だな、という雰囲気でした。京都在住時には何度か立ち寄っていたのですが、閉まってしまったのは残念です。

銀閣寺から出町柳へ戻る途中、「古書善行堂」を見かけて立ち寄りました。
ここの店主は、古本関係のエッセイをたくさん出されている方です。

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というわけで、朝9時半頃から、昼過ぎの3時くらいまで、観光地を横目に眺めつつ、ほとんどは古本漁りのために自転車を走らせ続けた小旅行でした。

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ついでに。
昔、大好きだったレストラン(定食屋?)の前を通ったら、閉店していてびっくり。昼飯をここで食べるつもりにしてなくてよかったよ。
その他も、在住時行きつけだった定食屋はほぼ全滅していました。
それも、ほとんどは建物ごと跡形もなくなっているので、正確な場所すらよくわからない状態。
20年も経っていたら仕方ないよな……

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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
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