最終更新日:2023年6月11日
はじめに
日本の歴史をマンガで学べる学習漫画。あちこちからシリーズが出ています。
わが家でも小学生の息子に買ってやるため、果たしてどれを買えばよいのか、各社版の特色を調べてみました。
現在、書店に並んでいる日本史の学習まんがのうち、特に人気があるのは小学館、集英社、角川、学研、講談社の5社です。
※掲載している情報は改訂されたり新刊が追加されたりで、価格やセット内容など随時変わってきます。なるべく最新セットをご紹介できるようにしていますが、最新情報はリンク先のAmazonで確認していただければと思います。
というのは、時期によって異なるのですが、セットで買うと特別価格になったり、セットだけに限定の付録がついていたりするためです。家庭での保管にも箱に入っていたほうが何かと楽です。
筆者としては、書店でバラ売りをしているのは「内容確認のための見本」で、買うならセットが当然、と思っています。
また、小学生の親御さんの中には「うちの子は歴史にはあんまり興味ないかな……」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは大丈夫です。
中学生・高校生になったら高校受験・大学受験のために確実に読みます。また、この記事で紹介するシリーズは、いずれも率直に言って大学受験対策までカバーできます。大学受験で出題される日本史というものは、本格的な歴史好きからしたら基本中の基本のことばかりなんで、子ども向けとはいえ、この手のシリーズを一通り読んでおけば、分厚い参考書を必死で暗記するより楽に勉強できるわけです。
春休み、夏休みなど長期休暇前に購入して自宅学習するのもよいでしょう。
それでは、学習まんがシリーズそれぞれの特色を見ていきましょう。
学習漫画「日本の歴史」人気5大シリーズ
小学館「学習まんが日本の歴史 全20巻」
公式サイト:https://www.shogakukan.co.jp/pr/100th/#rekishi
小学館は「学習まんが少年少女 日本の歴史」を30年以上前から刊行していた歴史学習漫画の老舗ですが、2022年12月に創業100周年を記念して内容もイラストも全て一新した「学習まんが日本の歴史 全20巻」が刊行されました。
一足早く出ていた「世界の歴史」と同じく、歴史教科書で有名な山川出版社が監修し、最新の歴史教育・受験対策を踏まえた内容になることと思われます。
大きな特徴としては全20巻のうち9巻が近現代史にあてられるということです。以前のシリーズは刊行が古かった(初刊は昭和)こともあり、他社のシリーズに比べて近現代史は弱かったのですが、今回の改訂で一気に大充実です。
箱セット購入の場合は特典として、1.重要事件100カード、2.日めくり日本史カレンダー、3.日本史ワンダー大地図、4.つながる!重要年表ハンドブックがつきます。さらに、初回限定特典として骨伝導イヤホンのプレゼント企画や、2024年3月までの期間限定でデジタル版を無料で読めるなど、小学館らしい豪華な企画も用意されています。
集英社「新版 学習まんが 日本の歴史」
公式サイト:https://www.shueisha.co.jp/rekishi/
集英社は、2016年末に内容を全面的に刷新したシリーズを刊行し、2021年からはそれまでの菊判ハードカバーだった装丁を「コンパクト版」B6判ソフトカバーに変更しています。ページ数・内容はそのままで価格を下げ、コンパクトにしています。
最も大きな特長としては現代史に力を入れています。
昭和史3冊、平成史1冊と、かなりの充実です。
平成史なんて子どもに読ませる意味あるの?と大人は思ってしまいますが、バブル崩壊、阪神大震災、構造改革、グローバル化、インターネットの普及、テロとの戦争、リーマンショック、東日本大震災と、もはや「歴史」として学ばなければいけないことは山のようにあるわけです。
表紙絵は各巻、少年ジャンプの人気漫画家たちが競演していますが、本編は別の漫画家が描いていますので、その点はご注意ください。
全巻セットで買うと、バラで買うより価格がお得になります。
ハードカバー版も別巻1冊を加えた21冊セットで引き続き販売されています。
かつては学習漫画と言えばハードカバー製本が主流でしたが、今やまともにハードカバーを出しているのは集英社のみとなってしまいました。
セット特典は特につかないようですが、丈夫な製本を希望される方はこちらをどうぞ。
KADOKAWA「角川まんが学習シリーズ 日本の歴史」
KADOKAWAは他社が菊判ハードカバーしか出していなかった時期にB6判ソフトカバーというコンパクトサイズを刊行し、一躍人気シリーズとなりました。
冊数は少なくまとまっているものの、1冊あたりのページ数は多く、実は総ページ数では小学館、集英社を上回っています。
にもかからず、価格も安く設定されています。
このような圧倒的なコストパフォーマンスで、日本史の学習漫画で一番よく売れているのはこの角川版なのです。
さらに2022年末には本編に新刊「日本の歴史 16 多様化する社会 平成時代~令和」が追加され、全16巻となっています。これに伴いセット組も新しくなっています。
どちらかというとストーリー重視ですが、集英社版がマンガとしての「面白さ」を狙っているのに対し、角川版は歴史の「流れ」を捉えようとしており、学校の授業を補完するのにうってつけの内容です。
さらに角川版は、本編16冊のほかに、別巻として「よくわかる近現代史」という全3冊のシリーズが出ています。歴史学習ではどうしても近現代史が手薄になりがちですが、そこもバッチリ押さえられるというわけです。
他社版で揃えた場合でも、この別巻だけ購入して近現代を補うこともできます。
「よくわかる近現代史」「別巻 歴史まるわかり図鑑」を含めた箱セットもあります。全20冊のセットです。
また毎年、年末頃になると中学受験に役立つ特典をつけた限定セットが発売されています。定価は上記「定番セット」と同じなので、おまけの分だけ単純にお得です。2022年末発売セットは下記5大特典がつきます。「関ケ原の戦い」「世界遺産マップ」がこれまでになかった新しい特典です。
・特典1 【戦国すごろく】織田信長・豊臣秀吉・徳川家康・武田信玄・上杉謙信になって、応仁の乱から大阪夏の陣までの歴史的な出来事をすごろくで体験! 目ざせ天下統一!
・特典2 【戦国武将のぼり旗デザイン しおり定規5枚セット】織田信長・豊臣秀吉・明智光秀は家紋を使用。武田信玄・真田幸村はのぼり旗を忠実に再現!戦国時代がキミの手の中に!
・特典3 【関ヶ原の戦いパノラマ大図解】天下分け目となった関ヶ原の戦い。東軍・西軍の布陣図や有力武将27名のプロフィール、当日の時間経過などを1枚のポスターに! 合戦の行方を目撃せよ!
・特典4 【近現代史まるわかりすごろく】家族や友達と一緒に楽しく遊ぶだけでむずかしい近現代史の流れが自然に身につく! 新型コロナや2020東京オリンピック・パラリンピックまで入った最新版!
・特典5 【まんがでめぐる!世界遺産マップ】日本にある世界遺産を完全ガイド! 『日本の歴史』まんがコマとともに遺産にまつわる歴史や背景を楽しく学べます。受験対策にもピッタリ!
学研「DVD付き NEW日本の歴史」
学研版は売れ行きの面では他社に遅れを取っている印象がありましたが、2021年2月に大リニューアルを仕掛けました。なんと全巻にDVDが付録されます。もともと刊行されていたシリーズと本編は特に変わりませんが、DVDが新たに追加される形になります。またハードカバーからソフトカバーへ変更され、サイズも菊判からA5判へとやや小ぶりになりました。
学習図鑑の世界ではDVD付きがスタンダードになっていますが、学習まんがにDVDがつくのは初めての試みで、人気次第では他社に広がっていくでしょう。
NHKの資料映像などを素材として使用しているということで、漫画とあわせて歴史への興味が盛り上がるのは間違いないでしょう。
DVD以外の特長としては、もともと学習参考書を手がけている出版社だけに、巻末資料が充実していることです。資料部分がかなりの割合を占めており、きちんと読み込めば、ほかの参考書は不要になるでしょう。小学館版が漫画の中で学習しようとしているのに対し、ストレートに学習参考書的資料がついているわけです。
巻数はコンパクトに収まっており、刊行時期も新しいため、フルカラーで見やすい絵柄です。
別巻2冊を含めた全14冊セットとなっています。
以前からに刊行されているハードカバー版箱セットも引き続き販売されているようです(ただしDVDはつきません)。
講談社「学習まんが 日本の歴史」
講談社からも新しいシリーズ「学習まんが 日本の歴史」が2020年7月に刊行されました。
角川のシリーズと同じく、B6判ソフトカバーのコンパクトなサイズです。しかし、既刊のシリーズに対抗してか、総ページ数は他社を上回り、ナンバーワンです。
まず目を引くのは各巻冒頭の図録です。このコーナーだけでなかなかのボリュームがありますが、ビジュアルでその巻の内容を予習し、その上でマンガ本編に入っていく流れとなっています。
また、ページの枠外に「マメ知識」として受験に役立つ内容や歴史に興味を持てるトリビアが書かれているのですが、これがなんと全ページに書き込まれていて、情報量は膨大。中学受験、高校受験、大学受験まで視野に入れて作られているようです。
また、他社はほぼ無名の漫画家を起用しているのに対し、講談社の週刊・月刊漫画誌で活躍した経験のある人気作家を起用しており、画力でも他のシリーズを圧倒しています。
王者・角川に迫る人気シリーズとなっています。
セット内容はこれまで本編のみの20冊セットでしたが、2022年末から別巻2冊を含む全22巻セットにリニューアルされました。
セットには特典として「歴史人物データカード全120枚」「日本史重要人物イラスト年表」「47都道府県早わかりデータBOOK」「知っておきたい!日本の史跡・名所・名物こだわりMAP」がつきます。
まとめ
というわけで、各社版を簡単におさらいすると小学館:2022年12月に新版刊行。高校日本史教科書の定番・山川出版社の監修で受験対策を意識した内容にリニューアルされています。ソフトカバー。
集英社:B6判ソフトカバー。近現代史が充実。ストーリー展開重視。ソフトカバーのコンパクト版がメインになっていますが、刊行当初からのハードカバー版セットも入手可能。内容はいずれも同じ。丈夫な製本を希望される方には唯一の選択肢となります。
角川:B6判ソフトカバー。場所を取らずコンパクトで価格も安い。別巻の近現代史もあり。歴史の流れを重視。2022年末に平成~令和編が1冊追加されました。
学研:A5判ソフトカバー。学習まんが初のDVD付き。本編は巻末資料が充実。学習重視。参考書の代わりになる。以前から販売されている菊判ハードカバー版はDVDなし。
講談社:B6判ソフトカバー。価格を抑えつつも、マメ知識欄など情報量が多く、ページ数も最大。著名な人気漫画家を起用。
まあ、正直なところ、熱心に読み込むお子さんであれば、「学習」という観点ではどれを買ったところでたいした違いはないかと思います。
なお、2022年12月に講談社の動く図鑑「MOVE」のシリーズに「日本の歴史」が加わりました。
価格が少し高めですが、学習まんがで不足している図版資料が大充実しており、おすすめです。
簡単な紹介記事も書きましたのでご参照ください。
講談社動く図鑑MOVEに「日本の歴史」登場
無料 試し読み電子書籍
なお、ぞれぞれのシリーズのイラストの雰囲気について、実際のところを確認されたい場合は、各公式サイトで試し読みをでき、また無料のお試し版を電子書籍(Kindle)で読めます。番外:大人向け文庫版
以上、お子さん向けのシリーズをご紹介しましたが、電車の中で大人が読むにはやや抵抗があります。子どもだけでなく、自分でも読みたいというお父さん、お母さんには文庫版が出ています。
【角川文庫】
最も売れているシリーズである「角川まんが学習シリーズ」がそのまま文庫版になっています。
児童向けではなく、一般向けという形で刊行されていますが、イラストや字が小さくなり、カラーページもモノクロになっていることさえ気にしなければ、価格も安く、コンパクトに揃えることができます。
全巻箱入りセットも発売されています。
【集英社文庫】
集英社文庫からは「日本の歴史」と「世界の歴史」も出ています。
集英社の学習漫画シリーズは何度か改訂されていますが、この文庫に収録されているのは20年ほど前に刊行されたバージョンです。とはいえ、小中学生が学ぶレベルの歴史が10年や20年程度で大きく変わるわけではなく、大人がいま読んでも一向に差し支えない内容です。
コンパクトにまとまっており、場所を取らないし、価格も安いしで、かなりよく売れているようです。
【中公文庫】
さて、中公文庫からは2020年11月より、石ノ森章太郎版「マンガ日本の歴史」の新装版が刊行されています。これは全55巻という規格外のボリューム。20年ほど前にも一度中公文庫に収録されましたが、その新装版です。
大人向けに描かれた作品のため、小学生にはやや難しいかもしれませんが、文句なしの画力と確かな時代考証で平成元年の刊行開始時にはベストセラーとなっています。
子ども向けの学習漫画では満足できない、歴史好きのお子さんはこちらをどうぞ。
箱セットも順次刊行されています。
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