先日、出張のついでに久しぶりに神田の古本屋を覗いていたのですが、「別冊幻影城創刊号 横溝正史 本陣殺人事件・獄門島」を見つけて買ってきました。
「幻影城」本誌は全て揃えて持っているのですが、別冊の方は何冊か買っているという程度で、揃えてはいません。この創刊号も持っていませんでした。
ところが、少し前に初めて知ったのですが、この「本陣殺人事件」は花輪和一が挿絵をつけているんですね。それで、買うことにしたわけです。500円とえらく安かったのでためらう理由なし。
花輪和一は幻影城本誌でも常連の作家でしたが、昭和50年頃といえば漫画家としては「ガロ」にポツポツと作品を発表していて、まだ単著はありませんでした。
イラストレーターとしてはアングラな雑誌やポスターなどを中心に活動していたようです。
この時期に主力の挿絵画家の一人として起用したのはさすが慧眼です。
本誌に描いた挿絵はこれまでも眺めていたのですが、別冊の方はノーチェックでした。
正直なところ、横溝正史と花輪和一という組み合わせは意外でした。「怪奇」というキーワードだけ見れば共通するかもしれませんが、戦後の理知的な横溝作品とは相容れないように思っていました。
しかし、実際に見てみると、かなりいい感じですね。
冒頭のイラストは、金田一耕助。まだ映画「犬神家の一族」公開前なので、映像からの影響は皆無です。
また、この絵は鈴子と猫の墓。
これは、作品の雰囲気をよく表しつつ、完全に花輪和一の世界ですね。
別冊幻影城では、ほかにもいろいろ挿絵を描いているようですが、乱歩の「陰獣」の挿絵も花輪和一のようなので、また見かけたら買おうかなと思います。