備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

読書

学習漫画「日本の歴史」オススメはこれ!【2023年最新情報】人気5大シリーズを比較


shogakukanrekishi

はじめに

日本の歴史をマンガで学べる学習漫画。あちこちからシリーズが出ています。
わが家でも小学生の息子に買ってやるため、果たしてどれを買えばよいのか、各社版の特色を調べてみました。

現在、書店に並んでいる日本史の学習まんがのうち、特に人気があるのは小学館、集英社、角川、学研、講談社の5社です。
※掲載している情報は改訂されたり新刊が追加されたりで、価格やセット内容など随時変わってきます。なるべく最新セットをご紹介できるようにしていますが、最新情報はリンク先のAmazonで確認していただければと思います。
これらのシリーズは一冊ずつバラバラでも買えますが、どうせなら箱入りセットで買うことをおすすめします。


というのは、時期によって異なるのですが、セットで買うと特別価格になったり、セットだけに限定の付録がついていたりするためです。家庭での保管にも箱に入っていたほうが何かと楽です。
筆者としては、書店でバラ売りをしているのは「内容確認のための見本」で、買うならセットが当然、と思っています。
また、小学生の親御さんの中には「うちの子は歴史にはあんまり興味ないかな……」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは大丈夫です。
中学生・高校生になったら高校受験・大学受験のために確実に読みます。また、この記事で紹介するシリーズは、いずれも率直に言って大学受験対策までカバーできます。大学受験で出題される日本史というものは、本格的な歴史好きからしたら基本中の基本のことばかりなんで、子ども向けとはいえ、この手のシリーズを一通り読んでおけば、分厚い参考書を必死で暗記するより楽に勉強できるわけです。
春休み、夏休みなど長期休暇前に購入して自宅学習するのもよいでしょう。

それでは、学習まんがシリーズそれぞれの特色を見ていきましょう。

学習漫画「日本の歴史」人気5大シリーズ


小学館「学習まんが日本の歴史 全20巻」

公式サイト:https://www.shogakukan.co.jp/pr/100th/#rekishi

小学館は「学習まんが少年少女 日本の歴史」を30年以上前から刊行していた歴史学習漫画の老舗ですが、2022年12月に創業100周年を記念して内容もイラストも全て一新した「学習まんが日本の歴史 全20巻」が刊行されました。
一足早く出ていた「世界の歴史」と同じく、歴史教科書で有名な山川出版社が監修し、最新の歴史教育・受験対策を踏まえた内容になることと思われます。
大きな特徴としては全20巻のうち9巻が近現代史にあてられるということです。以前のシリーズは刊行が古かった(初刊は昭和)こともあり、他社のシリーズに比べて近現代史は弱かったのですが、今回の改訂で一気に大充実です。
箱セット購入の場合は特典として、1.重要事件100カード、2.日めくり日本史カレンダー、3.日本史ワンダー大地図、4.つながる!重要年表ハンドブックがつきます。さらに、初回限定特典として骨伝導イヤホンのプレゼント企画や、2024年3月までの期間限定でデジタル版を無料で読めるなど、小学館らしい豪華な企画も用意されています。


集英社「新版 学習まんが 日本の歴史」




公式サイト:https://www.shueisha.co.jp/rekishi/

集英社は、2016年末に内容を全面的に刷新したシリーズを刊行し、2021年からはそれまでの菊判ハードカバーだった装丁を「コンパクト版」B6判ソフトカバーに変更しています。ページ数・内容はそのままで価格を下げ、コンパクトにしています。
最も大きな特長としては現代史に力を入れています。
昭和史3冊、平成史1冊と、かなりの充実です。
平成史なんて子どもに読ませる意味あるの?と大人は思ってしまいますが、バブル崩壊、阪神大震災、構造改革、グローバル化、インターネットの普及、テロとの戦争、リーマンショック、東日本大震災と、もはや「歴史」として学ばなければいけないことは山のようにあるわけです。
表紙絵は各巻、少年ジャンプの人気漫画家たちが競演していますが、本編は別の漫画家が描いていますので、その点はご注意ください。
全巻セットで買うと、バラで買うより価格がお得になります。

ハードカバー版も別巻1冊を加えた21冊セットで引き続き販売されています。
かつては学習漫画と言えばハードカバー製本が主流でしたが、今やまともにハードカバーを出しているのは集英社のみとなってしまいました。
セット特典は特につかないようですが、丈夫な製本を希望される方はこちらをどうぞ。



KADOKAWA「角川まんが学習シリーズ 日本の歴史」


KADOKAWAは他社が菊判ハードカバーしか出していなかった時期にB6判ソフトカバーというコンパクトサイズを刊行し、一躍人気シリーズとなりました。
冊数は少なくまとまっているものの、1冊あたりのページ数は多く、実は総ページ数では小学館、集英社を上回っています。
にもかからず、価格も安く設定されています。
このような圧倒的なコストパフォーマンスで、日本史の学習漫画で一番よく売れているのはこの角川版なのです。
さらに2022年末には本編に新刊「日本の歴史 16 多様化する社会 平成時代~令和」が追加され、全16巻となっています。これに伴いセット組も新しくなっています。



どちらかというとストーリー重視ですが、集英社版がマンガとしての「面白さ」を狙っているのに対し、角川版は歴史の「流れ」を捉えようとしており、学校の授業を補完するのにうってつけの内容です。
さらに角川版は、本編16冊のほかに、別巻として「よくわかる近現代史」という全3冊のシリーズが出ています。歴史学習ではどうしても近現代史が手薄になりがちですが、そこもバッチリ押さえられるというわけです。
他社版で揃えた場合でも、この別巻だけ購入して近現代を補うこともできます。



「よくわかる近現代史」「別巻 歴史まるわかり図鑑」を含めた箱セットもあります。全20冊のセットです。


また毎年、年末頃になると中学受験に役立つ特典をつけた限定セットが発売されています。定価は上記「定番セット」と同じなので、おまけの分だけ単純にお得です。2022年末発売セットは下記5大特典がつきます。「関ケ原の戦い」「世界遺産マップ」がこれまでになかった新しい特典です。
・特典1 【戦国すごろく】織田信長・豊臣秀吉・徳川家康・武田信玄・上杉謙信になって、応仁の乱から大阪夏の陣までの歴史的な出来事をすごろくで体験! 目ざせ天下統一!
・特典2 【戦国武将のぼり旗デザイン しおり定規5枚セット】織田信長・豊臣秀吉・明智光秀は家紋を使用。武田信玄・真田幸村はのぼり旗を忠実に再現!戦国時代がキミの手の中に!
・特典3 【関ヶ原の戦いパノラマ大図解】天下分け目となった関ヶ原の戦い。東軍・西軍の布陣図や有力武将27名のプロフィール、当日の時間経過などを1枚のポスターに! 合戦の行方を目撃せよ!
・特典4 【近現代史まるわかりすごろく】家族や友達と一緒に楽しく遊ぶだけでむずかしい近現代史の流れが自然に身につく! 新型コロナや2020東京オリンピック・パラリンピックまで入った最新版!
・特典5 【まんがでめぐる!世界遺産マップ】日本にある世界遺産を完全ガイド! 『日本の歴史』まんがコマとともに遺産にまつわる歴史や背景を楽しく学べます。受験対策にもピッタリ!

学研「DVD付き NEW日本の歴史」


学研版は売れ行きの面では他社に遅れを取っている印象がありましたが、2021年2月に大リニューアルを仕掛けました。なんと全巻にDVDが付録されます。もともと刊行されていたシリーズと本編は特に変わりませんが、DVDが新たに追加される形になります。またハードカバーからソフトカバーへ変更され、サイズも菊判からA5判へとやや小ぶりになりました。
学習図鑑の世界ではDVD付きがスタンダードになっていますが、学習まんがにDVDがつくのは初めての試みで、人気次第では他社に広がっていくでしょう。
NHKの資料映像などを素材として使用しているということで、漫画とあわせて歴史への興味が盛り上がるのは間違いないでしょう。
DVD以外の特長としては、もともと学習参考書を手がけている出版社だけに、巻末資料が充実していることです。資料部分がかなりの割合を占めており、きちんと読み込めば、ほかの参考書は不要になるでしょう。小学館版が漫画の中で学習しようとしているのに対し、ストレートに学習参考書的資料がついているわけです。
巻数はコンパクトに収まっており、刊行時期も新しいため、フルカラーで見やすい絵柄です。
別巻2冊を含めた全14冊セットとなっています。

以前からに刊行されているハードカバー版箱セットも引き続き販売されているようです(ただしDVDはつきません)。


講談社「学習まんが 日本の歴史」


講談社からも新しいシリーズ「学習まんが 日本の歴史」が2020年7月に刊行されました。
角川のシリーズと同じく、B6判ソフトカバーのコンパクトなサイズです。しかし、既刊のシリーズに対抗してか、総ページ数は他社を上回り、ナンバーワンです。
まず目を引くのは各巻冒頭の図録です。このコーナーだけでなかなかのボリュームがありますが、ビジュアルでその巻の内容を予習し、その上でマンガ本編に入っていく流れとなっています。
また、ページの枠外に「マメ知識」として受験に役立つ内容や歴史に興味を持てるトリビアが書かれているのですが、これがなんと全ページに書き込まれていて、情報量は膨大。中学受験、高校受験、大学受験まで視野に入れて作られているようです。
また、他社はほぼ無名の漫画家を起用しているのに対し、講談社の週刊・月刊漫画誌で活躍した経験のある人気作家を起用しており、画力でも他のシリーズを圧倒しています。
王者・角川に迫る人気シリーズとなっています。
セット内容はこれまで本編のみの20冊セットでしたが、2022年末から別巻2冊を含む全22巻セットにリニューアルされました。
セットには特典として「歴史人物データカード全120枚」「日本史重要人物イラスト年表」「47都道府県早わかりデータBOOK」「知っておきたい!日本の史跡・名所・名物こだわりMAP」がつきます。

まとめ

というわけで、各社版を簡単におさらいすると

小学館:2022年12月に新版刊行。高校日本史教科書の定番・山川出版社の監修で受験対策を意識した内容にリニューアルされています。ソフトカバー。
集英社:B6判ソフトカバー。近現代史が充実。ストーリー展開重視。ソフトカバーのコンパクト版がメインになっていますが、刊行当初からのハードカバー版セットも入手可能。内容はいずれも同じ。丈夫な製本を希望される方には唯一の選択肢となります。
角川:B6判ソフトカバー。場所を取らずコンパクトで価格も安い。別巻の近現代史もあり。歴史の流れを重視。2022年末に平成~令和編が1冊追加されました。
学研:A5判ソフトカバー。学習まんが初のDVD付き。本編は巻末資料が充実。学習重視。参考書の代わりになる。以前から販売されている菊判ハードカバー版はDVDなし。
講談社:B6判ソフトカバー。価格を抑えつつも、マメ知識欄など情報量が多く、ページ数も最大。著名な人気漫画家を起用。

まあ、正直なところ、熱心に読み込むお子さんであれば、「学習」という観点ではどれを買ったところでたいした違いはないかと思います。

なお、2022年12月に講談社の動く図鑑「MOVE」のシリーズに「日本の歴史」が加わりました。
価格が少し高めですが、学習まんがで不足している図版資料が大充実しており、おすすめです。



簡単な紹介記事も書きましたのでご参照ください。
講談社動く図鑑MOVEに「日本の歴史」登場

無料 試し読み電子書籍

なお、ぞれぞれのシリーズのイラストの雰囲気について、実際のところを確認されたい場合は、各公式サイトで試し読みをでき、また無料のお試し版を電子書籍(Kindle)で読めます。










番外:大人向け文庫版

以上、お子さん向けのシリーズをご紹介しましたが、電車の中で大人が読むにはやや抵抗があります。
子どもだけでなく、自分でも読みたいというお父さん、お母さんには文庫版が出ています。

【角川文庫】


最も売れているシリーズである「角川まんが学習シリーズ」がそのまま文庫版になっています。
児童向けではなく、一般向けという形で刊行されていますが、イラストや字が小さくなり、カラーページもモノクロになっていることさえ気にしなければ、価格も安く、コンパクトに揃えることができます。
全巻箱入りセットも発売されています。




【集英社文庫】




集英社文庫からは「日本の歴史」と「世界の歴史」も出ています。
集英社の学習漫画シリーズは何度か改訂されていますが、この文庫に収録されているのは20年ほど前に刊行されたバージョンです。とはいえ、小中学生が学ぶレベルの歴史が10年や20年程度で大きく変わるわけではなく、大人がいま読んでも一向に差し支えない内容です。
コンパクトにまとまっており、場所を取らないし、価格も安いしで、かなりよく売れているようです。

【中公文庫】
さて、中公文庫からは2020年11月より、石ノ森章太郎版「マンガ日本の歴史」の新装版が刊行されています。これは全55巻という規格外のボリューム。20年ほど前にも一度中公文庫に収録されましたが、その新装版です。
大人向けに描かれた作品のため、小学生にはやや難しいかもしれませんが、文句なしの画力と確かな時代考証で平成元年の刊行開始時にはベストセラーとなっています。
子ども向けの学習漫画では満足できない、歴史好きのお子さんはこちらをどうぞ。



箱セットも順次刊行されています。
文庫 新装版マンガ日本の歴史 1~12巻
石ノ森 章太郎
中央公論新社
2021-03-25



関連記事:
学習漫画「世界の歴史」買うならオススメはこれ! 4大シリーズを比較
2022年版 教学社大学入試過去問シリーズ(赤本)Amazonリンク一覧
こども向け図鑑を揃えるなら、おすすめはどれ?4大出版社を比較!

小学館「ドラえもんの学習シリーズ」全巻一覧

学習漫画「世界の歴史」オススメはこれ!【2023年最新情報】人気4大シリーズを比較


はじめに

以前の記事で学習漫画「日本の歴史」の選び方をご紹介しました。

学習漫画「日本の歴史」買うならおすすめはこれ!人気5大シリーズを比較

今回はその「世界の歴史」編です。
ところが、世界の歴史に関しては、日本の歴史ほどたくさんの種類は出ていないんですよね。
また、読者の方も日本の歴史ほど熱心ではない印象があります。
おそらく「日本の歴史」は小学生から学習するものの、「世界の歴史」となると本格的に学ぶのは高校に入ってからであり、大学受験対策として勉強する人が多いため、「高校生になっても学習まんが??」というイメージがあるためではないでしょうか。

これについて筆者は「歴史については高校生でもマンガで勉強すべし」と考えています。
というのは、筆者自身も大学受験のときは学習漫画で世界史を覚えたんですよね。
教科書の文字を追うだけでは膨大な人名を覚えるのは不可能。物語に落とし込んで視覚的に理解できるマンガは、歴史学習にうってつけです。これで流れを理解した上で、教科書や資料集で細部を詰めていけば受験勉強は一丁上がりです(ホントです)。

というわけで、「世界の歴史」も「日本の歴史」と同じく、小学生のうちに買って大学受験まで繰り返し読んで大事に手元へ置いておくのがおすすめですが、それでは何を買えば良いのか?
今のところ、有力なシリーズは次の4社です。




学研はこれまで全12巻で刊行されていたシリーズをリニューアルし、増補改訂版として新たに全13巻シリーズに生まれ変わります。2023年7月刊行予定です。




では、シリーズを一つ一つご紹介していきます。

学習漫画「世界の歴史」人気4大シリーズ

集英社 学習まんが 世界の歴史 全22巻セット




公式サイト:http://kids.shueisha.co.jp/sp/sekainorekishi/
実は「世界の歴史」の学習漫画を一番最初に発行したのは集英社です。筆者が大学受験のときに読んでいたというのは、集英社から出た最初のバージョンでした。以前は、世界史のマンガは集英社以外に選択肢がなかったわけです。
それから何度か改訂されているため、イラストはずいぶんと洗練されてきました。
集英社版はパイオニアらしく、「学習」と「漫画」とのバランスが取れた内容です。高校で学習する世界史の流れに沿っており、物語のあいまに挟まれる解説やコラムも充実しています。小学生から高校生まで、楽しみながら学習できる内容です。
セットの特典は時期によって変わります。以前に出たセットの在庫が残っていることもあるので、Amazonでチェックしてみてください。

なお、集英社からは同じシリーズとして「中国の歴史」も全11巻という本格的なボリュームで刊行されています。
中国史の学習漫画は集英社版が唯一です。西洋史以上に日本文化には深く影響しているものであり、また「三国志」「項羽と劉邦」「楊貴妃」など馴染みの深いエピソードも満載なので、学校での授業や受験とは別に、読んでおくとよいでしょう。筆者が子どものころに、こちらの旧バージョンが刊行され、親に買ってもらって何度も繰り返し読んでいました。



KADOKAWA 角川まんが学習シリーズ 世界の歴史 全20巻

2021年2月に発売された新シリーズです。
公式サイト:https://mangagakushu.kadokawa.co.jp/sekainorekishi/

「日本の歴史」では後発ながら最も人気があるシリーズとなってしまったKADOKAWAの学習まんが。いよいよ世界史のシリーズが発売されました。
全20巻のうち11冊が近現代史という、大学受験まで使える内容です。
世界史の学習まんがでは唯一、B6ソフトカバーのコンパクトな装丁です。全20冊の大ボリュームと手頃な価格で、世界史分野でも人気シリーズとなることと思われます。
本編のみの定番セットとは別に、別巻1冊を加えた特典付き全21冊セットも発売されています。
2022年末発売セットの特典は
・特典1
【世界史まるみえゲーム[1929~45]】
二択問題に答えて楽しくゲームを進めるうちに、第二次世界大戦の5つの国の動きがしぜんに身につく!
・特典2
【ユーラシア大冒険すごろく】
マルコ=ポーロ・イブン=バットゥータ・鄭和・天正遣欧少年使節の、13~16世紀の4組の冒険者たちのユーラシア旅行をすごろくで体験!
・特典3
【世界の偉人 名セリフ付箋】
ブッダ・ルイ14世・チャーチルの名セリフが入った付箋3本セット…キミならどう使う?
とのことです。本編の内容は定番セット同じです。

小学館 学習まんが 世界の歴史 全21巻セット


2018年に刊行された新しいシリーズです。
全17巻の本編と、全4巻のイスラム世界編で構成されており、従来はそれぞれセットとなっていますが、全21巻のセットが発売されました。

このシリーズの一番の特徴は、「山川出版社」が監修しているという点ですね。
小学館の本なのに山川出版社ってどういうこと? と思われるかも知れませんが、山川出版社は歴史書の刊行で有名な出版社です。日本の高校で最も使われている日本史、世界史の教科書も山川出版社が発行しており、大学受験用学習参考書も歴史については山川出版社が一強です。
というわけで、高校生にとっては安心感のあるブランドですが、では小学生には難しすぎるのか?
これが、内容を読むと全くそんなことはありません。むしろ、マンガとしては各社の中でも最も小学生でも読みやすい内容なのではないかと感じました。
小学生のうちから親しみつつ、大学受験対策としても外さない。そんなシリーズに仕上がっています。

2018年に刊行された本編に加え、2021年末にイスラム諸国のみをまとめた別巻も出ました。
これは大学受験どころか、社会人が読んだ方がよい状態になっています。
全4冊で「イスラム世界」「オスマン帝国」に特化した内容です。
本編、イスラム世界編、それぞれのセットもあります。

学習まんが世界の歴史全巻セット
小学館
税込17,993円
2018-11-29



 



学研 学研まんがNEW世界の歴史 14巻セット

公式サイト:https://gakken-ep.jp/extra/manga/world/

学研版はフルカラーの美麗なイラストが特徴のシリーズです。
これまでは本編全12巻でしたが、7月にリニューアルされ、全13巻の増補改訂版となります。
本編ではロシアによるウクライナ侵攻までをカバーし、またこれまでも充実していた巻末資料がさらにブラッシュアップされます。もともと学習参考書の出版社である学研の強みを生かした内容です。
初回版のセットには以下の特典が付きます。
・特典1「ツタンカーメンの棺風缶ペンケース」
・特典2「プロジェクターペン」
・特典3「ヒエログリフひらがな早見表下敷き」
・特典4「寝る前5分暗記ブック」
・特典5「世界の歴史年表」
世界の歴史の重要事項をまとめた年表です。日本の歴史年表と照らし合わせて使えます。人類の登場からロシアのウクライナ侵攻まで収録した、2枚組です。

まとめ

というわけで、「世界の歴史」となると4社とも大学受験まで意識した作りになっていますが、その上で特徴をまとめるとこんな感じでしょうか。
集英社……小中学生にも親しみやすく、高校レベルの解説も充実。
KADOKAWA……2021年2月発売の最新シリーズ。近現代が充実。「日本の歴史」シリーズはシェアナンバー1なので、世界の歴史も期待されます。
小学館……山川出版社の監修で、大学受験まで安心。小学生にも読みやすい。他社よりも安い価格設定。2022年末には日本の歴史も山川出版社監修の新版が刊行されました。
学研……マンガ部分は小中学生向けだが、巻末資料は高校生向け参考書レベル。2023年7月に増補改訂版にリニューアル。

無料 試し読み電子書籍

ぞれぞれのシリーズのイラストの雰囲気について、実際のところを確認されたい場合は、各公式サイトで試し読みをでき、また無料のお試し版を電子書籍(Kindle)で読めものもあります。以下はKindleダウンロードページヘのリンクです。






学研版は、現時点で第1巻を無料公開していますが、ずっと無料で配信し続けるのかはわかりません。

おまけ

「日本の歴史」と同じく、集英社から以前出ていたバージョンの「世界の歴史」は集英社文庫でも読めます。実はこれ、大人が世界史を再学習する本として、隠れたロングセラーになっているのです。



高校生にもなって、児童書で勉強するのはちょっと……という方は、こちらの文庫版をおすすめします。元版は15年以上前に刊行されていますが、歴史の大きな流れはその程度で変わったりはしません。

関連記事:
学習漫画「日本の歴史」買うならオススメはこれ!人気5大シリーズを比較
こども向け図鑑を揃えるなら、おすすめはどれ?4大出版社を比較!

講談社動く図鑑MOVEに「日本の歴史」登場

move日本の歴史




2022年12月、講談社の動く図鑑「MOVE」のシリーズに「日本の歴史」が加わりました。
「歴史の図鑑って?」
「価格がちょっと高くない?」
と、いろいろ気になったためチェックしてみました。

以下の記事でも紹介していますが、子ども向けの「日本の歴史」といえば学習まんががまず浮かびます。
学習漫画「日本の歴史」オススメはこれ!【2023年最新情報】人気5大シリーズを比較

講談社からも学習まんがシリーズが発売されていますが、それでは子どもへ買い与えるとすれば、「MOVE」とどちらがおすすめでしょうか?

ポイント1:フルカラーのビジュアル

まず大きいポイント言えるのが、ビジュアルです。
「図鑑」を謳っていますが、内容はリアルなイラスト、写真のフルカラーで時系列に紹介しています。
大判の迫力のある見た目で、学習まんがでは不足する資料を保管する内容と言えます。

ポイント2:付録DVD

講談社の図鑑MOVEの最大の特徴であるDVD。
本書にももちろん付録しています。
下記公式サイトでダイジェスト版を見られます。
https://cocreco.kodansha.co.jp/move/published_list/series_move/0000359559
高校受験、大学受験レベルではありませんが、約70分の収録時間で、歴史に興味を持ち始めたばかりの小学生には楽しい内容です。

ポイント3:詳細な解説文

DVDは子ども向けですが、各ページの解説文は本格的です。
ビジュアルを楽しみつつ、解説文を繰り返し読めば、教科書もよりも楽しく、学習まんがよりも簡潔でコンパクトに歴史学習の重要事項を覚えられる仕組みになっています。
解説の内容は共通テストレベルであれば、大学受験もほぼこれでいけますね。

まとめ

というわけで、学習まんがシリーズとの比較で言えば
・漫画では不足している資料が充実
・DVDつきで小学生にも馴染みやすい
・1冊にまとまっていてコンパクト
ということになります。
本体価格4000円というのはMOVEの中でも高めで少し怯んでしまいますが、その分、各ページにはぎっしりと情報がつまり、ページ数も特大です。
学習まんがを揃えていてもいなくても、家庭に1冊置いておく価値はあると思いました。


スポンサーリンク
profile

筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
ブログ更新通知:https://twitter.com/squibbon19

プロフィール

squibbon