202210長谷川和彦038

7月にとんでもないものが出ていたのですが、全然気づいていませんでした。
渋谷のユーロスペースで長谷川和彦の特集上映が行われることは何かでチラッと目にしていたのですが、それを記念した本が出版されていたとは。
東京から離れて暮らしていると、こういう情報にほんと疎くなってしまいます。

長谷川和彦 革命的映画術
A PEOPLE株式会社
ライスプレス
2022-07-19


日頃、書店の映画コーナーは熱心にチェックしているのですが、こんな本は見かけたことがありません。確認すると、扱っている書店も一部あるようですが、基本的にはAmazonでしか販売していないということでした。一般の書籍と同じ流通には乗せていないようです。
なんとなんと。
Twitterでもこういう本が出ると騒ぎそうな方たちをフォローして頑張って情報収集していたつもりですが、なぜかほとんどつぶやかれていませんでした。

詳細な内容はAmazonの商品情報に目次があるのでそちらを参照いただくとして、長谷川和彦が関与した映画の全作品レビューと、監督作「青春の殺人者」と「太陽を盗んだ男」のシナリオが収録されています。

個人的に重要なのは「太陽を盗んだ男」のシナリオ!
実はこのシナリオ、これまで公刊されたのは知る限りでは1度きりでめちゃくちゃ入手困難なのです。
筆者は映画のシナリオを読むのが好きで、気に入った邦画については雑誌や書籍に掲載・収録されたものを買い集めています。
「青春の殺人者」はこれまで1976年版『年鑑代表シナリオ集』『日本シナリオ大系 第6巻』『田村孟 人とシナリオ』に収録されており、入手はそれほど難しくありませんでした。
ところが「太陽を盗んだ男」を収録した書籍は1979年版『年鑑代表シナリオ集』のみ。古書価もかなりのものになっています。

そんなわけで筆者はこのシナリオを読めずにいたのですが、この『長谷川和彦 革命的映画術』に収録されているということで、慌ててAmazonで購入しました。
いや、危なかったですね。刊行が7月なので、この手の本は売り切れても仕方ありません。

今回収録されたのは最終稿ということですが、読んでみるとなんとなくアドリブでやっていたのかな、と思うシーンについてもシナリオで詳細に描写されていたりして、なるほど細かいところまで予めきちんとした設計されていたのだとわかります(ゲリラ撮影されたと言われるシーンもほぼシナリオ通りに撮影されてます)。

というわけで、今のところはAmazonでも「在庫あり」になっているので、同じくずっと探していたという方はこの機会に確保されておくことをおすすめします!


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