12年前に買ったテレビの調子が悪くなってきて、頻繁に画面が乱れるようになってきました。
買い替え時だろうということで、BRAVIA「KJ-43X8500H」を購入しました。
すると、ちょうどキャンペーン中ということでU-NEXTとHuluが3ヶ月間無料という特典がついてきたのです。
一度U-NEXTを覗いてみたいと思っていたので、願ったり叶ったり。さっそく加入したわけですが、しかし結局のところ「見放題」できるコンテンツは非常に限られていますね。
それなりに配信数は多いものの新作や人気のコンテンツは軒並み追加料金がかかります。
とはいえ、旧作の邦画はなかなか充実しています。これまでの人生で見逃してきた邦画をせっせと消化することにしました。
そこで見かけたのが、1993年のドラマ「高校教師」。
もう27年も前のドラマになるのか。放映時は筆者は高校2年生。そう、ヒロインと同じ学年です。周囲の友人はほぼ全員が見ていると言っていいくらい、かなり話題になっていました。
ところが、筆者は当時は何回かチラッと見た程度で、まともに見ていませんでした。
そのまま改めて見る機会はなく、どんなストーリーなんだか全然知らないまま、これまでの人生を過ごしてきました。
放映時に見ようという気にならなったのはいろいろ理由があって、まずヒロインの桜井幸子がオバチャンにしか見えなかった。「え?こんなオバチャンが俺と同い年?」と、その時点でリアリティゼロ。桜井幸子の実年齢が自分より2つ上という情報は持っていなかったのですが、この頃は1つ2つでも年の差を敏感に察知していたわけです。
また、真田広之は更に輪をかけたオッサン。大河ドラマ「太平記」で高氏を演じたあとなので、もうこっちとしてはオッサンにしか見えないのです。
岡村靖幸が「35の中年」と歌うのを何の違和感もなく聞いていた年頃ということもあり、「女子高生のふりをしたオバチャンがオッサンとよろしくやっている」という程度の認識で、世間の評判を聞いてもなんの興味も持たなかったわけです。
この認識は、まあヒドイといえばヒドイものですが、当時の筆者には正しいものだったと思います。
要するにそもそもこのドラマ自体が「お子様お断り」だったということかもしれません。
40代も半ばになった今頃になってから、とりあえず第一話だけ見てみようと再生をはじめたところ、「あれ?桜井幸子ってこんなに可愛かったの?」「うわ、真田広之、若い!」と、むかし違和感を持っていたポイントは全て解消されていることが確認されました。
さて、過激な設定で評判になったドラマですが、実際に見てみるとこれはドラマとして恐ろしくよくできていますね。
その後の野島伸司の「家なき子」とか「ひとつ屋根の下」あたりは「高校教師」よりはまともに見ていたのですが、単なる不幸の釣瓶打ちで、あざとさしか感じませんでした。
野島伸司はそういう脚本家だと思っていたのですが、しかし「高校教師」を見て認識が大いに変わりました。
人物設定や事件一つ一つが、扇情的なものであっても主人公2人を悲劇に向かわせるため、歯車としてがっちりと機能しています。
Wikipedia の記事を見ると、野島伸司は企画のコンセプトとして「ギリシャ神話のような作品」ということをあげていたそうです。
この発言の出典があげられていないため、正確にはどのような文脈で語られたものかわかりませんが、筆者としてはこれは「ギリシア悲劇のような作品」ということだったのでは?と推測します。
ギリシア悲劇は古代アテネで上演されていた、神話に材をとった演劇です。
戯曲がいくつか残されており、現代でも古典文学として親しまれていますが、おそらく野島伸司が意識したのは神話よりもこちらの方でしょう。
人智が及ばぬ圧倒的な運命と、人間が本来的に持つ愛情、嫉妬など正負の感情とが絡み合う展開が特徴です。
その観点で「高校教師」を見ると、繭と羽村それぞれが人間的に複雑な事情を抱えたこのタイミングで出会うこと自体が運命的ですが、その性格や行動はもちろん、主人公たちの力ではどうしようもない周囲の思惑や偶然に翻弄され、悲劇的な結末へ向けて一直線に進んでいきます。
この「一直線」というところが若干の不満点で、もう少し2人の関係に潤いを与えてあげてもよかったのでは?と思うくらい、連続ドラマでありながら急展開ですが、逆に言えば一つ一つのエピソードやセリフにほとんど無駄がなく、役者の演技にも緊張が漲っているように感じました。
この頃からシェイクスピア役者としても活動を始める真田広之の代表作の一つとされているのもむべなるかな。
とまあ、27年も昔の大ヒットドラマを今さら絶賛するのもいかがなものかと思いますが、結局、全11話を2日で完走したうえ、印象に残るシーンをちょこちょこと見返すという生活をここ数日続けております。
シナリオが出ていたら読みたいくらいですが、出ていないようですね。
関連記事:
ギリシア神話を知るには、おすすめの本はどれ? 大人から子どもまで各種紹介
買い替え時だろうということで、BRAVIA「KJ-43X8500H」を購入しました。
すると、ちょうどキャンペーン中ということでU-NEXTとHuluが3ヶ月間無料という特典がついてきたのです。
一度U-NEXTを覗いてみたいと思っていたので、願ったり叶ったり。さっそく加入したわけですが、しかし結局のところ「見放題」できるコンテンツは非常に限られていますね。
それなりに配信数は多いものの新作や人気のコンテンツは軒並み追加料金がかかります。
とはいえ、旧作の邦画はなかなか充実しています。これまでの人生で見逃してきた邦画をせっせと消化することにしました。
そこで見かけたのが、1993年のドラマ「高校教師」。
もう27年も前のドラマになるのか。放映時は筆者は高校2年生。そう、ヒロインと同じ学年です。周囲の友人はほぼ全員が見ていると言っていいくらい、かなり話題になっていました。
ところが、筆者は当時は何回かチラッと見た程度で、まともに見ていませんでした。
そのまま改めて見る機会はなく、どんなストーリーなんだか全然知らないまま、これまでの人生を過ごしてきました。
放映時に見ようという気にならなったのはいろいろ理由があって、まずヒロインの桜井幸子がオバチャンにしか見えなかった。「え?こんなオバチャンが俺と同い年?」と、その時点でリアリティゼロ。桜井幸子の実年齢が自分より2つ上という情報は持っていなかったのですが、この頃は1つ2つでも年の差を敏感に察知していたわけです。
また、真田広之は更に輪をかけたオッサン。大河ドラマ「太平記」で高氏を演じたあとなので、もうこっちとしてはオッサンにしか見えないのです。
岡村靖幸が「35の中年」と歌うのを何の違和感もなく聞いていた年頃ということもあり、「女子高生のふりをしたオバチャンがオッサンとよろしくやっている」という程度の認識で、世間の評判を聞いてもなんの興味も持たなかったわけです。
この認識は、まあヒドイといえばヒドイものですが、当時の筆者には正しいものだったと思います。
要するにそもそもこのドラマ自体が「お子様お断り」だったということかもしれません。
40代も半ばになった今頃になってから、とりあえず第一話だけ見てみようと再生をはじめたところ、「あれ?桜井幸子ってこんなに可愛かったの?」「うわ、真田広之、若い!」と、むかし違和感を持っていたポイントは全て解消されていることが確認されました。
さて、過激な設定で評判になったドラマですが、実際に見てみるとこれはドラマとして恐ろしくよくできていますね。
その後の野島伸司の「家なき子」とか「ひとつ屋根の下」あたりは「高校教師」よりはまともに見ていたのですが、単なる不幸の釣瓶打ちで、あざとさしか感じませんでした。
野島伸司はそういう脚本家だと思っていたのですが、しかし「高校教師」を見て認識が大いに変わりました。
人物設定や事件一つ一つが、扇情的なものであっても主人公2人を悲劇に向かわせるため、歯車としてがっちりと機能しています。
Wikipedia の記事を見ると、野島伸司は企画のコンセプトとして「ギリシャ神話のような作品」ということをあげていたそうです。
この発言の出典があげられていないため、正確にはどのような文脈で語られたものかわかりませんが、筆者としてはこれは「ギリシア悲劇のような作品」ということだったのでは?と推測します。
ギリシア悲劇は古代アテネで上演されていた、神話に材をとった演劇です。
戯曲がいくつか残されており、現代でも古典文学として親しまれていますが、おそらく野島伸司が意識したのは神話よりもこちらの方でしょう。
人智が及ばぬ圧倒的な運命と、人間が本来的に持つ愛情、嫉妬など正負の感情とが絡み合う展開が特徴です。
その観点で「高校教師」を見ると、繭と羽村それぞれが人間的に複雑な事情を抱えたこのタイミングで出会うこと自体が運命的ですが、その性格や行動はもちろん、主人公たちの力ではどうしようもない周囲の思惑や偶然に翻弄され、悲劇的な結末へ向けて一直線に進んでいきます。
この「一直線」というところが若干の不満点で、もう少し2人の関係に潤いを与えてあげてもよかったのでは?と思うくらい、連続ドラマでありながら急展開ですが、逆に言えば一つ一つのエピソードやセリフにほとんど無駄がなく、役者の演技にも緊張が漲っているように感じました。
この頃からシェイクスピア役者としても活動を始める真田広之の代表作の一つとされているのもむべなるかな。
とまあ、27年も昔の大ヒットドラマを今さら絶賛するのもいかがなものかと思いますが、結局、全11話を2日で完走したうえ、印象に残るシーンをちょこちょこと見返すという生活をここ数日続けております。
シナリオが出ていたら読みたいくらいですが、出ていないようですね。
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