前回の記事にも書いたとおりNetflix初体験中なわけですが、当初の目的である「呪怨」と「アイリッシュマン」を片づけたあとは、これまでなんとなく見逃していた映画をボチボチと観ています。

そんな一つが2016年の「残穢」。言わずとしれた小野不由美原作のホラーです。
原作は刊行されてすぐに読んでいて、映画もそのうち観よう、とは思っていたのですが、そのままになってしまっていました。
せっかくなのでこの機会に鑑賞したのですが、まあ今更すぎるので詳細な感想は省略するとして(ひとことだけ言っておくと、予想していたよりはかなり怖くて、楽しめました!)、本筋と関係ない部分で一点、気になったことが。

このシーンです。
(ちなみ違法にスクリーンショット撮ったわけではなく Android のアプリだと普通の手順で撮れます)

Screenshot_20201007-225020

橋本愛演じる女子大生が、隣室の物音に気づいてふすまを開けるシーン。奥に本棚が見えます。
スクリーンショットだとやや画像が荒くなってわかりづらいのですが、実はHD画質でテレビの画面で見ると書名がわかります。

Screenshot_20201007-225020big

といっても全部わかるわけではありませんが、読み取れたものを並べると、下記の通り。







終着駅殺人事件 (カッパ・ノベルス)
西村 京太郎
光文社
1980-07


悪魔の人質 (カッパ・ノベルス)
笹沢 左保
光文社
1982-11


なんだなんだこの並びは。
一応、時代設定は映画公開とほぼリアルタイムということになっているようですが、これはちょっと、今どきの女子大生の本棚じゃないですね。(笹沢左保と西村京太郎は完全にオジサン向け!)
小野不由美の旦那さんである綾辻行人の作品があるのはわかりますが、ほかの作家は全く女子向けでないうえ、発売時期も古すぎる。
さらに、このカッパ・ノベルス推しは誰の趣味なんでしょう?
といっても、折原一、島田荘司、綾辻行人のこの辺の作品は、私もカッパ・ノベルスでリアルタイムで読んでいたため、妙に懐かしい気分になりました。(背表紙をチラッと見ただけでピンときたのは自分も持っていた本だからです)

という風にノベルスは謎のラインナップですが、一方、単行本は女子大生の蔵書として比較的まともです。

Another
綾辻 行人
角川書店(角川グループパブリッシング)
2009-10-30








第十の予言
ジェームズ レッドフィールド
角川書店
1996-06


いや、訂正。佐々木譲「ワシントン封印工作」は変だ。この並びでなぜ佐々木譲が入ってくる??

まあ、性別や年齢で読む本を規定する必要はなく、女子大生らしくない、というのは全くの私の主観というか、言いがかりに近いものではあるのですが、とはいえやはり不思議なラインナップです。
現場に本好きのスタッフがいたら、「これはちょっとおかしいのでは?」と監督へ進言することになるのでは、と思われますが、一方で妙に筋は通っていて、全く本のことを知らない人がデタラメに並べた本棚とは思えない。
セットではなく、誰かの家で撮影して、そこにもともとあった本棚へ女子大生っぽい本をちょこちょこ追加してみたという感じなんでしょうか?

実を言えば前述のとおり、私はここに並んでいる折原一、島田荘司、綾辻行人のノベルス作品はリアルタイムで読んでおり、単行本の方も「ワシントン封印工作」だけは文庫で読みましたが、あとは単行本で読んでいます。妙に自分の趣味ともかぶっている。(いや一つだけ、「第十の予言」は読もうと思ったことすらありません)

いろいろと思い巡らせてしまいますが、Netflixではメイキング映像は配信していないうえ、もしメイキングを見たとしても本棚の選書については触れていないだろうと思いますので、これは全く本編中の怪奇現象以上に謎です。


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