ちくま文庫から11月に都筑道夫「紙の罠」が刊行されます。
都筑道夫は「三重露出」「猫に舌に釘をうて」「七十五羽の烏」「なめくじ長屋」シリーズなどの本格ミステリが有名ですが、アクション小説もいろいろ書いており、筆者はどちらかと言うとそちらの方が好きなのです。
この「紙の罠」は「なめくじに聞いてみろ」に続く、コミカルなアクション小説の第2弾ということになります。
紙幣印刷用の紙を積んだトラックが襲撃され、大量の用紙が盗まれたとニュースになる。
となると、犯人の目的は偽札作りだろうから、次に狙われるのは偽札印刷の名人だろう……ということで、主人公たちは名人の身柄を犯人グループより先に押さえ、身代金をせしめようを画策します。
このプロットからして、もうたまらん。
筆者がこの小説を何で知ったのかはよく覚えていません。
30年ほど前、中学2年生のときにたまたま読んだ「なめくじに聞いてみろ」で都筑道夫の魅力に取りつかれ、同じ系列にある作品としてこの「紙の罠」と「暗殺教程」とが並べて紹介されているのを何かで読んだのでした。
都筑道夫本人のエッセイだったような気がするのですが、よくわかりません。
のちに単行本化された『推理作家の出来るまで』では、たしかにこのあたりの作品を並べて回顧しているのですが、平成元年頃には筆者にはこの文章を読むすべはなかったはずで、なにか別の本だったのではないかと思うのですが……
ともかく、当時は都筑道夫の初期作品は何もかも絶版だったため、「紙の罠」も「暗殺教程」も古本屋で文庫を探して読みました(入手は楽でした)。
その後、「なめくじに聞いてみろ」は扶桑社文庫から、「暗殺教程」は光文社文庫から復刊されましたが、「紙の罠」はどこからも復刊されずさびしく思っていました。
今回は土方・近藤シリーズの続編となる「悪意銀行」も一緒に復刊されるということなので、久しぶりに読み返すことにしようと思っています。
ついでに言えば、今回は「土方・近藤シリーズ」の復刊という趣旨のようですが、できれば「都筑道夫アクション小説の復刊」という路線にしていただき、「なめくじに聞いてみろ」も続刊で出してくれないかな、と。
講談社文庫版は古本屋で3冊も買っているし、扶桑社文庫版も買って大事に持っているのですが、ちくま文庫から出るとなったら、また買っちゃいますよ、絶対に。扶桑社文庫版が出て、よく考えたらもう20年近く経っています。
「紙の罠」「悪意銀行」のあとに続けで刊行されても一切の違和感はないので、ぜひ、と願っております。
ちなみに、書き忘れましたが冒頭の画像は「紙の罠」を映画化した日活「危いことなら銭になる」のDVDジャケット。
詳しいことは、以前に書いたこちらの記事を御覧ください。
都筑道夫関連映画のDVD その1
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