20170124新・平家物語032

このところ更新頻度がえらく落ちてしまいましたが、実は異動があったりでバタバタしており、それどころじゃない(加えて、わが家でPCを置いている部屋に暖房がないため、とても長居できない)といった事情でした。
以前はかなり無理して更新を続けていたので、なかなかそのペースへ戻すのは難しいのですが、死んだと思われない程度には記事をアップしていきたいと思います。

これまでは職場まで1時間半かけて通勤していました。
電車の中ではたっぷりと本を読み放題。これはなかなかよい環境でした。
筆者はこれまでの人生、長い小説はなるべく避けて通ってきました。
何冊も続くような小説は、高校生の頃に「宮本武蔵」を半年くらいかけて読んだのが唯一にして最長。
「新・平家物語」とか「真田太平記」とか、司馬遼太郎の諸作にも挑戦してみたいな……と思っているだけで取り組んでみることもなく、月日は流れました。

それが、この1時間半通勤のおかげで激変。
とにかく電車の中というのは本を読むか寝るか、どっちかしかやることがない。幸いにも始発駅から終着駅までずっと乗っているので、その気になれば往復とも確実に座れる状況。朝は眠いので半分くらいは寝ていますが、帰りに寝ることはほぼなく、ずっと本を読み続けていました。

大長編にチャレンジし始めたきっかけは、実は宮部みゆき「ソロモンの偽証」でした。
以前に「模倣犯」が流行ったときは、やはり「長いから」という理由で手を出さなかったのですが、その後、あまりにも世間で盛り上がっているのを見て「ああ、やっぱり読んでおけばよかった。でも長いしな……」と、ずっともやもやしていました。
今回は「いくらでも本を読める時間がある」ということが背中を押し、新刊が出てすぐにチャレンジしました。
正直「ここまで長くする必要があるんかいな」と思わないでもなかったのですが、しかし途中でギブアップすることもなく、するすると最後まで読了。何だ、長い小説でも読めるじゃん。
と、自分の隠された能力にようやく気がつき、これまでスルーしてきた大長編に取り組んでみることにしたわけです。

と、そんなときに新潮文庫から「新・平家物語」の刊行が始まりました。
一度に読もうとするにはかなり大変そうな大長編ですが、毎月1~2冊ずつなら、読み切れるに違いない!
加えて以前の記事にも書いたとおり、小口研磨が大嫌いな筆者は、新刊刊行のチャンスを逃しません。
というわけで、これは1年以上かけて新刊が出るたびにボチボチと読み進めたのですが、これまたなんの障害もなく読破。ますます自信を深めました。

新・平家物語(一) (新潮文庫)
吉川 英治
新潮社
2014-01-29


で、同じような形で
「レ・ミゼラブル」
「三国志」
も、子どもの頃からずっと完訳に挑戦したい……と思っていたため、新訳刊行に合わせて読破。

レ・ミゼラブル〈1〉 (ちくま文庫)
ヴィクトール ユゴー
筑摩書房
2012-11-01




さらに大長編というものが好きになり、家族で志摩スペイン村へ行って「そういえば、『ドン・キホーテ』って読んだことなかったな」と気づいて、岩波文庫の全6冊を購入し、読破。

ドン・キホーテ 全6冊 (岩波文庫)
セルバンテス
岩波書店
2001-07-09


同じように「デイヴィッド・コパフィールド」、「白鯨」など、岩波文庫の海外文学もいろいろ読みました。



さらに長年、「本好き」を名乗っていながら司馬遼太郎を一冊も読んでいないということにコンプレックスを抱いていましたが、これもちょこちょこと読んでみたところ、めっぽう面白い。ああ、これは売れるわけだ。
……というように、大長編を次々読み漁る毎日を送っていたわけです。

さて、調子に乗って買ったもののまだ読み切れていないものもいくつかあります。

戦争と平和(全6巻) (岩波文庫)
トルストイ
岩波書店
2006-11-01


千一夜物語 13冊セット (岩波文庫)
渡辺一夫
岩波書店
1995-07-01


といった本が該当しますが、いやあ、しかしこの辺を読むのはもう無理かもしれない。

というのは、異動によって通勤時間が激減。
電車に乗っている時間はわずか18分になってしまったのです。
通勤時間が短くなるとともに、出張も増えたのですが、新幹線の中では全く本を読めません。というのは、座席が快適すぎてすぐに寝てしまうのです。先日は、京都あたりではまだ意識を保っていましたが、名古屋を通過したのには全く気づかず。目が覚めたら新横浜をすでに通過して品川の手前でした。
まあ、東京まで行く分には寝過ごす心配はないからのんびり寝ていればよい話ですが、読書という観点では、こんな調子では月に何回出張があっても1ページたりとも読めません。

という感じで、薄い文庫本ですら、何日もかかってしまう状況。
「戦争と平和」なんか、この調子で読んでいたら何年かかることか。
そんなわけで、またまた「大長編を読まない人」に戻ってしまいそうな気配ですが、なんとか本を読む時間を確保できるよう、工夫したいと思います。



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