MOVE恐竜

小学校の入学祝いや誕生日、クリスマスプレゼントなどに「昆虫」「恐竜」など、児童向け学習図鑑を買ってやろうと考えたとき、あまりに種類が多すぎて迷ってしまいます。
選ぶ参考になるポイントをまとめてみました。(最終更新:2019/10/28 ラインナップをアップデート)

1.最近の学習図鑑の傾向
筆者が子どもの頃は、学習図鑑といえば小学館か学研の2択でした。
わが家では小学館の図鑑をあれこれ買い揃えていましたが、学研からも全く同じようなラインナップで刊行されており、子ども心に不思議に思っていたものです。
筆者が自分の子どものために図鑑を買ったのは、それから約30年後。
長男が幼稚園の年中のとき、「獣電戦隊キョウリュウジャー」(2013年)の放映が始まり、親子で恐竜に興味を持ったため、図鑑を買うことにしたのです。

実はこの頃、図鑑業界ではある大きな変化が起きていました。
講談社が2011年「動く図鑑MOVE」で図鑑業界へ参入し、最後発にもかかわらずアッという間に天下を取ってしまっていたのです。
「MOVE」が画期的だったのは、文字通り図鑑が動く、つまりDVDを付録としてつけたことでした。それも、単なるおまけDVDではなく、本編と内容を連動させ、何度でも繰り返しDVDを見直したくなる工夫がされていました。わが家で買ったのも「MOVE」の「恐竜」でした。この数年間は、図鑑を買うといえばほぼ「MOVE」1択に近い状況でした。
このような「MOVE」の大成功を受けて、老舗の小学館、学研も2014年からDVD付きの図鑑を刊行開始。かつての勢いを盛り返しました。
こうして業界はふたたび戦国時代へ戻り、今に至っています。

2.大手出版社と図鑑の種類
ひとくちに図鑑と言っても、とてもすべて紹介しきれないほど、非常にたくさんのシリーズが刊行されています。
今回は、小学生から中学生くらいを対象にした定番のシリーズを紹介したいと思います。
現在、下記の5種類が定番のシリーズと言ってよいでしょう。
(リンク先はそれぞれの刊行一覧をまとめた記事です)

小学館「小学館の図鑑NEO
学研「ニューワイド学研の図鑑」「学研の図鑑ライブ
講談社「講談社の動く図鑑MOVE
ポプラ社「ポプラディア大図鑑WONDA

小学生のために購入を考えているのであれば、上記から選べば間違いはありません。
他にも数多くの図鑑シリーズがあり、強い目的意識を持って選ぶ場合(例えば、幼稚園児も楽しめる図鑑、とか、もっとマニアックな内容を、といった場合)には別のシリーズも検討すべきですが、「とりあえず揃えておこう」ということであれば、上記から選ぶことになります。
とはいえ、どれを選んでも間違いのない定番シリーズが5つもあるわけです(学研だけで2つも!)。
価格もすべて本体2000円で横並び。
紹介している動物や昆虫の種類はどれも似たようなものです。(というか、子ども用の図鑑で調べきれないような昆虫や植物を採集することは極めて稀で、そんな趣味があるなら一般向けの専門図鑑を買うべきです)
また、それぞれに「躍動感があり印象的な情報」「長く使える本格図鑑」などの特徴を謳っていますが、それほど劇的な違いがあるわけではありません。
では、いったいこの中からどうやって選べばよいのでしょう?
以下で、ポイントをいくつかあげてみます。

3.選ぶポイントその1 DVDの内容
「講談社の動く図鑑MOVE」が始めて、小学館・学研も追従しているDVD付録。
これも、各社それぞれに工夫しています。
まず、講談社のDVDはNHKが制作しています。「ダーウィンが来た」のようなノリで、驚きの映像を楽しむことができます。
「小学館の図鑑NEO」は、もともとDVDをつけずに刊行されていましたが、上述の通り2014年から一部のタイトルをDVD付きに改訂しています。そのDVDには、小学館が誇る最強キャラ、ドラえもんが登板。いつもどおりのドラえもんとのび太の掛け合いで、楽しく図鑑の世界を楽しめます。
学研はもともとDVDのつかない「ニューワイド学研の図鑑」シリーズを刊行していましたが、2014年からは新しくDVD付きシリーズ「学研の図鑑LIVE」をスタートしています。こちらのDVDはイギリスBBCの映像を使用。NHKに負けず劣らずの迫力ある映像を楽しめます。
ということで、DVDもそれぞれに魅力があります。

4.選ぶポイントその2 ラインナップの内容
図鑑というものは、どうしても同じシリーズを揃えたくなるものです。昆虫はNEOだけど、動物はMOVE、というような買い方はあまりしません。
このため、最初の一冊を買うにあたっては、シリーズ全体でどんなものが出ているかを眺めて、欲しいものが揃っているかどうかをチェックする、というのもポイント一つでしょう。
学習図鑑の業界は長年、小学館、学研(ニューワイド)の独占市場と言って良い状況でした。
このため、この2社はラインナップが豊富です。
一方、新しく出たばかりのMOVE、LIVE、WONDAなどは、やや分が悪い状況です。
とはいえ、各社とも熱心に新刊を出しているため、このあたりの差はやがて解消されていくでしょう。希望する図鑑の新刊がうまいこと発行されたら、その時点での最新の研究内容を盛り込んだものとなるだろうということも期待できます。
各社ラインナップ比較表を作ってみました。
◎はDVD付、○はDVDなし。✕は現時点で刊行されていません。(オリジナリティの強い企画は表に加えていません。各シリーズ別にラインナップを紹介した別記事を参照してください)
リンク先はAmazonの販売ページです。(このリストは定期的に更新していますが、最新情報は各社公式サイトをご確認ください)

N
E
O
L
I
V
E





M
O
V
E
W
O
N
D
A
動物
昆虫
植物
恐竜
両生類・爬虫類
水中生物
古代生物
危険生物
宇宙
星座
人体
乗り物
鉄道
地球
科学実験
岩石・鉱物・化石
イヌ(ネコ)
カブトムシ・クワガタムシ
飼育と観察
深海生物
野菜と果物
イモムシとケムシ
きのこ
ジャングルの生き物
世界遺産
世界の昆虫
発明発見
科学のふしぎ

学研は「ニューワイド」と「LIVE」とで刊行が重複していますが、筆者の個人的な印象では「LIVE」はDVDを付けた「ニューワイド」の改訂版のような位置づけです。「LIVE」で出ているタイトルをあえて「ニューワイド」で買う必要はないのでは、と思っています。

5.選ぶポイントその3 その他の付録
さて、上記の表を見ると、ポプラ社の「ポプラディア大図鑑WONDA」はラインナップも少ない上、DVDも付いていません。
ポプラ社は今のところこの業界、最後発であり、このため「最新の図鑑」「類書中最大の収録項目数」を謳っていますが、点数はまだ他社に比べると見劣りします。
その代わり、他社に比べるとかなり画期的な付録を用意しています。
というのは、「もって歩けるPOCKET WONDA」と題して、薄い小型図鑑冊子を付けているのです(16巻「イヌ・ネコ」にはつきません)。
考えてみれば、昆虫、植物、鳥、さらには星座や鉄道まで、図鑑に掲載されているものの実物は全てフィールドにあり、調べてみたくなるのも外出中の場面です。
しかし、大判の図鑑を抱えて外出というのはなかなか大変です。そのときに、この冊子は威力を発揮するというわけです。図鑑本来の目的を考えれば、DVDよりも冴えた特典かも知れません。

また、学研の図鑑LIVEは、一部のタイトルでスマホと連動して3DARを楽しむことができます。「ポケモンGO」のポケモン図鑑と同じようなイメージで、恐竜などを現実の世界に置いて、観察したり写真を撮ったりできます。対象商品は別ページのリストをご確認ください。

6.各社の特徴まとめ
というところで、各シリーズのおすすめポイントをまとめておきます。

小学館「小学館の図鑑NEO
→公式サイト https://www.shogakukan.co.jp/pr/neo/
業界最大手の老舗。シリーズ全体の売上はトップ。ラインナップが豊富。DVDはドラえもんが登場。「きのこ」「イモムシとケムシ」など他社にはないマニアックなものも出ており、大人にも人気。

学研「ニューワイド学研の図鑑」「学研の図鑑ライブ
→公式サイト http://zukan.gakken.jp/
小学館と並ぶ老舗。DVDつき「LIVE」とラインナップが豊富な「ニューワイド」を併用して揃えていくのがおすすめ。DVDはBBCの映像を使用。一部のタイトルではスマホアプリと連動して3DARを体験できる。

講談社「講談社の動く図鑑MOVE
→公式サイト http://zukan-move.kodansha.co.jp/
従来の図鑑の常識を打ち破った革命的な図鑑。DVDはNHK制作。収録されている写真・イラスト、DVDの映像、全てに「驚き」があり、調べるだけではなく、繰り返し読む図鑑に仕上がっている。
わが家は「MOVE」で図鑑を揃えています。
(ちなみに、刊行初期は製本が甘かったのか、Amazonのレビューでは「すぐにページがバラバラになった」という酷評が多数寄せられています。筆者も兄の一家が購入した「恐竜」がバラバラになっているのを見ましたが、この問題は現在は解消しています)

ポプラ社「ポプラディア大図鑑WONDA
→公式サイト https://www.poplar.co.jp/wonda/
最後発で、最新のシリーズ。図鑑本来の「調べる」目的を充実させ、項目収録数は類書中最大。付録は小型図鑑冊子。

それぞれ、リンク先にタイトル・発行日・価格を一覧にした記事を掲載していますので、購入をご検討の際には参考にしていただければと思います。シリーズによっては人気タイトルをセット組みした商品もあり、入学祝いなどのプレゼントに最適です。

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