以前の記事でもご紹介しましたが、「黒蜥蜴」は井上梅次監督、深作欣二監督によって2度映画化されています。
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この映画、原作者として江戸川乱歩と三島由紀夫がクレジットされています。つまり、乱歩の小説を舞台劇化した三島由紀夫の戯曲が、映画の原作となっているわけなのです。
要するに、映画「オペラ座の怪人」(2004年)が、ガストン・ルルーの小説をもとにしたミュージカルを原作にしているようなものですね。
ところで、この三島由紀夫の戯曲ですが、これまでなかなか手軽には読むことができませんでした。
新潮社の「三島由紀夫全集」には当然収録されていますが、長らく読むことができたのはここだけ。
筆者は図書館で読みました。
実は10年ほど前に一度、文庫化されたことがあるのですが、学研M文庫という、メジャーとは言い難いレーベルから。筆者は見逃してしまい、あとで知って非常に悔しい思いをしました。
それが! ついに岩波文庫に収録です。三島由紀夫の戯曲集という形で刊行されました。
岩波文庫は最近になって急に乱歩や三島由紀夫の作品を収録を始めたのですが(そもそも三島由紀夫と岩波書店ってイデオロギー的に相容れないはずなのですが)、この2人の作品がこんなところで出会うなんて、考えてもいませんでした。
表紙は深作欣二監督版「黒蜥蜴」のワンカットです。緑川夫人を演じているのはご存じ美輪明宏(当時は丸山明宏)、そしてその前で中腰で立っているのは三島由紀夫本人! そう、この映画には三島由紀夫も出演しているのです。
というわけで、乱歩ファンには待望の文庫化。今度こそお見逃しなく。
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