平成10年。
この年も「このミス」ランキングを見ると、本格勢は鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」という今にして思えばかなりシブい短編集のみで、高村薫、宮部みゆきらの「エンタメ」勢(筆者の命名)が上位を占めました。
ところでこの年、本格ファンの話題をかっさらったのは「内ゲバ」事件ですね。
98年版の「この文庫がすごい!」に、「このミス」名物の「覆面座談会」が出張してきたのですが、ここで「間違いだらけの笠井潔」なる見出しのもと、笠井潔が当時連載中だった評論「ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?」における都筑道夫論を批判したところ、笠井潔が激昂。壮絶な反撃を開始したというものです。
他人の喧嘩を眺めるのが大好きな筆者は当時、ワクワクしながら経緯を見守っていました。
都筑道夫論については筆者としては匿名座談会出席者A氏(のちに笠井氏によって仮面を剥がされますが)の論のほうが妥当と感じますが、見事だったのは笠井潔の「左翼芸」。本物の活動家の文章力というものをまざまざと見せつけられ、大いに興奮したものです。
この記事を書くために、当時買い集めた関連誌を参照しようとしましたが……なんと、何も考えずに売っぱらってしまったようで手元に残っていませんでした。散逸。こうして歴史は失われていく……。
というほど大げさなものでもありませんが、もしかすると今のところミステリ界における最後の論争だったのではないかと思われる、この事件。
すでに20年も前のことで、若い人は知らないと思いますが、「ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?」は単行本にまとまっていますので、笠井潔の「芸」を追体験することは可能です。(Amazonで検索してみたら、古書がえらく高値で出品されていてビックリですが)
この年も「このミス」ランキングを見ると、本格勢は鯨統一郎「邪馬台国はどこですか?」という今にして思えばかなりシブい短編集のみで、高村薫、宮部みゆきらの「エンタメ」勢(筆者の命名)が上位を占めました。
ところでこの年、本格ファンの話題をかっさらったのは「内ゲバ」事件ですね。
98年版の「この文庫がすごい!」に、「このミス」名物の「覆面座談会」が出張してきたのですが、ここで「間違いだらけの笠井潔」なる見出しのもと、笠井潔が当時連載中だった評論「ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?」における都筑道夫論を批判したところ、笠井潔が激昂。壮絶な反撃を開始したというものです。
他人の喧嘩を眺めるのが大好きな筆者は当時、ワクワクしながら経緯を見守っていました。
都筑道夫論については筆者としては匿名座談会出席者A氏(のちに笠井氏によって仮面を剥がされますが)の論のほうが妥当と感じますが、見事だったのは笠井潔の「左翼芸」。本物の活動家の文章力というものをまざまざと見せつけられ、大いに興奮したものです。
この記事を書くために、当時買い集めた関連誌を参照しようとしましたが……なんと、何も考えずに売っぱらってしまったようで手元に残っていませんでした。散逸。こうして歴史は失われていく……。
というほど大げさなものでもありませんが、もしかすると今のところミステリ界における最後の論争だったのではないかと思われる、この事件。
すでに20年も前のことで、若い人は知らないと思いますが、「ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?」は単行本にまとまっていますので、笠井潔の「芸」を追体験することは可能です。(Amazonで検索してみたら、古書がえらく高値で出品されていてビックリですが)
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