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劇場公開時のパンフレット

キネマ旬報1979年1月下旬号(特集記事・シナリオを掲載)
さて、今晩はいよいよNHK BSでドラマ「悪魔が来りて笛を吹く」が放映されます。
前回のドラマ「獄門島」のラストシーンで次作は「悪魔が来りて笛を吹く」か?ということがほのめかされ、横溝ファンは騒然となりましたが、あれから約2年。待ちに待ちました。
というわけで当ブログとしてもドラマの詳細なレポを載せたいところですが、まだ放映前。
それにまあ、そんな記事は山ほど投稿されるでしょうから、今回は1979年、西田敏行が金田一を演じた東映版について書いてみます。
1975年生まれの筆者は当然リアルタイムでは見ておらず、平成元年頃、テレビ放映されたときに初めてみました。
確か土曜日のお昼ごろ。当時はこんな映画を昼間に流していたのです。
新聞で放映予定を知って録画しながら見ることに。
学校から帰ると(当時は土曜日は休日ではなく半ドン)、ビデオをデッキへセットし、兄と二人で昼飯を食べながら見始めました。
原作はすでに読んでいたのですが、冒頭はいったい何のシーンなのかよくわかりませんでした。よくわからないままに見ていると、大量の血がドバーッと流れて画面が真っ赤に。ミステリを全く読まない兄からは「こんな映画、ホントに録画するの?」と白い目で見られたことをよく覚えています。
というのはさておき、他の金田一映画に比べて際立った名作、というわけではないのですが、印象に残るのは豪華なセットとヒロイン・斉藤とも子の可憐さです。
というか、この映画の最大の見所は斉藤とも子、と言ってもよいくらいですね。
中学2年だった筆者は、あまりの可愛さにクラクラして、兄がギョッとしたこの映画のビデオを何度も何度も繰り返し見る羽目に陥りました。
そんなわけで、本記事冒頭に掲載のとおり、この映画についてはいろいろコレクションをしているわけです。
ところが、一つだけまるで納得出来ないことがこの映画には一つあります。
原作で言う「金田一耕助西へ行く」のあたり。
「須磨」と大きくテロップが出ますが、これは全く須磨ではありません。
参考までに、映画の画面とGoogleアースで「須磨」と言える場所を出してみたものとを比較してみましょう。


映画で「須磨」とされている場所はかなり入り組んだ地形に見えます。しかし、須磨の海岸は実際には真っ直ぐです。いったいこれはどこの空撮? たぶん、なにか別に撮影した素材を使いまわしたのでしょう。
以前の記事でも書いたとおり、須磨は「悪魔ここに誕生す」の舞台ですが、このシーンは、驚いたことに須磨の特徴がよく出ています。

暗くてよくわからないかもしれませんが、高台になった住宅地のすぐ向こうに海が見えます。
これはまさに須磨の地形です。
「悪魔ここに誕生す」の現地(月見山)もこのような地形で、今は住宅が立ち並んでいますが、敗戦直後の焼け野原だった時期にはこのような光景が広がっていたことでしょう。
本作は東映東京作品で、関西や神戸に縁のあるスタッフは多くはなかったと思われますが、ロケハンがいい加減なんだか丁寧なんだか、この辺がよくわかりません。
というわけで、ミステリ的な部分とは全然関係ない、個人的な思い出ばなしに終始しましたが、ともかく明日の放映が楽しみでなりません!
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