201710水滸伝136

前回に続き、現在刊行中の新訳「水滸伝」(講談社学術文庫)を読みながら、メモとして作成しているあらすじと登場人物です。赤字は百八星の初登場回です。講談社学術文庫版「水滸伝」は第二十二回までが1巻、第二十三回からが2巻の収録です。

第三十六回 梁山泊呉用挙戴宗 掲陽山嶺宋江逢李俊

登場人物:宋太公、宋江、劉唐、呉用、晁蓋、李俊、李立、童威、童猛、薛永
あらすじ:宋江は屋敷を取り囲んだ軍団へ袖の下を渡しもてなすと、翌朝、自ら役所へ出頭した。宋江は江州へ流刑となった。二人の護送役人と共に江州を目指す途中、梁山泊の近くを通りかかった。役人が宋江を奪われるのではないかと恐れたため、宋江は裏道を行くことを提案する。ところが、そこに劉唐が待ち構えていた。呉用と晁蓋は宋江は引き留めようとするが、宋江は江州の牢へ入るといって、立ち去ろうとする。呉用は江州にすむ戴宗あてに紹介状を宋江に渡す。宋江たちは旅を続け、江州の近くまで来た。通りかかった居酒屋へ入り酒を飲むと三人とも昏倒してしまった。しびれ薬が混ぜられていたのだ。店主は三人を調理場へ引き釣り、人肉饅頭を作ろうとする。すると、たまたま店へ来た大男が宋江だと気づき、慌てて解放する。大男は李俊、居酒屋は弟の李立、大男の子分は童威と童猛だった。宋江は李俊の家で数日もてなされた。さらに江州を目指すと、途中の掲陽鎮で槍や棒の技を披露している膏薬売りがいた。演技が終わっても誰も金をやろうとしないため、宋江が五両を出した。すると、それを見た別の男が宋江へ殴りかかってきた。

第三十七回 没遮欄追赶及時雨 船火児閙潯陽江

登場人物:宋江、薛永、李俊、童威、童猛、張横、穆弘、穆春
あらすじ:宋江と大男の喧嘩が始まろうとすると、一人の教頭が大男を引き剥がしあしらったため、大男は逃げていった。この教頭は薛永と名乗った。さっそく薛永と宋江とは酒を飲んで親交を深めようとしたが、どこの居酒屋でも入店を断られる。街を牛耳っている大男が二人の相手をしないよう、お触れを出していたのだ。路頭に迷った二人は、街外れの屋敷で泊めてもらう。ところが、実はこの屋敷は大男の実家だった。それを知った宋江と薛永は慌てて逃げ出す。大男は二人を追いかけ、川岸へ追い詰められた二人は通りかかった船に助けを求める。ところが、この船の船頭も別のならず者で、二人は追い詰められる。すると、そこへ通りかかった別の船に李俊たちが乗っており、助けられる。船頭は張横と言い、李俊たちの仲間だった。張横は今は江州にいる弟の張順と二人で山賊稼業をしていたと話す。宋江が江州へ行くと聞き、張順あての手紙を託す。そして、宋江たちを追いかけていた大男も彼らの仲間で、穆弘と穆春の兄弟だった。宋江たちは穆家の屋敷へ招かれ、穆太公にも挨拶し、盛大にもてなされた。薛永はそのままこの屋敷で世話になることにし、宋江はまた江州目指して旅を続けた。やがて江州に到着すると、牢獄に収監された。獄中では看守たちに賄賂をばらまき、よい待遇を受けたが、牢役人にだけは何も渡さなかったため、牢役人は腹を立て、この新入の囚人へ会いに来る。

第三十八回 及時雨会神行太保 黒旋風闘浪里白跳

登場人物:宋江、戴宗、李逵、張順
あらすじ:牢役人は新入りの囚人になぜ賄賂を渡さないのかと問い詰めるが、やがてこの囚人が宋江だと知ると平伏する。実はこの牢役人こそが戴宗だったのだ。戴宗は御札を足に貼り付けて、一日に何百里も移動することができる。二人が親交を深めていると、下っ端の牢番が酔って暴れていると報告が入る。この牢番は李逵で、宋江が名乗ると平伏する。三人は酒を飲んで親交を深める。李逵は店の魚が不味いと騒ぎ、新鮮な魚を宋江へ食べさせようと、川へ行く。そこで魚の仲買人と喧嘩になり、川へ放り込まれる。実はこの仲買人が張順だった。張順は李逵が宋江たちの仲間だと知ると川へ入って救助し、仲直りする。改めて四人で読み始めると、若い娘が登場し、歌を披露する。しかし、李逵はそれをうるさがって、張り倒してしまう。

第三十九回 潯陽楼宋江吟反詩 梁山泊戴宗伝仮信

登場人物:宋江、戴宗、李逵、張順、黄文炳、蔡九、朱貴、呉用、蕭譲、金大堅
あらすじ:娘はすぐに回復し、宋江は詫びに金を渡す。宋江は別れ際に張順から魚をもらったが、それを食べたせいで腹を壊してしまい、六日間ほど寝込む。回復してから戴宗、李逵らの家を訪ねようとするが、誰も見当たらず、仕方なく一人で居酒屋で飲んでいると、自分の境遇に涙を流してしまい、詩を吟じて壁に書きつけ、「宋江作」と署名する。さて、江州の補佐官・黄文炳は長官の蔡九が蔡京の息子と知り、なんとか取り入ろうとしていた。この黄文炳は宋江の詩をたまたま見かけ、謀反を思わせる内容に驚いて詩を書き留めた。その後、蔡九が占いに謀反の兆しが出て心配をしているのを聞くと、この詩を見せた。蔡九は戴宗を呼び、宋江を捕まえるよう命じる。戴宗は神行法で慌てて牢へ向かうと、宋江に捕まりそうになったら、気が狂っているふりをするよう知恵をつける。しかし、宋江は捕まってしまい、取り調べの場でも狂っているふりを続けたが、拷問に耐えかねて謀反の詩を書いたことを自白してしまう。さて、蔡九は黄文炳の機転で謀反を防げたことを喜び、中央政府の蔡京へ報告して黄文炳を出世させようとする。中央政府への報告役には神行法を使ってあっという間に遠くまで行ける戴宗が選ばれた。戴宗は李逵に獄中の宋江の面倒を見るよう言い残して旅立つ。戴宗は途中、酒屋へ入って食事を摂ると、体がしびれて倒れてしまった。そこは朱貴の酒屋だった。朱貴は戴宗の持っていた手紙から宋江が囚われていることを知り、またこの手紙を持っているのが戴宗だと知り驚く。戴宗が息を吹き返すと事情を聞き、梁山泊へ行って呉用と対策を練る。いったん手紙を蔡京へ届けた上で、宋江を護送するようにと言うニセの返事を持ち帰ることになった。そこで蔡京の筆跡を真似るのが上手い蕭譲と、ハンコを彫る名人の金大堅を梁山泊へ拉致し、仲間入りさせ、ニセの手紙を作成した。戴宗がそれを持って飛び去ると、呉用が「しまった」と声を挙げた。

第四十回 梁山泊好漢劫法場 白龍廟英雄小聚義

登場人物:呉用、金大堅、蔡九、黄文炳、戴宗、宋江
あらすじ:呉用によれば、蔡京が息子あてに使うはずのないハンコをうっかり作ってしまったということだった。はたして、ニセの手紙は黄文炳に見破られてしまう。宋江と戴宗は処刑されることになった。処刑場へ二人が引き立てられると、見物人に紛れ込んでいた梁山泊の豪傑たちが暴れはじめ、宋江と戴宗を救出する。戴宗の仲間も合流し、こうして二十九人の豪傑が一堂に会する事となった。

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