201710水滸伝136

前回に続き、現在刊行中の新訳「水滸伝」(講談社学術文庫)を読みながら、メモとして作成しているあらすじと登場人物です。赤字は百八星の初登場回です。講談社学術文庫版「水滸伝」は第二十二回までが1巻、第二十三回からが2巻の収録です。「金瓶梅」の原型として有名な武松・潘金蓮・西門慶のエピソードは2巻の冒頭にあります。

第二十六回 ?哥大閙授官廰 武松闘殺西門慶

登場人物:武松、潘金蓮、王婆、西門慶、?哥、何九叔
あらすじ:何九叔はひと目で武大が毒殺されたと悟ったが、西門慶が絡んでいるため、毒殺と断じれば西門慶からどんな目に遭わされるか知れず、逆にいい加減な死因をでっち上げれば、弟の武松からどんな目に遭わされるかわからない。困った末、気を失ったふりをしたのだった。いったんは毒殺に気づかなかったことにし、しかし火葬のあとで骨だけは保管して、武松に尋ねられたら証拠として差し出せるようにした。やがて武松が旅から戻り、武大の家を訪れると位牌が備えてあった。胸の病で死んだと聞かされるが、不審に思い祈り続けると、武大の亡霊が現れたため、やはり死因は怪しいと感じる。武松は調査を始め、何九叔や?哥の証言から潘金蓮と西門慶が武大を毒殺したと知る。武松は役所へ訴えるが、西門慶が賄賂をばらまいているため、取り合ってもらえない。このため、武松は自分の手で始末をつけることに決める。武大の家へ潘金蓮を訪れ、王婆と隣近所から四人の人を集めてもらい、宴会を広げる。宴会が盛り上がったところで、武松は暴れ始め、潘金蓮と王婆とに白状させる。宴会に参加していた住民にそれを書き取らせると証拠として残し、潘金蓮を殺してしまう。さらに西門慶のもとへ駆けつけ、これも殺してしまう。

第二十七回 母夜叉孟州道売人肉 武都頭十字坡遇張青

登場人物:武松、孫二娘、張青
あらすじ:武松は、潘金蓮と西門慶の首をぶら下げ、陽谷県の役所へ自首した。役人は武松の義侠心に感服していたため、供述書を書き換えて罪を軽くした。武松は孟州の牢屋へ護送されることになった。護送に付きそう二人の役人は武松に何かと良くした。護送は暑い季節だった。途中の居酒屋で女に誘われ、武松と二人の役人は酒を飲み食事を取った。出された肉饅頭に毛が入っていたため、武松は人肉ではないかと女主人をからかう。女はしびれ薬を盛った酒を三人に飲ませ、役人二人は倒れるが、武松は飲むふりをしただけだった。このため、女が倒れたふりをしている武松を運ぼうとすると、武松は逆に女を捕まえる。そこへ、一人の男が飛び込んできて許しを請う。女は孫二娘、男はその夫で張青を名乗った。二人は旅人を殺して、その肉を牛肉として売って生活している山賊だった。日頃から、流刑になった人には豪傑が多いから、殺してはいけないと言っていたのに、孫二娘はからかわれた腹いせに殺そうとしてしまったのだった。武松は事情は承知したと言い、二人の役人を助けるよう命じる。

第二十八回 武松威鎮安平寨 施恩義奪快活林

登場人物:武松、張青、孫二娘、施恩
あらすじ:武松は張青と親交を深めてから、また護送役人と共に孟州へ旅立った。安平寨という牢に入った武松は、囚人たちから看守へ賄賂を贈らないと酷い目に遭うと忠告を受けるが、武松は一蹴する。このため棒で叩かれる罰を受けそうになるが、その場に居合わせた若い役人が典獄へ何か囁いたため、武松は罰を免れ、それどころかその後、厚い待遇を受ける。これは実は棒叩きに居合わせた若い役人、施恩の差配だった。施恩はかねがね武松の高名を聞いており、ぜひ相談したいと思っていることがあった。しかし、牢につながれた武松の体がなまっているだろうと、なかなか相談事を打ち明けない。武松が重い石を放り投げて力を示すと、ようやく話をはじめた。

第二十九回 施恩重霸孟州道 武松酔打蒋門神

登場人物:武松、施恩、蒋忠(蒋門神)
あらすじ:施恩は牢獄周辺の快活林という街で商売をしていたが、新しく赴任した軍司令官が連れてきた蒋門神という男に力づくでシマを奪われてしまった。なんとか武松の力を借りて蒋門神を撃退したいというのが施恩の願いだった。武松は快諾し、施恩と兄弟の契りを結ぶ。施恩は武松をもてなすが、食事ばかりで酒を飲まそうとしない。武松は、蒋門神と戦う前にはむしろベロベロに酔った方が良い、虎を退治した時も酔っていたと話すと、施恩は承知し、快活林へ向かう途中の居酒屋でしこたま酒を飲ませる。快活林へ着いた武松は蒋門神の居酒屋へ行くと、因縁をつけて大暴れする。さわぎを聞いて駆けつけた蒋門神も武松にボコボコに殴られ、三つの約束をさせられる。

第三十回 施恩三入死囚牢 武松大閙飛雲浦

登場人物:武松、施恩、張蒙方
あらすじ:三つの約束とは、すぐに全てを施恩へ返すこと、施恩へ詫びること、快活林を離れること、だった。施恩は店を取り戻し、武松とともにしばらく平和に暮らした。そんなある日、孟州の都監である張蒙方から武松を招きたいという使者が来た。張都監から取り立てたいという話をされ、武松は忠誠を誓う。ある日、張都監の屋敷で宴会が開かれ、武松も同席を許される。張都監はお気に入りの侍女・玉蘭を武松の妻にどうかと勧める。その夜、玉蘭が「泥棒!」と叫ぶ声が屋敷に響く。武松は泥棒を追って裏の花園へ駆けつけるが、遅れて駆けつけた七、八人の兵卒に捕われ、泥棒扱いされてしまう。張都監はカンカンに怒り、武松の弁解を一切聞かない。武松の部屋を捜索すると、金銀財宝が出てきた。張都監は府の長官をはじめ役人たちへ賄賂をばらまき、武松は死刑を宣告されてしまう。実は、蒋門神の上司が手を回し、武松を罠にはめていたのだった。施恩は牢役人に事情を話し、武松がとらわれている牢へ出入りする。やがて、府の長官も真相を悟ったため死刑は免れ、棒叩きのうえ恩州へ流刑となった。護送途中の武松に施恩は餞別を渡し、涙ながらに別れる。武松は飛雲浦の橋へ差し掛かると、護送役人を蹴り落とし、刺し殺す。さらに、張都監にはめられたことを知ると、復讐のため孟州城へ取って返す。

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