201707真説金田一耕助103

横溝正史エッセイ集第4弾となる本書は角川文庫で割りと長いあいだ版を重ねたものなので、最もよく読まれたものと言えるでしょう。
もともとは昭和51年から翌年にかけて1年間、毎日新聞日曜版に連載された同タイトルのコラムであり、単行本も毎日新聞社から発行されました。
連載時には和田誠のイラストが添えられ、単行本・文庫本にもそれらは全て収録されています。

全体的に軽いノリではあるのですが、ちょうど「犬神家の一族」の映画公開、連続ドラマ放映など横溝ブームの絶頂期であり、その一年間に執筆されたエッセイということでそれなりに資料的価値があるのではないかと思います。
また、「獄門島」の犯人は奥さんが決めたとか、津山事件を「八つ墓村」へ取り入れた経緯、自選ベスト10など、ファンには興味深いエピソードも披露されており(他のエッセイでも語っている話の繰り返しも多いのですが)、ひとまず横溝正史のエッセイはこれ一冊読んでおけばOK、と言ってもよい総集編的な内容です。

毎日新聞社から発行された単行本には、連載されたエッセイのほかに同年の日記も併録されているようですが、筆者は単行本を見たことがないため、確認したことはありません。文庫版では削除されています。

文庫版の目次は以下のとおりです。

金田一耕助恐縮す
人気とは不可解なもの
映画初出演の弁
映画になった金田一耕助
金田一耕助最後の事件 Ⅰ
金田一耕助最後の事件 Ⅱ
金田一耕助最後の事件 Ⅲ
「犬神家の一族」の思い出
金田一耕助、山を下る
最高と最低
タレント業失格
本名と筆名
小説と映画 Ⅰ
小説と映画 Ⅱ
勲章を貰う話
金田一耕助の収入
騒がしかりきこの一年
終戦後の初正月
私のベスト10
一人の金田一耕助の死
屁をかぞえる人びと
腰砕けディクソン・カー Ⅰ
腰砕け ディクソン・カー Ⅱ
カゼをひくの弁
「本陣殺人事件」由来 Ⅰ
「本陣殺人事件」由来 Ⅱ
カーの死
バレンタイン・デーの恐怖
Whodunitの映画化
昭和52年4月2日
横溝正史シリーズ
人形佐七捕物帖 Ⅰ
人形佐七捕物帖 Ⅱ
「蝶々殺人事件」縁起 Ⅰ
「蝶々殺人事件」縁起 Ⅱ
三本指の男
蝶々失踪事件
ブームやつれ
「獄門島」懐古
「八つ墓村」考 Ⅰ
「八つ墓村」考 Ⅱ
「八つ墓村」考 Ⅲ
「陰獣」の試写を見る
病院坂の首縊りの家
怪奇探偵作家
モウロクもまた愉し
Yの悲劇
悪魔が来たりて笛を吹く
さらば金田一耕助
あとがき


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