201706獄門島094

本格ミステリファン御用達の文庫といえば、海外ミステリでは創元推理文庫とハヤカワ文庫の圧勝かと思いますが、さて、国内ミステリではどうでしょう?
ということで、先日掲載した「国内名作ミステリ必読リスト100(本格ミステリ編)」の100作品がどこの文庫に収録されているか調べてみました。これは現役で生きているものだけでなく、過去に一度でも収録されたものを全て含みます。春陽文庫なんかは、戦前のものも含めています。
また、発表されている範囲内で今後発売予定も含みます。

ほぼ、筆者の記憶に頼っているため、ちょこちょこ間違いがあるかも知れませんが、ご容赦ください。(お気づきの点あれば、コメント欄へぜひお願いします!)
そもそも筆者の恣意的なリストを土台に点数をつけている時点で、単なるお遊び企画です。本当なら「東西ミステリーベスト100」など一般的なリストをベースにすべきかも知れませんが、冒険小説系が混じるとだいぶ結論が変わりそうということが理由の一つ。それから、自作のリストは手元にデータがあるので加工しやすいのですが、そうでないとデータ入力を改めてイチから始める必要があり、面倒だから、というのが二つ目の理由。

そんなこんなで信頼性は全くないランキングではありますが、結果は、やはり創元推理文庫の圧勝。日本探偵小説全集、やたら出ている個人全集、東京創元社からデビューした本格作家たちなど、要因は多々ありますが、まあ納得できる結果です。
2位は角川文庫。筆者が中学生の頃(消費税導入直前)までは、今の創元推理文庫など目じゃないくらい、とにかく角川文庫さえ読んでいればミステリもSFも国内ものはOK、という時代がありました。角川文庫の黄金時代は中学生時代に終了しましたが、もうちょっと早く生まれて、時間と金に余裕がある時期に角川文庫を買いまくる生活ができていたら……と今でも思います。
僅差で続く3位は講談社文庫。大手の文庫の中では比較的後発のため、古いものはあまり得意ではないのですが、「新本格」という言葉を生み出しただけあり、平成以降では圧倒的な強さです。
また、忘れてはいけない光文社文庫。名作の復刊に熱心で、必読の定番書をよく揃えています。筆者は土屋隆夫は光文社文庫で読みました。
最後に、春陽文庫。これは新しいものは皆無ですが、戦前の探偵小説をたくさん出しており、古本屋で見かけたら必ずチェックしたい文庫です。

というわけで、一覧表。

著者 タイトル 創元推理文庫 角川文庫 講談社文庫 光文社文庫 春陽文庫 その他
黒岩涙香 無惨




小酒井不木 恋愛曲線




小酒井不木 疑問の黒枠




河出文庫(予定)
江戸川乱歩 二銭銅貨
江戸川乱歩推理文庫
江戸川乱歩 D坂の殺人事件
江戸川乱歩推理文庫
江戸川乱歩 心理試験
江戸川乱歩推理文庫
江戸川乱歩 パノラマ島奇談
江戸川乱歩推理文庫
江戸川乱歩 陰獣
江戸川乱歩推理文庫
江戸川乱歩 孤島の鬼
江戸川乱歩推理文庫
横溝正史 本陣殺人事件


横溝正史 蝶々殺人事件



横溝正史 獄門島



横溝正史 八つ墓村




横溝正史 犬神家の一族




横溝正史 悪魔が来りて笛を吹く




横溝正史 悪魔の手毬唄




甲賀三郎 琥珀のパイプ




甲賀三郎 姿なき怪盗




角田喜久雄 高木家の惨劇



夢野久作 ドグラ・マグラ

現代教養文庫・ちくま文庫
浜尾四郎 殺人鬼



小栗虫太郎 完全犯罪



小栗虫太郎 黒死館殺人事件


現代教養文庫・河出文庫
久生十蘭 顎十郎捕物帳


朝日文庫
久生十蘭 魔都



現代教養文庫・朝日文庫
蒼井雄 船富家の惨劇




大阪圭吉 とむらい機関車




坂口安吾 不連続殺人事件


ちくま文庫・双葉文庫
高木彬光 刺青殺人事件


扶桑社文庫・ハルキ文庫
高木彬光 人形はなぜ殺される


ハルキ文庫
高木彬光 成吉思汗の秘密


ハルキ文庫
高木彬光 白昼の死角



山田風太郎 妖異金瓶梅



廣済堂文庫
山田風太郎 十三角関係



廣済堂文庫
山田風太郎 明治断頭台



ちくま文庫・文春文庫
土屋隆夫 危険な童話


土屋隆夫 影の告発

岡田鯱彦 薫大将と匂の宮



扶桑社文庫
鮎川哲也 黒いトランク


鮎川哲也 黒い白鳥

双葉文庫
鮎川哲也 りら荘事件
仁木悦子 猫は知っていた



ポプラ文庫
福永武彦 加田伶太郎全集



扶桑社文庫・新潮文庫
日影丈吉 内部の真実



現代教養文庫
佐野洋 轢き逃げ



戸板康二 團十郎切腹事件



戸板康二 グリーン車の子供



小泉喜美子 弁護側の証人




集英社文庫
笹沢左保 招かれざる客



陳舜臣 枯草の根




都筑道夫 猫の舌に釘をうて



都筑道夫 三重露出



都筑道夫 血みどろ砂絵



都筑道夫 なめくじに聞いてみろ



扶桑社文庫
都筑道夫 七十五羽の烏



天藤真 大誘拐



中井英夫 虚無への供物



竹本健治 匣の中の失楽



双葉文庫
竹本健治 ウロボロスの偽書




泡坂妻夫 11枚のとらんぷ


双葉文庫
泡坂妻夫 乱れからくり


双葉文庫
泡坂妻夫 亜愛一郎の狼狽



笠井潔 バイバイ、エンジェル



笠井潔 サマー・アポカリプス



笠井潔 哲学者の密室



連城三紀彦 戻り川心中


ハルキ文庫
連城三紀彦 夜よ鼠たちのために




新潮文庫・宝島社文庫
島田荘司 占星術殺人事件



島田荘司 斜め屋敷の犯罪



島田荘司 北の夕鶴2/3の殺人




島田荘司 奇想、天を動かす




岡嶋二人 焦茶色のパステル




岡嶋二人 99%の誘拐



徳間文庫
綾辻行人 十角館の殺人




綾辻行人 霧越邸殺人事件



新潮文庫
綾辻行人 時計館の殺人




法月綸太郎 ふたたび赤い悪夢




法月綸太郎 生首に聞いてみろ




歌野晶午 葉桜の季節に君を想うということ




文春文庫
折原一 倒錯のロンド




折原一 沈黙の教室




ハヤカワ文庫
我孫子武丸 殺戮にいたる病




山口雅也 生ける屍の死




北村薫 空飛ぶ馬




有栖川有栖 孤島パズル




有栖川有栖 双頭の悪魔




芦辺拓 グラン・ギニョール城




麻耶雄嵩 翼ある闇




二階堂黎人 人狼城の恐怖




加納朋子 ななつのこ




京極夏彦 姑獲鳥の夏




京極夏彦 魍魎の匣




倉知淳 星降り山荘の殺人




西澤保彦 七回死んだ男




殊能将之 ハサミ男




大倉崇裕 福家警部補の挨拶




大山誠一郎 アルファベット・パズラーズ




三津田信三 厭魅の如き憑くもの




円居挽 丸太町ルヴォワール




森川智喜 スノーホワイト





点数 46 37 35 28 15
著者 タイトル 創元推理文庫 角川文庫 講談社文庫 光文社文庫 春陽文庫 その他

古典的名作となると、各社が文庫を出していますが、乱歩と「ドグラ・マグラ」は別格として、それ以外で文庫化回数が多いのは、高木彬光『刺青殺人事件』、土屋隆夫『影の告発』それから鮎川哲也『りら荘事件』(角川文庫版では『リラ荘殺人事件』)でした。
そう言えば、筆者の父(戦前生まれ)はミステリなど全く読まない人なのですが、なぜか父の本棚には春陽文庫版の『りら荘事件』が置いてありました。(あまりに日焼けしていたので、筆者が読んだのは、古本屋で自分で買った立風書房の全集版ですが)
『りら荘』や『刺青殺人事件』は今も人気があるので理解できますが、現時点で新刊書店にはほとんど並んでいない土屋隆夫が、かつてはそんなに人気があったというのは、筆者の世代にはちょっと想像できません。


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