42蜘蛛男049
今回は第42巻「蜘蛛男」をご紹介します。昭和48年11月の刊行です。
原作は昭和4年から「講談倶楽部」に連載された同題の「蜘蛛男」。
リライトは氷川瓏が担当しています。初出は昭和33年「名探偵明智小五郎文庫8」としてポプラ社から刊行されました。
表紙絵・挿絵は柳瀬茂が担当しています。本書の描き下ろしです。
なお、この表紙絵は2014年に発売された筋肉少女帯のアルバム「THE SHOW MUST GO ON」のジャケットに流用されています。

原作の「蜘蛛男」は、講談社の雑誌に初めて連載された長編あり、この後約10年にわたって書き続ける通俗長編の第一作と見なされています。
乱歩自身は、「思うように行かなかった」と回想していますが、人気は高く、代表作の一つと見なされています。その後に書かれた「悪魔の紋章」「地獄の道化師」「盲獣」などは、この「蜘蛛男」と共通する部分があちこちに見られ、乱歩の通俗長編の雛型という印象もあります。

もともと明智小五郎も登場する作品であるため、リライト版もおおむね原作通りです。
敢えて違う点を探すとすれば、波越警部がまたまた中村警部になっていること。それから、畔柳博士の名が黒柳博士になっていることくらいでしょう。
挿絵に白いスーツに身を固めた洋行帰りの明智小五郎が描かれており、子どもの頃に読んで鮮烈な印象を受けました。未だに「蜘蛛男」というと、この挿絵を思い出します。

Amazon販売ページ(古本は入手できます)
42蜘蛛男049
江戸川 乱歩
ポプラ社
1973-11-01



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