今回は第33巻「黒い魔女」をご紹介します。昭和45年11月の刊行です。
原作は新潮社の大衆文芸雑誌「日の出」に昭和9年に連載された「黒蜥蜴」。三島由紀夫が戯曲化し、その舞台や映画などで非常に有名な乱歩の代表作の一つです。
リライトは氷川瓏が担当しています。初出は昭和32年「名探偵明智小五郎文庫2 黒いトカゲ」としてポプラ社から刊行されました。昭和42年に「名探偵シリーズ」へ収録される際、「黒い魔女」と改題されました。
表紙絵は柳瀬茂、挿絵は岩井泰三が担当。いずれも「名探偵シリーズ」版からの流用です。
原作は比較的短めの話なので、小林君が無理やり顔を出す以外は、ストーリーはほぼ原作通りです。
本書の大きな改変ポイントは、過激なシーンです。
・冒頭のストリップシーン
黒蜥蜴が宝石を散りばめたアクセサリー以外、一糸まとわぬ姿となって踊りますが、本書では真っ黒なイブニングドレスで登場するだけ。
・左腕の刺青
トレードマークの黒い蜥蜴は、左腕に彫った刺青から「トカゲをデザインしたブローチ」に変わっています。迫力なさすぎ。
・囚われた早苗さん
原作では裸で牢屋へつながれますが、本書では「からだにぴったりとあったナイロンのシャツ」を着せられています。ちなみに、博物館の標本も、みんなナイロンのシャツを着ています。(どっちかというと、こっちの方がいやらしくないですか?)
・ラスト
明智が黒蜥蜴の額へ口づけしますが、本書ではそのようなことはしません。
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