大河ドラマ原作紹介の第7回です。
この時期になると、オリジナルストーリーが目立ち、時代小説の名作を原作にするという従来の伝統は失われてきています。

第31作 琉球の風 1993年(平成5年)

原作:陳舜臣『琉球の風』
琉球が舞台、放映期間が半年、テーマ曲が谷村新司、という異例づくしの一作。原田知世が出演した唯一の大河ドラマという点も、個人的にはポイント。さらに特筆すべきは、大河ドラマ史上初めて乱歩賞作家が原作を執筆しました。
陳舜臣によるその原作は、ドラマにあわせて書かれたものですが、昨年、講談社文庫からは新装版が出ており、今も読まれています。
(リンク先はAmazon)
(リンク先はAmazon)

第32作 炎立つ 1993年(平成5年)

原作:高橋克彦『炎立つ』
「琉球の風」が半年で終了し、その後、7月から翌年3月にかけて9ヶ月間放映されたのが本作です。
「独眼竜政宗」で一躍人気俳優となった渡辺謙が、白血病で休業を余儀なくされ、復活したのがこのドラマでした。
盛岡在住で東北を舞台にした小説が多い高橋克彦が、ドラマにあわせて原作を執筆しています。2作連続で乱歩賞作家が原作者となったわけですが、当時、世間的には「2作続けて直木賞作家が……」という言われ方をしていたのが、大変な不満だった記憶があります。直木賞作家であれば、海音寺潮五郎、村上元三、新田次郎、司馬遼太郎、杉本苑子、永井路子、宮尾登美子……と、大河ドラマ原作者としては全く珍しくありません。
「炎立つ」は高橋克彦作品の中でも人気作で、ロングセラーとなっています。
(リンク先はAmazon)
(リンク先はAmazon)
(リンク先はAmazon)
(リンク先はAmazon)
(リンク先はAmazon)

第33作 花の乱 1994年(平成6年)

原作:原作なし

第34作 八代将軍吉宗 1995年(平成7年)

原作:原作なし

第35作 秀吉 1996年(平成8年)

原作:堺屋太一『秀吉』
これも、ドラマにあわせて書かれた原作で、単行本は日本放送出版協会、文庫は文春文庫から出ていましたが、現在は品切れです。

第36作 毛利元就 1997年(平成9年)

原作:永井路子『山霧』
数年ぶりに、もともとあった小説が原作となりました。原作のサブタイトルは「毛利元就の妻」ですが、実質的には毛利元就を描いた小説になっているようです。読んでいないので、よく知りませんが。
大河ドラマ史上、最も地味な原作では?と思われ、歴史小説に詳しい人でも、本作が「毛利元就」の原作だったということがすぐにわかる人はなかなかいません。
とはいえ、原作は永井路子作品として人気があり、何年か前に新装版も出て、今もよく読まれています。
(リンク先はAmazon)
(リンク先はAmazon)



関連コンテンツ