今回は、光文社文庫版「江戸川乱歩全集」のご紹介です。
このシリーズは、生前最後の全集を底本とした創元推理文庫版とは対照的には、初出の表記にこだわっています。掲載順も発表順となっています。また、小説だけでなく、児童向け作品、エッセイ、評論に至るまで、収録して、本当の意味での全集を目指しています。
特筆すべきは、児童向け作品。初出の雑誌掲載のみで、これまで単行本へ収録されたことのなかった作品がいくつかありましたが、それらを漏れなく収録しています(といっても、雑誌「たのしい一年生」に掲載した「かいじん二十めんそう」とかですが)。
また、評論・エッセイについては生前に単行本としてまとまったものを収録しています。
というわけで、乱歩初心者がいきなりこれで読んでも構いませんが、初めから全作読破を目指す、上級者向けの全集だと思います。
収録作品は以下のとおりです。各巻末には現役ミステリ作家を中心に、著名な乱歩ファンがエッセイを寄稿しています。
(各書名からのリンク先はAmazon)

江戸川乱歩全集 第1巻 屋根裏の散歩者

二銭銅貨
一枚の切符
恐ろしき錯誤
二廢人
双生児
D坂の殺人事件
心理試験
黒手組
赤い部屋
日記帳
算盤が恋を語る話
幽霊
盗難
白昼夢
指環
夢遊病者の死
百面相役者
屋根裏の散歩者
一人二役
疑惑
人間椅子
接吻
解説(山前譲)
祖父と土蔵の思い出(平井憲太郎)

江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚

闇に蠢く
湖畔亭事件
空気男
パノラマ島綺譚
一寸法師
解説(新保博久)
「江戸川乱歩」として生きた人の物語。(大林宣彦)

江戸川乱歩全集 第3巻 陰獣

踊る一寸法師
毒草
覆面の舞踏者
灰神楽
火星の運河
五階の窓
モノグラム
お勢登場
人でなしの恋
鏡地獄
木馬は廻る
空中紳士
陰獣
芋虫
解説(新保博久)
二十面相の墓(間村俊一)

江戸川乱歩全集 第4巻 孤島の鬼

孤島の鬼
猟奇の果
解説(新保博久)
深夜の田舎は恐怖一色で塗りつぶされた(横尾忠則)

江戸川乱歩全集 第5巻 押絵と旅する男

押絵と旅する男

蜘蛛男
盲獣
解説(山前譲)
乱歩は散歩(久世光彦)

江戸川乱歩全集 第6巻 魔術師

魔術師
吸血鬼
解説(山前譲)
D寺時代のこと(福島泰樹)

江戸川乱歩全集 第7巻 黄金仮面

何者
黄金仮面
江川蘭子
白髪鬼
解説(山前譲)
私と乱歩(青柳いづみこ)

江戸川乱歩全集 第8巻 目羅博士の不思議な犯罪

目羅博士の不思議な犯罪
地獄風景
恐怖王

火縄銃
殺人迷路
悪霊
妖虫
解説(新保博久)
生命の尊さを訴える(上野正彦)

江戸川乱歩全集 第9巻 黒蜥蜴

黒い虹
黒蜥蜴
人間豹
柘榴
解説(新保博久)
最も恐ろしいトリック(唐沢俊一)

江戸川乱歩全集 第10巻 大暗室

怪人二十面相
大暗室
解説(山前譲)
いつまでも特別な存在(瀬名秀明)

江戸川乱歩全集 第11巻 緑衣の鬼

緑衣の鬼
幽霊塔
解説(山前譲)
乱歩邸訪問の思い出(伊藤秀雄)

江戸川乱歩全集 第12巻 悪魔の紋章

少年探偵団
妖怪博士
悪魔の紋章
解説(新保博久)
二十面相に花束を(田中芳樹)

江戸川乱歩全集 第13巻 地獄の道化師

暗黒星
地獄の道化師
幽鬼の塔
大金塊
解説(山前譲)
西洋館の光と影(藤森照信)

江戸川乱歩全集 第14巻 新宝島

新宝島
智恵の一太郎
偉大なる夢
解説(山前譲)
幻の同居人(種村季弘)

江戸川乱歩全集 第15巻 三角館の恐怖

青銅の魔人
虎の牙
断崖
三角館の恐怖
解説(山前譲)

江戸川乱歩全集 第16巻 透明人間

透明人間
怪奇四十面相
宇宙怪人
畸形の天女
女妖
解説(新保博久)
世代を超えた稀有なシリーズ(井澤みよ子)

江戸川乱歩全集 第17巻 化人幻戯

鉄塔の怪人
兇器
悪霊物語
化人幻戯
海底の魔術師
解説(新保博久)
すれ違い(戸川安宣)

江戸川乱歩全集 第18巻 月と手袋

影男
月と手袋
灰色の巨人
黄金の虎
解説(新保博久)
そこにそれがあるというだけで怖いモノ(綾辻行人)

江戸川乱歩全集 第19巻 十字路

防空壕
大江戸怪物団
十字路
魔法博士
黄金豹
天空の魔人
解説(山前譲)
乱歩の墓(奥泉光)

江戸川乱歩全集 第20巻 堀越捜査一課長殿

堀越捜査一課長殿
妖人ゴング
魔法人形
サーカスの怪人
まほうやしき
赤いカブトムシ
二十面相の本名はなぜ明かされたのか(新保博久)
にわか少年探偵団、結成!(小泉武夫)

江戸川乱歩全集 第21巻 ふしぎな人

妻に失恋した男
秘中の秘
魔王殺人事件
奇面城の秘密
夜光人間
塔上の奇術師
ふしぎな人
かいじん二十めんそう
かいじん二十めんそう
解説(山前譲)
日本に乱歩がいてくれて本当によかった(恩田陸)

江戸川乱歩全集 第22巻 ペテン師と空気男

仮面の恐怖王
電人M
鉄人Q
ペテン師と空気男

桃源社版『江戸川乱歩全集』あとがき
解説(新保博久)
〈乱歩〉を生きた男──戦略的な、あまりに戦略的な(芦辺拓)

江戸川乱歩全集 第23巻 怪人と少年探偵

おれは二十面相だ!!
怪人と少年探偵
妖星人R
超人ニコラ
探偵小説の「謎」
解説(新保博久)
毒──密かな(花村萬月)

江戸川乱歩全集 第24巻 悪人志願

悪人志願
探偵小説十年
幻影の城主
乱歩断章
解説(山前譲)
読書の魔力にとりつかれた(堀江あき子)

江戸川乱歩全集 第25巻 鬼の言葉

鬼の言葉
探偵小説十五年
随筆探偵小説
解説(新保博久)
納戸のなかの乱歩(鬼海弘雄)

江戸川乱歩全集 第26巻 幻影城

幻影城
幻影城通信
類聚ベスト・テン
名古屋・井上良夫・探偵小説
少年の夢こそまこと(松山巖)

江戸川乱歩全集 第27巻 続・幻影城

続・幻影城
解説(新保博久)
嗚呼、乱歩さん(都筑道夫)

江戸川乱歩全集 第28巻 探偵小説四十年(上)

探偵小説四十年
解説(新保博久)
来れ好敵手(穂村弘)

江戸川乱歩全集 第29巻 探偵小説四十年(下)

探偵小説四十年
解説(山前譲)
夜と遊んだ日(朱川湊人)

江戸川乱歩全集 第30巻 わが夢と真実

わが夢と真実
海外探偵小説作家と作品
解説(山前譲)
屋根裏と影のいきもののこと(勝本みつる)


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