備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

新宿鮫・鮫島警部は今、何歳?

201911新宿鮫013

大沢在昌、新宿鮫シリーズの新刊『暗約領域 新宿鮫Ⅺ』が刊行されました。
前作『絆回廊』から、なんと8年ぶり。
『絆回廊』とのその前の『狼花』とのあいだが5~6年空いていて、当時、これはちょっと待たされ過ぎだよなあ……と思ったものですが、今回はそれよりも年数が経ってしまいました。
前回の終わり方から考えて、すぐさま次作が出てもよさそうだと思っていたんですが。
ってことは、次が出るのは10年後? メインの読者層はもう死んじゃってるんじゃないか?

ところで筆者は、シリーズ全作をリアルタイムで追いかけている読者の中では最も若い世代ではないかと思います。
1作目が出たときは中学3年生。大沢在昌の名前はなんとなく書店で見て知っていたという程度だったのですが、あまりにイカレたタイトル(当時はそう思いました)に、熱のこもった賛辞が並ぶ帯を見て「これはなんだかすごそうな小説だ」と思って、新刊本として書店に並んですぐに買ってきたのでした。
しかし、その時の筆者にはピンと来ませんでしたね。ハードボイルドや冒険小説、警察小説のたぐいは全く読んだことがなかったため、むしろ読みづらい小説だとさえ思いました。
その後「このミス」で1位になっているのを見て、「ふーん。世間ではこういう小説が面白いとされているのか」などと思いつつも、自分には合わない世界だと感じていました。
そこで、高校1年のときに発売された2作目『毒猿』は新刊ではスルーしていたのですが、年末になると相変わらず「このミス」で上位に入っているので、やっぱり読んでみるか、と買ってきたところ……!!!!!
これは衝撃的な面白さでした。改めて1作目を読み直すと、なんだこれは、めちゃくちゃ面白いではないか。
中学3年から高校1年にかけて、高校受験以外には目立ったイベントはなかったはずなのですが、筆者の中で何かが確実に成長していたようです。
そんなわけで、その後の新作は毎回、発売日を待ち構えて買ってきました。高校3年のときは大学受験に備えて1年間読書を絶とうと決め、実際、島田荘司の大作『アトポス』なんかも「大学に入ってから読もう」と手をつけていなかったのに、新宿鮫4作目の『無間人形』だけは我慢できず、一日で読んでしまいました。この年に読んだのは、見事にこの1冊だけでした。
この頃の大沢在昌は、いま振り返っても本当に絶好調。『走らなあかん、夜明けまで』『B.D.T』『天使の牙』と、どれもこれも一気読み必至の徹夜本ばかりが新作として発表され、熱狂的に読んでいたもんです。対談集の『エンパラ』も最高でした。

と、思い出話に耽ってしまいましたが、本題。鮫島警部はいったい何歳なのか?

このシリーズ、時代設定は毎回、発表時のリアルタイムに設定されているように思われます。
新宿の最新の世相を反映させており、小道具も時代にあわせて新しいものが次々登場します。今作ではスマホも登場しました(前作『絆回廊』にスマホが出てきたかどうか、8年前のことなのでもはや忘れましたが、たぶん出てきてなかったと思います)。
また、ある時期に、それまで警視庁では「防犯課」だった部署名が「生活安全課」と変更されたため、「新宿鮫でもそんな庶民的な名前をそのまま使うのか?」と読者はみな心配したもんですが、今や「生活安全課」という呼称も特に違和感なく定着しています。
さらに今作では冒頭から、「平成二十九年に公布された住宅宿泊事業法により……」という記述も見られます。

ということは、登場人物たちも順調に年齢を重ねているはずで、初登場時に36歳くらいだった鮫島警部は、もはや還暦を過ぎているということになります。
しかし、それだと定年退職しているはずです。退職後に警備員として新宿の商業施設をウロウロしているというならともかく、こんな風に麻薬や殺人の捜査で第一線に出て頑張っているわけがありません。
となると、結論は一つ。サザエさん方式です。
「サザエさん」や「ガラスの仮面」と同じく、作中の時代と登場人物たちの年齢の進行は一致していないと判断したほうがよさそうです。

新宿鮫シリーズは、各回ごとに発生する事件とは別に、シリーズ全体を通してのストーリーがあります。鮫島と公安との暗闘、恋人・晶や、上司・桃井との関係。
各回ごとの事件は勢いよく語られていくものの、背景となっている大きな物語は遅々として進みません。色々と謎が多く、展開が気になるにも関わらず、一向に先が見えない。
はたして、鮫島の定年退職までに、シリーズは完結するのか?
実際のところ、作者が出し惜しみしているうちに、取り返しがつかないくらい長期間のシリーズになってしまったんじゃないかと、筆者としてはそんな風に疑っていますが、このままシリーズが中断されたりしたら30年来の読者としては本当に困ります。

今回の新作、まだ最後まで読んでいないのですが、初めの方を読んでいると相変わらず年齢不詳です。
これまで、鮫島の年齢が気になってかなりヤキモキしていましたが、いよいよ還暦を過ぎても刑事をやっているということがわかり、「サザエさん方式である」と確信を持つことができたので、実はかなり安心しました。

大丈夫。鮫島は年を取らない。シリーズは、作者が死ぬまでに完結してくれたらOK。

というわけで、次回作はのんびり気長に待ちたいと思います。

暗約領域 新宿鮫XI
大沢在昌
光文社
2019-11-19


春日太一『黙示録――映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄』(文藝春秋)

201911奥山和由012

春日太一氏の新刊「黙示録――映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄」を読みました。
これは本当に読んで良かった本ですね。好きな映画の裏話が聞ける、というレベルではなく、80~90年代の邦画に対する認識がガラリと改まりました。

そもそも、奥山和由というプロデューサーに対してはあまりよい印象を持っていませんでした。
親のコネで松竹へ入社すると「ハチ公物語」の大ヒットで調子に乗り、「RAMPO」では監督をないがしろにする横暴ぶり。「226」で笠原和夫の顰蹙を買い、ついには親子で松竹を追放される。
もちろん北野武監督を誕生させたり、「丑三つの村」「GONIN」など、筆者の大好きな映画をたくさんプロデュースしているということは知っていました。
しかし、それらの成果はすべて監督のおかげ、と思っており、プロデューサーの存在はほとんど意識していなかったわけです。
「いつかギラギラする日」なんかは、深作欣二と笠原和夫の秘蔵の企画からタイトルだけ持っていきやがって、とほとんど言い掛かりに近いことまで思っていました。

しかし、本書を読むと、これらはすべて全くの誤解。勘違い。
奥山和由が熱い思いとアイデアとを持って取り組んだことで生まれた作品であったということがよくわかります。
華々しい活躍ぶりは、筆者のごとき世間一般の素人からは胡散臭い目で見られ、松竹を追い出されたときにはマスコミからバッシングを受けます。しかし、このときに深作欣二や菅原文太という文句なしに信頼できる人たちから送られた直筆の手紙には泣きました。
映画プロデューサーというのは、角川春樹にしても奥山和由にしても、会社を追い出されてなんぼ、っていうものなんでしょうかね。

改めてプロデュース作を見直していこうという気になりました。
さっそく「いつかギラギラする日」のDVDを我が家のコレクションから取り出して見ていたわけですが、ラストシーン、ショーケンがパトカーの屋根の上を四駆で走り抜けるシーンは、本書の裏話を知ってから見ると爆笑です。

80~90年代の映画史として秀逸であり、奥山和由というプロデューサーの業績を記録したものとして貴重であり、名作の裏話として興味深い。
本当に読んで良かった本です。



岩波文庫的って?佐藤正午「月の満ち欠け」

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2017年に第157回直木賞を受賞した佐藤正午の「月の満ち欠け」。
岩波書店から発行された小説が初めて直木賞を取ったということで話題となりましたが、今月、文庫版が刊行されました。

これを書店で見てびっくり!
なんと、岩波文庫に入っているではないか。
岩波文庫は生きている著者の本は収録しない方針で……というのまことしやかなウソですが、実際のところ古典として評価の定まったものでなければ収録しないため、著書のほとんどは故人です。
発表されて数年の、しかも小説が収録されるというのはありえないことで、「月の満ち欠け」が文庫化されるなら岩波現代文庫だろうと思っていたので、これには驚きました。

ところが、ちょっと様子がヘンです。
まず、日本文学は緑帯のはずですが、表紙を見ると金色があしらわれています。
これが店頭では、白帯の表紙に使われているグレイに見えたため「え?白帯(=社会科学)?」とますます驚いてしまいました。
手にとって帯を外してみると、背表紙も緑ではなく金色。これはいったいどういう分類なのか。
しかも、通常「岩波文庫」とある部分に「岩波文庫」と表記されています。

ますます謎が深まり、中をパラパラめくると、一枚のチラシが挟んでありました。

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 これでようやく、謎が解けました。
著者としては「岩波文庫へ」という希望だったものの、岩波書店としてはブランド価値を守るため、それは受け入れられない。だから、岩波文庫のパロディで刊行しよう、ということだったようです。

岩波文庫のパロディを狙った装丁というものはこれまでにも例はありますが、本家本元が、本気で取り組むとどうなるか。
なんとかして本物の岩波文庫に近づけたいという熱意と、何が何でも岩波文庫には収録したくないという方針とが倒錯的にせめぎあい、しかもそれが自作自演ということで、かなり笑いました。
変わった装丁が好きな人は必携のコレクターズアイテムに仕上がっていると思います。ネタが岩波文庫でなければ絶対に成り立たないし、同じネタは二度と使わないでしょうから、唯一無二の存在です。

詳細に見ていきましょう。

まず、「岩波文庫じゃないアピール」について。
本書のあちこちに「これは岩波文庫ではありません」ということが強調されています。

最初は書名に注目。本書の書名は『岩波文庫的 月の満ち欠け』です。
通常、「岩波文庫」などのレーベル名は「シリーズ名」として扱われ、書名には含まれません。しかし、奥付を見ても、岩波書店のホームページを見ても、書名は『岩波文庫的 月の満ち欠け』となっています(岩波文庫的、という部分だけ級数を落とした活字になっています)。
岩波文庫ではなく、岩波文庫的な本だ、ということですね。
次に左下のミレー「種まく人」のマーク。通常は、緑なり赤なりで彩色されていますが、本書ではタイトルからのイメージで、わずかに欠けた形に塗られています。
裏表紙のロゴマークも、本来は壺の形ですが、月をイメージしたデザインになっています(ちくま文庫っぽい)。
また、岩波文庫には必ず掲載されている「読書子に寄す」も載っていません。

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あちこちに「ニセモノっぽさ」が漂っていますが、最大のポイントが「C分類」。
C分類とは、ISBNや価格の横に表記されている分類番号です。
書籍の流通現場でしか使われていないものなので、本好きでも知らない方が多いと思いますが、ここが文庫ではありえない数字になっています。
詳しくは、Wikipediaの「日本図書コード#Cコード」をご覧いただければと思いますが、C分類の2桁目は「形態」を表す部分で、文庫はここが「1」になります。
したがって、岩波文庫も通常は「0193」とか「0132」とか、ともかく2桁目はすべて「1」になっています。
ところが、本書のC分類は「0093」。読み解くと「対象:一般、形態:単行本、内容:日本の小説」ということで、文庫本扱いになっていないのです。
もう一つ、書店で気づいた点として、書店店頭で書籍に挟んである「スリップ」があります。岩波文庫のスリップには通常、大きく「文」というマークが印字されていますが、ここが単行本を示す「単」というマークになっていました。
要するに、これは岩波書店内では文庫本ではなく、単行本として扱われているのです。当然、文庫の新刊案内にも掲載されません。
このように、至るところに「岩波文庫に収録してたまるか」という、出版社としての強い意志を感じます。スキがありません。
ちなみにこの単行本マークのスリップは、「お、これはコレクターズアイテムだぞ」と思ったのですが、会計時に無情にも抜かれてしまいました。不審者扱いされそうで、さすがに欲しいとは言えなかった……

さて、岩波書店は会社として「岩波文庫には断固として収録しない」と頑なな意思表示をしていますが、一方で著者・編集者サイドは「なんとかして岩波文庫に寄せていきたい」と頑張ります。その情熱を見ていきましょう。
表紙も本物そっくりなのですが(といっても、自社製品ですから……)、表紙を外してもちゃんと岩波文庫です。

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本物と比べてみると全く同じ。ただし、「岩波文庫」のところは「岩波文庫的」になっていて、裏表紙の壺マークも、やはり月マークになっています。
岩波文庫でおなじみの「〇〇作」という著者表記もちゃんと踏襲しています。
製本も印刷も岩波文庫と全く同じ。
岩波書店がやっているので当たり前といえば当たり前なのですが、あれほど強烈に「岩波文庫ではない」アピールをされたあとに見ると、その本物への寄せっぷりになぜか感動してしまいます。
品番の「55-825-1」というのがよくわからなかったのですが、調べてみたら著者の誕生日(1955/8/25)ですね。

挟んである栞は普通の岩波文庫のもので、筆者が買ったものは広辞苑の広告が印刷されていました。ここは最後にもう一捻りほしかったな、と残念ポイントでした。
あと、これって新刊のあいだはいいけど、新刊コーナーに平積みされなくなったら、どこのコーナーに並べられるんでしょうね? 憧れの岩波文庫コーナー? それとも岩波書店の方針を忖度して日本文学の単行本コーナー? 書店員のセンスも問われます。

というわけで、ここまで、小説の内容に全く触れていなかったのですが、すみません、筆者は日ごろはミステリ以外の日本文学をほとんど読まないため、この「月の満ち欠け」も未読でした。
しかし、これもなにかの縁、明日からさっそく読んで見たいと思います。

岩波文庫的 月の満ち欠け
佐藤 正午
岩波書店
2019-10-05


Video & TV SideViewはVPNでレコーダへ接続できない

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今日は本とは全く関係ない記事です。

わが家では昨年(2018年)の正月に買ったソニーのBDZ-ZW1500を使っています。
10年前に買った同じくソニーのブルーレイレコーダの動作がずいぶんと不安定になってきたため、壊れる前に買い替えたものです。

購入した時点で「どこでも録画予約・どこでも視聴・おでかけ転送」の機能があることはわかっていたのですが、わが家の家電でスマホと連動させているものは一つもないため、「外からつなごうと思ったら、当然、ルータのポートを開放しないといけないだろうし、設定が面倒だな」と思い込んでいて、1年半以上も試すことはもちろん、調べてみることすらありませんでした。
にも関わらず、最初の設定でなんとなく自宅のWi-Fiにだけはつないでいたわけです。

先日、デスクトップPCを買い替えてあれこれいじっていたら、PCのアプリからレコーダの中身を覗けることに気づきました。
Wi-Fiでつながっていて、同じネットワーク内なので、これ自体は別に驚きはありません。
権限がないため再生はできないのですが、PCで録画番組を見られたら、子どもたちにテレビを占領されているあいだにも録画番組消化ができるようになってちょっと便利だなと思いついたわけです。

そこでネットワーク越しの再生方法について初めて調べてみたのですが、まずPCで見るには「PC TV Plus」というアプリのインストールが必要で、これが3000円(わが家の環境で再生可能なのかは未確認)。
ちと高い。
そこでスマホのアプリを調べると「Video & TV SideView」というソニー製品用のアプリがあり、これが500円。というわけで、失敗しても大したことない価格なので購入しました。

で、インストールして驚いたのは全く何の設定の必要もなく繋がってしまったこと。
ルータについてはもともと使えるポートが用意されているのかどうかわかりませんが、何もせず。
さらに、WAN側のIPアドレスを調べて入力したりとか(で、変わるたびに書き換える)、そういう作業も予想していたのですが、これも一切なし。
まあ、考えてみれば、この手の家庭用機器はネットワークの知識が完全にゼロの人でも使えるようにしなければいけないので、かなり頑張って開発しているんでしょうね。職場のシステムとはワケが違う。
IPアドレスについては、同一ネットワーク内でアプリを立ち上げレコーダと接続した際に取得していると思われます(したがって、外出中にIPアドレスが変わってしまうとつながらない)。

というわけで、無事に設定できて、子どもがテレビを見てるあいだどころか、通勤途中にも録画番組を消化できる身分となり、ずいぶんと楽になりました。

ところが、不満がいくつか。
まず「どこでも視聴」は、外出先からレコーダへ接続して、そのまま録り溜めた番組を再生させる機能ですが、当然、通信量が膨大になります。
それほどリッチな回線契約をしているわけでないので、ちょっとでも使ったらパンクします。そこで、出張先のホテルで、部屋の無料Wi-Fiにつないで試してみました。
しかし、これで見続けるのはそうとう厳しい。おおよそ30秒ごとに10秒くらいのペースで、データの読み込みのために固まってしまうという状態で、早送りもできないため、45分の「探偵ナイトスクープ」を見るために1時間以上かかりました。

そうなると、予めスマホへ番組を転送しておく「おでかけ転送」の出番です。
ところが、これを出張先のホテルから試したところ転送できないのです。
どうやら、同一ネットクワーク内でないと転送できない仕様となっているのです。
テレビ番組はデジタルの時代になってからガチガチにプロテクトがかかるようになってしまったので、これもその一環なのでしょう。

しかしこれはなかなか不便です。
筆者が通勤や出張中の暇つぶしに見るだけなら予め準備しておけばよいだけなのですが、できれば家族で旅行するときも、車内や宿泊先で、子どもたちのために自宅の録画番組を見られるようにしたいと考えていたからです。いつも、DVDへ焼いたりしていろいろ手間がかかっているので、手軽にアクセスできるようになったら楽チンだな、と。
ところが、同一ネットワーク内でなければ転送できないとなると、DVDへ焼くよりは楽ですが、やはり事前準備は必要ということ。なんとかならないものか。

そこで思いついたのがVPNです。
自宅のネットワークとスマホをVPNで繋げば、同一ネットワーク内ということになるので、外出先でも「おでかけ転送」できるのではないか。
というわけで、ルータのマニュアルをWebで探して一生懸命、設定しましたよ。
こんなことをわざわざやるのは初めてのことですが、内容を見ると家庭用のルータとはいえ、なかなかセキュアにVPN設定ができるようになっていて感心。
で、1時間近くかけてようやくスマホがつながりました。
これでバラ色の未来が広がっている!と、スマホを自宅Wi-FiからLTEへ切り替え、レコーダへつないでみたいのですが、なんと転送できない!

で、Webでいろいろ検索してみたのですが、やはり同じようにVPNで「おでかけ転送」しようとしている人は他にもいて、皆一様に「できない」と結論しています。
VPNでつないでいれば、レコーダからすれば紛れもなく同一ネットワーク内に見えているはずなのですが、これ、いったいどういう仕組みなんでしょうね。
外出先からサクッと機器へつながる理屈は推測できますが、VPNを阻止している方法は見当がつきません。
方法だけなく、理由もわかりません。著作権保護の観点から言っても、VPN接続まで排除しなくてもいいんじゃないの? どっちみち許容されている転送回数は10回までだぜ? と思ってしまうのですが。

というわけで、本日の記事は同じなようなことを思いついて、試している方向けのものでした。

ちくま文庫から都筑道夫「紙の罠」が復刊

201909危いことなら銭になる010

ちくま文庫から11月に都筑道夫「紙の罠」が刊行されます。

紙の罠 (ちくま文庫 (つ-11-4))
都筑 道夫
筑摩書房
2019-11-07


都筑道夫は「三重露出」「猫に舌に釘をうて」「七十五羽の烏」「なめくじ長屋」シリーズなどの本格ミステリが有名ですが、アクション小説もいろいろ書いており、筆者はどちらかと言うとそちらの方が好きなのです。
この「紙の罠」は「なめくじに聞いてみろ」に続く、コミカルなアクション小説の第2弾ということになります。

紙幣印刷用の紙を積んだトラックが襲撃され、大量の用紙が盗まれたとニュースになる。
となると、犯人の目的は偽札作りだろうから、次に狙われるのは偽札印刷の名人だろう……ということで、主人公たちは名人の身柄を犯人グループより先に押さえ、身代金をせしめようを画策します。
このプロットからして、もうたまらん。

筆者がこの小説を何で知ったのかはよく覚えていません。
30年ほど前、中学2年生のときにたまたま読んだ「なめくじに聞いてみろ」で都筑道夫の魅力に取りつかれ、同じ系列にある作品としてこの「紙の罠」と「暗殺教程」とが並べて紹介されているのを何かで読んだのでした。
都筑道夫本人のエッセイだったような気がするのですが、よくわかりません。
のちに単行本化された『推理作家の出来るまで』では、たしかにこのあたりの作品を並べて回顧しているのですが、平成元年頃には筆者にはこの文章を読むすべはなかったはずで、なにか別の本だったのではないかと思うのですが……

ともかく、当時は都筑道夫の初期作品は何もかも絶版だったため、「紙の罠」も「暗殺教程」も古本屋で文庫を探して読みました(入手は楽でした)。
その後、「なめくじに聞いてみろ」は扶桑社文庫から、「暗殺教程」は光文社文庫から復刊されましたが、「紙の罠」はどこからも復刊されずさびしく思っていました。
今回は土方・近藤シリーズの続編となる「悪意銀行」も一緒に復刊されるということなので、久しぶりに読み返すことにしようと思っています。

ついでに言えば、今回は「土方・近藤シリーズ」の復刊という趣旨のようですが、できれば「都筑道夫アクション小説の復刊」という路線にしていただき、「なめくじに聞いてみろ」も続刊で出してくれないかな、と。
講談社文庫版は古本屋で3冊も買っているし、扶桑社文庫版も買って大事に持っているのですが、ちくま文庫から出るとなったら、また買っちゃいますよ、絶対に。扶桑社文庫版が出て、よく考えたらもう20年近く経っています。
「紙の罠」「悪意銀行」のあとに続けで刊行されても一切の違和感はないので、ぜひ、と願っております。 

ちなみに、書き忘れましたが冒頭の画像は「紙の罠」を映画化した日活「危いことなら銭になる」のDVDジャケット。
詳しいことは、以前に書いたこちらの記事を御覧ください。
都筑道夫関連映画のDVD その1

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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
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