備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

笠原和夫「昭和の劇」復刊!

201811昭和の劇288

当ブログではこれまで何度も映画脚本家・笠原和夫のことを取り上げてきたのですが、記事を書くたびに「『昭和の劇』が品切れになっているのは残念だ」ということが頭にありました。
「昭和の劇」は笠原和夫の最晩年に刊行されたロングインタビューです。2002年11月に刊行され、奥付の刊行日からちょうど1ヶ月後に笠原和夫は世を去りました。
実を言えば筆者は、この本が出たとき、笠原和夫という存在をあまり認識してはいませんでした。
「仁義なき戦い」シリーズは見ていたものの、それ以外の深作欣二監督作品や、ましてや笠原和夫脚本を追いかけるということもしておらず、要するにほとんど関心を持ってはいなかったのです。
そんな程度だったにも関わらずなぜ書店で手にとったのか。
それは鈴木一誌によるあまりにもかっこいい装丁のためです。
なんだろうこの本は、と手に取ってパラパラめくってみたところから、大げさではなく人生が変わってしまいました。

立ち読みでチラッと内容を眺めたレベルでも、途方も無い面白さ。ずっしりとした本の厚みに見合った重量級の内容。これはとんでもない本だ。
その場で読み耽りそうになるのをなんとか堪えて、レジへ直行。当時の税率で税込4500円の本でしたが、むしろ安い、というくらいの勢いでした。
帰ってきてからは約3ヶ月間ずっと枕元に置き、特に後半部分を繰り返し読み返すという状態になってしまいました。

さて、そういうわけで、笠原和夫をあまり知らない方、興味のない方がいきなり読んでも全く問題なく楽しめる本であることは保証できます。
東映専属の脚本家として任侠映画、戦争映画、実録映画のシナリオを量産していたのですが、まず第一にここで描かれる東映という会社が最高。
「義理欠く、恥かく、人情欠く」の三かくマークを掲げる東映は、まさに実態がヤクザそのもので、抱腹絶倒エピソードが続きます。
そんな会社の中で、笠原和夫はヤクザ、戦争、テロなど、昭和史の闇に斬り込む作品を書き続けます。特に後半はシナリオ執筆のための取材エピソード、あるいは笠原和夫の目を通した昭和史が詳細に語られていきますが、この部分こそが本書の最大の価値です。
特に昭和天皇に対する並々ならぬ興味、愛憎相半ばする思いには胸が熱くなります。
本書刊行から18年経った今でも、筆者はなんとかここで語られる笠原和夫の「思想」を理解しようと、笠原の映画を観たり、シナリオを読むのはもちろん、やくざ、戦争、天皇、昭和史といったテーマの本や映画、ドキュメンタリーを漁り続けているのです。
先に書いた「人生が変わった」というのはそういう点においてです。笠原和夫の呪縛から逃れられなくなってしまったのでした。

というくらい、筆者にとっては生涯最大級の重要本、「無人島へ持っていく一冊」というよく言われる状況が本当に起こったならば、間違いなく選択するであろう本なのですが、ここ数年は品切れで書店店頭から消えていました。
筆者の記憶では、2013年頃には書店でもたまに見かけたので、刊行から10年くらいは重版していたようですが、さすがにこれだけの大部な高額本をずっと販売し続けるのは難しかったようです。

今月、これが復刊されます。

復刻版 昭和の劇
太田出版
2021-04-10


「復刻版」と銘打っているということは、ほぼ内容は変わっていないのでしょう。表紙や帯も、Amazonで確認する限りは、「【復刻版】」と入っている以外全く以前と同じです。
価格は驚きの税込9900円。
復刊されると軽装の普及版になることが多いものですが、逆で来ました。
単なる重版ではなく、あえて「復刻版」ということにしたのは、価格を変更するためなのかもしれませんね。

この価格設定はしかし、版元の「本気度」を表しているようにも思われます。
これだけの名著を再び埋もれさせるわけにはいかない。とはいえ、ロングセラーとして書店に常備してもらえるような本でもない。
となると、倉庫に置いて一冊ずつ注文に応じる、あるいは図書館が買い上げてくれるのを期待する、そのような形で細く長く販売を続けることになりますが、それでもペイできる価格設定。
きっとそうに違いない。太田出版は社が存続する限り、本書を品切れにはしないはずだ。
この記事を読んでいる皆さん、ここは一つ、社会貢献のつもりで買いましょう。内容的には1万円払う価値は十分にあります。それで一生、楽しめるのですから。

筆者もこれだけお世話になったお礼にもう一冊くらい買っておこうかな、と思わないでもありませんが、いやしかしさすがにこの価格で「ダブり本」は妻が承知しない。
せめて改めてブログで紹介し、一冊でもたくさん売れて、一日でも長く本書の販売が続くことを祈るばかりです。あと、近所の図書館にリクエストして入れてもらうようがんばります。

復刊を希望する島田荘司初期作品

202003網走発遙かなり019

島田荘司の初期作品は本当に惚れ惚れするような傑作が揃っているのですが、時の流れには勝てず、長らく書店で入手困難な作品がいくつかあります。
電子書籍で読めるものもありますが、とはいえやはり書店に並んでいないのはさびしい限り。
最近になってそんな状態だった「火刑都市」や「毒を売る女」が復刊されましたが、続けて出してくれないかな、と思う作品を書き出してみようと思います。

『網走発 遙かなり』

「網走発 遙かなり」は短編集というべきか連作長編というべきか、ちょっと不思議な作品です。
「丘の上」「化石の街」「乱歩の幻影」「網走発 遙かなり」という4つの作品が収録されています。
はじめの3つは互いに特に関係が無い完全に独立した短編小説なのですが、最後まで読むと全てを含めて長編小説となっているという構成で、紹介のされ方によって「短編集」「長編」「連作長編」といろいろ解釈されています。
筆者としては、実は断然「短編集」としてものすごく好きな作品です。
いずれの作品もが、ネタも完成度も優れたものばかり。以前に、Amazonが島田荘司短編のベストを募集していたとき、喜国雅彦氏はこの短編集の全作品を挙げていましたが、完全に同意見です(10年以上前なので、コメントのページがもはや見当たりませんが)。
本格ミステリというわけではなく、幻想小説に近いような読後感ですが、特に「乱歩の幻影」は乱歩ファン必読。これまたかなり昔ですが、日下三蔵氏の編集でちくま文庫から乱歩をテーマにした短編小説集が刊行された際、表題に選ばれたのもこの作品でした。
そんなわけで、筆者としては島田作品の中でも必読の一冊と考えているのですが、名探偵も登場せず、奇想天外なトリックもないということでファン以外にはあまり知られていないようで、ずっと品切れのままになっています。
これは後世に残すべきといって良いレベルの作品集だと思うのですが……

『切り裂きジャック・百年の孤独』

これははじめ集英社から単行本で刊行され、集英社文庫へ収録された後、15年くらい前に文春文庫に収録されたこともありますが、それももはや品切れです。
1888年にロンドンで跳梁した殺人鬼・切り裂きジャック。1988年にその再来かと思われる事件がベルリン(東西冷戦下の!)で起こり、百年前の事件と合わせて「クリーン・ミステリ」氏なる日本人が解決します。
そう、これは御手洗潔シリーズの番外編でもあるのです。
ところでやはり御手洗シリーズ番外編である短編「糸ノコとジグザグ」に登場する演説男の正体が御手洗であることは、その後の作品で明記されていますが、「クリーン・ミステリ」氏についてはその後の作品では全く言及されていません。
このため、これが御手洗潔なのかどうか、筆者は長年よくわらかないまま過ごしていたのですが、実は島田荘司先生のサイン会に参加した際、無粋を承知でこの件を尋ねてみたことがあります。
その時は「うーん、別の名前をつけるとやはり別人格が生まれてしまうわけで(ごにょごにょ)」という感じでお言葉を濁され、YesともNoとも全くわからないお返事でした。そのような場で徹底的に究明するわけにもいかず、謎のままです。

『嘘でもいいから殺人事件』

島田荘司はユーモアという点でも抜群のセンスがあり、「斜め屋敷の犯罪」「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」など抱腹絶倒のシーンがいくつも印象に残っていますが、この「嘘でもいいから殺人事件」は、はっきりと「ユーモアミステリ」を標榜したものです。
やらせ番組のテレビクルーが東京湾に浮かぶ猿島を舞台にした殺人事件に遭遇する、という80年代的なノリのドタバタ劇なのですが、実は事件自体はガッツリした本格ミステリ。いつもどおり血まみれの死体が出てきて、大技のトリックも決めています。

『展望塔の殺人』

島田荘司最初の短編集でカッパ・ノベルスから刊行されました。
第2短編集「毒を売る女」(これも大傑作)の人気に隠れている印象がありますが、かなりの力作が並びます。
特に「都市の声」「発狂する重役」なんかは初期の代表作と言ってよいと思います。
「毒を売る女」が復刊された機会にこちらもぜひ!
カッパ・ノベルスからその次に出た短編集「踊る手なが猿」も名作が並んでいます。

というわけで、思いつくままに現在、文庫が品切れの作品を並べてみました(全集には収録されてます)

網走発遥かなり (講談社文庫)
島田 荘司
講談社
1990-07T


切り裂きジャック・百年の孤独
島田荘司
文藝春秋
2014-09-26




展望塔の殺人 (光文社文庫)
島田 荘司
光文社
1991-03T

 

学習漫画「世界の歴史」買うならオススメはこれ! 4大シリーズ+1を比較

はじめに

以前の記事で学習漫画「日本の歴史」の選び方をご紹介しました。

学習漫画「日本の歴史」買うならおすすめはこれ!人気5大シリーズを比較

今回はその「世界の歴史」編です。
ところが、世界の歴史に関しては、日本の歴史ほどたくさんの種類は出ていないんですよね。
また、読者の方も日本の歴史ほど熱心ではない印象があります。
おそらく「日本の歴史」は小学生から学習するものの、「世界の歴史」となると本格的に学ぶのは高校に入ってからであり、大学受験対策として勉強する人が多いため、「高校生になっても学習まんが??」というイメージがあるためではないでしょうか。

これについて筆者は「歴史については高校生でもマンガで勉強すべし」と考えています。
というのは、筆者自身も大学受験のときは学習漫画で世界史を覚えたんですよね。
教科書の文字を追うだけでは膨大な人名を覚えるのは不可能。物語に落とし込んで視覚的に理解できるマンガは、歴史学習にうってつけです。これで流れを理解した上で、教科書や資料集で細部を詰めていけば受験勉強は一丁上がりです(ホントです)。

というわけで、「世界の歴史」も「日本の歴史」と同じく、小学生のうちに買って大学受験まで繰り返し読んで大事に手元へ置いておくのがおすすめですが、それでは何を買えば良いのか?
今のところ、有力なシリーズは次の3社です。




学習まんが世界の歴史全巻セット
小学館
税込17,993円
2018-11-29




さらに、2021年2月にKADOKAWAからも新シリーズが発売されました。
KADOKAWA版の「日本の歴史」は他社よりコンパクトな装丁と、リーズナブルな価格で人気がありますが、「世界の歴史」も同じスタイルです。
全巻セットには特典の「懐中コンパス」がついています。


では、シリーズを一つ一つご紹介していきます。

集英社




公式サイト:http://kids.shueisha.co.jp/sp/sekainorekishi/
実は「世界の歴史」の学習漫画を一番最初に発行したのは集英社です。筆者が大学受験のときに読んでいたというのは、集英社から出た最初のバージョンでした。以前は、世界史のマンガは集英社以外に選択肢がなかったわけです。
それから何度か改訂されているため、イラストはずいぶんと洗練されてきました。
集英社版はパイオニアらしく、「学習」と「漫画」とのバランスが取れた内容です。高校で学習する世界史の流れに沿っており、物語のあいまに挟まれる解説やコラムも充実しています。小学生から高校生まで、楽しみながら学習できる内容です。
セットの特典は時期によって変わります。以前に出たセットの在庫が残っていることもあるので、Amazonでチェックしてみてください。

KADOKAWA



2021年2月に発売された新シリーズです。
公式サイト:https://mangagakushu.kadokawa.co.jp/sekainorekishi/

「日本の歴史」では後発ながら最も人気があるシリーズとなってしまったKADOKAWAの学習まんが。いよいよ世界史のシリーズが発売されました。
全20巻のうち11冊が近現代史という、大学受験まで使える内容です。
世界史の学習まんがでは唯一、B6ソフトカバーのコンパクトな装丁です。全20冊の大ボリュームと手頃な価格で、世界史分野でも人気シリーズとなることと思われます。

小学館

学習まんが世界の歴史全巻セット
小学館
税込17,993円
2018-11-29



 公式サイト:https://www.shogakukan.co.jp/pr/sereki/

2018年に刊行された新しいシリーズです。
こちらの一番の特徴は、「山川出版社」が監修しているという点ですね。
小学館の本なのに山川出版社ってどういうこと? と思われるかも知れませんが、山川出版社は歴史書の刊行で有名な出版社です。日本の高校で最も使われている日本史、世界史の教科書も山川出版社が発行しており、大学受験用学習参考書も歴史については山川出版社が一強です。
というわけで、高校生にとっては安心感のあるブランドですが、では小学生には難しすぎるのか?
これが、内容を読むと全くそんなことはありません。むしろ、マンガとしては各社の中でも最も小学生でも読みやすい内容なのではないかと感じました。
小学生のうちから親しみつつ、大学受験対策としても外さない。そんなシリーズに仕上がっています。

学研




公式サイト:https://gakken-ep.jp/extra/manga/world/

学研版はフルカラーの美麗なイラストに目を奪われますが、最大の特徴は「日本の歴史」と同じく、充実した巻末資料です。
マンガで流れを押さえた後は、本格的な参考書レベルの巻末資料でしっかりと歴史の学習を、という形になっています。
本編12巻+別巻2冊の全14巻セットが基本で、時期によっては特典が付きます。特典内容も時期によって異なりますし、以前に出たセットの在庫が残っていることもあるので、詳細はAmazonなどでチェックしてください。

まとめ

というわけで、「世界の歴史」となると3社とも大学受験まで意識した作りになっていますが、その上で特徴をまとめるとこんな感じでしょうか。
集英社……小中学生にも親しみやすく、高校レベルの解説も充実。
KADOKAWA……2021年2月発売の最新シリーズ。近現代が充実。「日本の歴史」シリーズはシェアナンバー1なので、世界の歴史も期待されます。
小学館……山川出版社の監修で、大学受験まで安心。小学生にも読みやすい。他社よりも安い価格設定。
学研……マンガ部分は小中学生向けだが、巻末資料は高校生向け参考書レベル。

おまけ

「日本の歴史」と同じく、集英社から以前出ていたバージョンの「世界の歴史」は集英社文庫でも読めます。実はこれ、大人が世界史を再学習する本として、隠れたロングセラーになっているのです。



高校生にもなって、児童書で勉強するのはちょっと……という方は、こちらの文庫版をおすすめします。元版は15年以上前に刊行されていますが、歴史の大きな流れはその程度で変わったりはしません。

関連記事:
学習漫画「日本の歴史」買うならオススメはこれ!人気5大シリーズを比較
こども向け図鑑を揃えるなら、おすすめはどれ?4大出版社を比較!

ボーゲンヘルパーの威力

20210206095437(1)

さて、スキーが大好きな我が家としては、昨シーズンは記録的な雪不足のためほとんどスキーへ行けず、ストレスをためまくっていたのですが、今年は大雪!
災害レベルの降り方だっため、単純に喜んでいるのもいかがなものかと思わなくもないのですが、それでもやはりスキー好きにはありがたいシーズンとなりました。

そんなわけで、週末ごとにスキーへでかけていたところ、初めて板を履いた幼稚園児の三男がめきめき上達。初心者コースであれば全く問題なく滑ることができるレベルになりました。
長男は中級コースでも平気で滑れるようになっていますし、三男がこれだけ上達すれば、いよいよ初心者向けのスキー場を脱して、もっと楽しいゲレンデへ行けるようになるかもしれない!

そう期待したのですが、ところが、問題は次男。
小学2年生ですが、もともと運動は苦手で、なかなか根気強く練習するということをしません。
弟がすいすい滑っている隣で、立っているのもおぼつかない状態。練習しようにもすぐに飽きてしまって、ほんの僅かな距離すら滑ることができません。
せっかく今後の家族スキーに期待が膨らんだところで、これは由々しき事態です。

そこで、妻の提案で「ボーゲンヘルパー」を購入しました。
クリップで板の先端を固定して、自然と「ハ」の字になるようにする補助器具です。
近所のスポーツデポ(アルペン)で売っていました。

しかし当初、私としてはこれに懐疑的でした。
こんなもんで本当に滑れるのか?
とはいえ、これが最後の頼みの綱と握りしめ、次男1人を特訓のため六甲山スノーパークへ連れてきました。

なんとかうまく滑ってくれ。
祈りながら、次男の板へボーゲンヘルパーをはめ、一発目の滑りがこちら。


ええええ~っ!
なんと、いきなり普通に滑れているではありませんか。
滑り始める前に次男には「足を開いたら止まって、閉じたら滑るよ」とだけ、口頭で指導したのですが、それ以外、何も練習していません。要するに、その前週、立っていることすらまともにできなかった状態から、突然コレです。
自転車の補助輪のようなもので、かなり強力な武器だったということがよくわかりました。

そんなわけで、翌週、改めて大きなスキー場へ連れていったところ、こんな感じ。
姿勢は悪いものの、すいすい滑っていて、本人もしっかり楽しんでいます。
はじめはうまくできなかったターンもバッチリできるようになって、初心者コースであればなんの不安もない状態になりました。


楽しく滑っているうちにコツも掴めたようで、撮影はしていませんが、この日の最後は、器具を外してもなんとか滑れるようになりました。
感涙……

そんなわけで、お子さんがなかなか上達しない、というとき、これはおすすめです!
我が家が買ったのは、スポーツデポ(アルペン)で売っている「ボーゲンヘルパー」ですが、これはAmazonでは扱っていないようです。
Amasonの類似商品としては以下のものがあります。
機能的には全く違いは無いようです。



学習漫画「日本の歴史」買うならオススメはこれ!【2021年最新情報】人気5大シリーズ+αを比較

小学館日本の歴史

最終更新日:2021年2月23日

はじめに

日本の歴史をマンガで学べる学習漫画。あちこちからシリーズが出ています。
わが家でも小学生の息子に買ってやるため、果たしてどれを買えばよいのか、各社版の特色を調べてみました。

現在、書店に並んでいる日本史の学習まんがのうち、特に人気があるのは小学館、集英社、角川、学研、講談社の5社です。
なお、掲載している情報は改訂されたり新刊が追加されたりで、価格やセット内容など随時変わってきます。なるべくフォローするようにしていますが、最新情報はリンク先のAmazonで確認していただければと思います。



これらのシリーズは一冊ずつバラバラでも買えますが、どうせなら箱入りセットで買うことをおすすめします。


というのは、時期によって異なるのですが、セットで買うと特別価格になったり、セットだけに限定の付録がついていたりするためです。家庭での保管にも箱に入っていたほうが何かと楽です。
筆者としては、書店でバラ売りをしているのは「内容確認のための見本」で、買うならセットが当然、と思っています。
また、小学生の親御さんの中には「うちの子は歴史にはあんまり興味ないかな……」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それは大丈夫です。
中学生・高校生になったら高校受験・大学受験のために確実に読みます。また、この記事で紹介するシリーズは、いずれも率直に言って大学受験対策までカバーできます。大学受験で出題される日本史というものは、本格的な歴史好きからしたら基本中の基本のことばかりなんで、子ども向けとはいえ、この手のシリーズを一通り読んでおけば、分厚い参考書を必死で暗記するより楽に勉強できるわけです。
春休み、夏休みなど長期休暇前に購入して自宅学習するのもよいでしょう。

それでは、それぞれの特色を見ていきましょう。

小学館「学習まんが少年少女日本の歴史」


公式サイト:http://www.shogakukan.co.jp/pr/manganichireki/

小学館は、学習まんがの老舗であり、ド定番と言えるシリーズだと思います。
実は筆者も子どもの頃に読んでいたので、かなり思い入れがあります。
1981年に刊行されてから、細かい改訂は何度か行われていますが、大きくは刷新していません。このため、現在の子どもから見ると若干イラストが古いと思われるようですが、これだけ長く読み継がれているのは、それだけ完成度が高いからだといえます。
人物の描き分けや画面の構図などは肖像画や絵巻物、近代であれば写真などを参考に描かれており、高校生になってから日本史の図録を見て、「あ、これは学習漫画のイラストと同じだ」と気づくことが何度もありました。⇒この辺の話、別のページにまとめてみました。学習まんが「少年少女日本の歴史」(小学館)はここがスゴイ!
また、他社に比べるとかなり細かいコマ割りで、情報量が多く感じられます。
筆者の兄などは、このシリーズをさんざん読み込んだ知識だけで大学入試を済ませて、今は中学校で社会科の教師をやっているほどです。
価格は他社より高めですが、自信を持っておすすめできます。例の「ビリギャル」も、慶応大入試をこれで済ませたそうです。

なお、上記「24巻セット」は、本編22冊に「人物事典」「史跡・資料館事典」という補巻2冊が加わったものです。
2018年10月に新刊として追加された「22巻 平成の30年」を含みます。



また、電子書籍のシリーズも出ています。大きめのタブレットをお持ちの家庭にはこちらもおすすめです。


(なお単行本最新刊の22巻「平成の30年」は電子書籍では未刊。このリンクは本編全21冊に別巻2冊を加えた23冊セットです。電子書籍の価格は変動するため正確なところはリンク先のAmazonで確認していただきたいのですが、たいていはセットで税込14,904円と、単行本よりもかなり安い設定になっています)

集英社「新版 学習まんが 日本の歴史」

公式サイト:https://www.shueisha.co.jp/rekishi/

集英社は、2016年末に内容を全面的に刷新したばかりです。最新の研究成果・知見を取り入れた内容と言えます。
また、最も大きな特長は現代史に力を入れている点です。
他社版は現代史の部分は昭和・平成をまとめて1~2冊というところですが、集英社版だけは昭和史3冊、平成史1冊と、かなりの充実です。
平成史なんて子どもに読ませる意味あるの?と大人は思ってしまいますが、バブル崩壊、阪神大震災、構造改革、グローバル化、インターネットの普及、テロとの戦争、リーマンショック、東日本大震災と、もはや「歴史」として学ばなければいけないことは山のようにあるわけです。
表紙絵は各巻、少年ジャンプの人気漫画家たちが競演していますが、本編は別の漫画家が描いていますので、その点はご注意ください。
また、小学館版が「学習」を重視しているのに対し、マンガとしてのストーリー展開を重視しており、絵柄を含めて読みやすさを狙っています。コマ割りはかなり大きめです。
全巻セットで買うと、バラで買うより価格がお得になります。

また毎年、数量限定で価格はそのままの特典付きセットも発売されています。
2020年版は『はって楽しむ! 日本史イラストマップ』。「訪ねてみたい! 城と祭り」&「歴史をつくった偉人たち」の豪華両面仕様。「A2判の大判サイズ&合成紙製なので、お風呂にはっても楽しめます」とのことです。(2021年版特典セットは出ていないようです)



なお、集英社版は内容はそのままで価格を下げ、判型を小さくソフトカバーにした「コンパクト版」が2021年6月に発売予定です。このあとでご紹介するKADOKAWA版、講談社版への対抗するための投入と思われます。
Amazonで予約受付中です。
https://kids.shueisha.co.jp/nihonshi/compact.html


KADOKAWA「角川まんが学習シリーズ 日本の歴史」


公式サイト:http://shoten.kadokawa.co.jp/sp/mangagakushu/nihonnorekishi/

KADOKAWAは他社が菊判ハードカバーしか出していなかった時期にB6判ソフトカバーというコンパクトサイズを刊行し、一躍人気シリーズとなりました。
冊数は少なくまとまっているものの、1冊あたりのページ数は多く、実は総ページ数では小学館、集英社を上回っています。
にもかからず、価格も安く設定されています。
このような圧倒的なコストパフォーマンスで、日本史の学習漫画で一番よく売れているのはこの角川版なのです。
筆者的には、イラストがちょっとキラキラしすぎで、コマも大きめじゃないか、と思うのですが、どうなのでしょう。今の子どもには小学館版の野暮ったい絵よりも、こちらの方が受けているようです。
どちらかというとストーリー重視ですが、集英社版がマンガとしての「面白さ」を狙っているのに対し、角川版は歴史の「流れ」を捉えようとしており、学校の授業を補完するのにうってつけの内容です。
さらに角川版は、本編15冊のほかに、別巻として「よくわかる近現代史」という全3冊のシリーズが出ています。歴史学習ではどうしても近現代史が手薄になりがちですが、そこもバッチリ押さえられるというわけです。
他社版で揃えた場合でも、この別巻だけ購入して近現代を補うこともできます。



「よくわかる近現代史」を含めた箱セットもあります。別巻を含めても、小学館・集英社より安い。


また毎年、中学受験に役立つ特典をつけた限定セットが発売されています。定価は上記セットと同じなので、おまけの分だけ単純にお得です。2020年の特典は「豪華3大特典! 戦国&近現代史すごろくと戦国武将のぼり旗しおり定規5枚。戦国&近現代史すごろくで遊びながら学ぼう! しおり定規5枚セットは織田信長・豊臣秀吉・明智光秀・武田信玄・真田幸村ののぼり旗デザイン! まんがを読みこんですごろくで遊び倒したら、キミも日本史マスター!」とのことです。(2021年版特典セットについては2020年10月時点で発売の情報は出ていません)




学研「DVD付き NEW日本の歴史」


学研版は売れ行きの面では他社に遅れを取っている印象がありましたが、今年(2021年)2月に大リニューアルを仕掛けます。なんと全巻にDVDが付録されます。もともと刊行されていたシリーズと本編は特に変わりませんが、DVDが新たに追加される形になります。またハードカバーからソフトカバーへ変更され、サイズも菊判からA5判へとやや小ぶりになりました。
学習図鑑の世界ではDVD付きがスタンダードになっていますが、学習まんがにDVDがつくのは初めての試みで、人気次第では他社に広がっていくでしょう。
NHKの資料映像などを素材として使用しているということで、漫画とあわせて歴史への興味が盛り上がるのは間違いないでしょう。
DVD以外の特長としては、もともと学習参考書を手がけている出版社だけに、巻末資料が充実していることです。資料部分がかなりの割合を占めており、きちんと読み込めば、ほかの参考書は不要になるでしょう。小学館版が漫画の中で学習しようとしているのに対し、ストレートに学習参考書的資料がついているわけです。
巻数はコンパクトに収まっており、刊行時期も新しいため、フルカラーで見やすい絵柄です。
別巻2冊は2021年発売予定のDVD付きの箱セットには収録されません。こちらも資料が充実した内容で、図鑑好きの子どもはずっと眺め続けることでしょう。
以前からに刊行されているハードカバー版箱セットは別冊も含めた14冊セットでした。こちらも引き続き販売されているようです。


講談社「学習まんが 日本の歴史」


公式サイト:http://rekishimanga.jp/

講談社からも新しいシリーズ「学習まんが 日本の歴史」が2020年7月に刊行されました。
角川のシリーズと同じく、B6判ソフトカバーのコンパクトなサイズです。しかし、既刊のシリーズに対抗してか、総ページ数は他社を上回り、ナンバーワンです。
まず目を引くのは各巻冒頭の図録です。このコーナーだけでなかなかのボリュームがありますが、ビジュアルでその巻の内容を予習し、その上でマンガ本編に入っていく流れとなっています。
また、ページの枠外に「マメ知識」として受験に役立つ内容や歴史に興味を持てるトリビアが書かれているのですが、これがなんと全ページに書き込まれていて、情報量は膨大。中学受験、高校受験、大学受験まで視野に入れて作られているようです。
また、他社はほぼ無名の漫画家を起用しているのに対し、講談社の週刊・月刊漫画誌で活躍した経験のある人気作家を起用しており、画力でも他のシリーズを圧倒しています。
まだ刊行されたばかりですが、これはもしかすると、現時点の王者・角川を超える人気シリーズになるかも、と思いました。
全巻セットには特典として「歴史人物データカード全120枚」「日本史重要人物イラスト年表」がつきます。

まとめ

というわけで、各社版を簡単におさらいすると

小学館:菊判ハードカバー。時代考証が手堅く定評がある。学習重視。大学受験まで使える。
集英社:菊判ハードカバー。近現代史が充実。ストーリー展開重視。
角川:B6判ソフトカバー。場所を取らずコンパクトで価格も安い。別巻の近現代史もあり。歴史の流れを重視。
学研:A5判ソフトカバー。学習まんが初のDVD付き。本編は巻末資料が充実。学習重視。参考書の代わりになる。以前から販売されている菊判ハードカバー版はDVDなし。
講談社:B6判ソフトカバー。価格を抑えつつも、マメ知識欄など情報量が多く、ページ数も最大。著名な人気漫画家を起用。

まあ、正直なところ、熱心に読み込むお子さんであれば、「学習」という観点ではどれを買ったところでたいした違いはないかと思います。
筆者としては個人的な思い入れがあるということで、やはり小学館をベストと考えています。
イラストの雰囲気については、実際のところを確認されたい場合は、それぞれの公式サイトで試し読みをでき、また無料のお試し版を電子書籍で読めるものもあります。







Amazon商品ページ一覧表

Amazonで「日本史学習まんが」を検索すると、大量の商品がヒットします。ここに紹介したシリーズでもいろいろバージョンがあります。
混乱される場合もありますので、ここまでの記事と重複する部分もありますが、簡単にまとめてみます。

小学館
小学館は他社のように特典をつけたりしていません。ベーシックなセット1種類だけで勝負しています。価格はバラ売りでもセット売りでも変わりません。

 2018年に発行された「平成の30年」を含む最新セット。

 「平成の30年」が刊行される前のセット。上記「24巻セット」は「23冊セット+平成の30年」ということになります。現在は中古のみ出品されていますが、安く入手できる場合があります。

集英社
集英社のセットは書籍の内容はすべて同じで、毎年特典が変わっています。
価格はずっと同じですが、売り切れたセットについては、中古価格で出品されています。2016年に最初に刊行されたセットは定番として継続販売されているようです。
単品で揃えるより、セットで買ったほうが安くなります。

集英社 学習まんが 日本の歴史 全20巻+2020年版特典セット【最新版】
 2019年11月12日発売の最新セット。特典は『はって楽しむ! 日本史イラストマップ』。「訪ねてみたい! 城と祭り」&「歴史をつくった偉人たち」の豪華両面仕様。A2判の大判サイズ&合成紙製なので、お風呂にはっても楽しめます、とのことです。(2020年末は新しい特典セットは発売されないようですので、こちらが最新ですが、すでに品切れしています)

 2018年末刊行セット。特典は『わくわく、冒険! 日本史マスター3点セット』。くり返し遊びながら学べるクイズブックと、お風呂にも貼れるポスター、昔の地名がわかるクリアファイル、ということです。

 2017年末刊行。特典は「幻の江戸城天守クリスタルアート」。これ、なかなかかっこいいです。

 2016年末刊行。特典はクリアファイル5枚。(常時入手可能な定番セットです)

KADOKAWA
角川版は最もバージョンが多くて迷いますが、内訳は以下のとおりです。
まず、セットに含まれる書籍ラインナップがいくつか分かれます。
価格はセットで買ってもバラで買っても変わらないので、まずは定番セットを買って、順次別巻を買い足す、という形でも損はありません。特典が欲しい場合はセットを選んだほうがよいです。特典の有無では価格は変わりません。

 特典・別巻なしのベーシックセット。

 上記15冊セットに別巻「歴史まるわかり図鑑」を加えたもの。


 上記「全15巻+別巻1冊セット」と「全3巻セット」をあわせたもの。角川のシリーズはこのセットにすべて含まれます。

以下は、特典付きセット。毎年特典が変わるセットが出ています。書籍のラインナップは全て「全15巻+別巻4冊セット」と同じです。

角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 3大特典つき全15巻+別巻4冊セット【特典付き最新セット】
 2019年11月15日発売最新版。豪華3大特典は「戦国すごろく」「近現代史すごろく」「戦国武将のぼり旗しおり定規5枚」。書籍の内容は「全15巻+別巻4冊セット」と同じ。(2020年末は新しい特典セットは発売されないようですので、こちらが最新です)


学研
2021年発売予定のDVD付きは12冊セットバージョンのみです。


以前は、別巻2冊を加えた14冊セットを販売していました。特典なしのスタンダードなセットと年によって変わる特典付きセットとがありましたが、価格はすべて同じです。本編1冊あたりの価格はDVD付きのリニューアル版よりやや安いものでした。


学研まんが NEW日本の歴史 5大特典(金印レプリカ・平成史・歴史年表・寝る前5分暗記ブック・特製エコバッグ)つき 全14巻セット
 2020年6月刊行セット。特典がどんどん増えてます。

学研まんが NEW日本の歴史 3大特典(金印・平成史・歴史年表)つき 全14巻セット
 2019年11月刊行セット。

 2019年6月刊行のセット。半年後の11月に刊行された一つ上のセットの方がお得です。

 2016年刊行のセット。成績アップ4大特典、ということで「大坂城リアル再現キット(プラモデル)」「歴史年代暗記カード(124枚・リング2個つき)」「寝る前5分暗記ブック まんが日本の歴史バージョン(32ページ)」「日本の歴史年表(2枚)」と、なかなか豪華です。

講談社
刊行されたばかりということもあり、2種類の特典をつけた全巻セットのみです。

日本の歴史(全20巻セット) (講談社 学習まんが)

 各社とも、10月~11月頃に新しい特典をつけたセットを売り出す傾向があります(クリスマス商戦を睨んでのものと思われます)。特典が気になる方は、その時期にチェックしてみてください。

番外:大人向け文庫版

以上、お子さん向けのシリーズをご紹介しましたが、電車の中で大人が読むにはやや抵抗があります。
子どもだけでなく、自分でも読みたいというお父さん、お母さんには文庫版が出ています。

【角川文庫】


最も売れているシリーズである「角川まんが学習シリーズ」がそのまま文庫版になっています。
児童向けではなく、一般向けという形で刊行されていますが、イラストや字が小さくなり、カラーページもモノクロになっていることさえ気にしなければ、価格も安く、コンパクトに揃えることができます。
全巻箱入りセットも発売されています。




【集英社文庫】




集英社文庫からは「日本の歴史」と「世界の歴史」も出ています。
集英社の学習漫画シリーズは何度か改訂されていますが、この文庫に収録されているのは20年ほど前に刊行されたバージョンです。とはいえ、小中学生が学ぶレベルの歴史が10年や20年程度で大きく変わるわけではなく、大人がいま読んでも一向に差し支えない内容です。
コンパクトにまとまっており、場所を取らないし、価格も安いしで、かなりよく売れているようです。

【中公文庫】
さて、中公文庫からは2020年11月より、石ノ森章太郎版「マンガ日本の歴史」の新装版が刊行されます。これは全55巻という規格外のボリューム。20年ほど前にも一度中公文庫に収録されましたが、その新装版です。初回は一度に4冊出るようですが、何ヶ月かかって完結する予定なんでしょうか。
大人向けに描かれた作品のため、小学生にはやや難しいかもしれませんが、文句なしの画力と確かな時代考証で平成元年の刊行開始時にはベストセラーとなっています。
子ども向けの学習漫画では満足できない、歴史好きのお子さんはこちらをどうぞ。




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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
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