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先日の記事でも書きましたが、東日本大震災が発生した時、筆者は東北にいました。
都会に比べると家賃が安いので、今から考えると信じられないくらいだだっ広い豪邸を借りて、優雅な生活を満喫していました。子どもはまだ2歳の長男1人だけだったので、子供部屋を用意する必要もなく、リビングと寝室以外は全て書庫にして、林立する本棚に囲まれる夢のような暮らしをしていたわけです。

ただ、もともと東北は地震が多い地域なので、揺れへの対策はそれなりにしていたハズでした。
先日の記事にも載せた写真ですが、天板の上に耐震突っ張り棒がかませてあるのが写っています。

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基本的に、全ての棚にこのような突っ張り棒をかませていました。
本当は壁へ固定するのが一番良いということはわかっていましたが、借家なのでさすがに壁へ木ネジを突っ込むのはためらわれ、このような対応となっていたわけです。
東北で暮らし始めてから、東日本大震災が発生するまでのあいだに、実は震度5を2度も経験したのですが、その時はこれが効いたのか、本棚が倒れるという事態はありませんでした。

しかし、震度6弱にはこの突っ張り棒というのは全く効果なし。
写真は残していませんが、全て真ん中でバキッと折れたり、ぐにゃっと曲がったり。全部捨てることになりました。
震度5と震度6のあいだになにか境があるのか、あるいはもともと震度5程度では本棚は倒れないものなのか。震度6に至っても本棚ほどの重さがない家具だったら、突っ張り棒の効果はあったのか。
その辺よくわかりませんが、ともかく命の危険が生じるほどの揺れに際しては、本棚にかませた突っ張り棒は全く役に立たないものでした。

また、本棚そのものの壊れ方も予想外のものでした。
ここに写っている黒いスチール製の棚は、比較的安くて丈夫であり、細かいパーツごとに売っているため、判型にあわせて細かく調節が出来てとても便利なもので、学生時代から愛用していました。
ところが、これが信じられない倒れ方をしました。
冒頭1枚目の写真、スチール棚が奥の方へ横向きに倒れていますが、実はこれ、側板の根本がボキッと折れているです。本を詰めていた棚は、全て同じ形で壊れました。
DVDしか入れていないような軽い棚はバタンと前に倒れて凹んだ程度で済みましたが、それもやはり使い物にはなりません。
さらに、木製の棚も側板にヒビが入ったり、裏板が割れたり。1枚目の写真に写っている棚などは、倒れてきたクールラックによって棚板が割られてしまいました。

比較的「安全」といって良い本棚は冒頭2枚目に写っている腰高の棚ですね。これは倒れませんでした。しかし、筆者の使い方に問題がありました。というのは、上に横向きにしたカラーボックスを置いて、そこへ「映画秘宝」をズラッと並べて悦に入っていたのです。
本棚とは何も固定していなかったため、当然、棚から落ちました。本棚の前にゴロンゴロンと転がっているのが、そのカラーボックスです。
「映画秘宝」はギッチギチに詰めてあったため、カラーボックスから飛び出すことなく、かたまりのまま一緒に落ちていて、片付けるのに難儀しましたが、中身がほとんど傷まなかったのだけが幸いでした。

というわけで、結論としては「震度6弱を生き延びた棚は腰高のもののみ」ということになります。
それ以外の棚は全て廃棄することになりました。

そんなわけで、しばらくは本棚のない生活を余儀なくされたのですが、東北からまた引っ越しし、今のマンションへ入ったところで、ようやく持ち家となったので、本棚は壁へ固定することにしました。

はじめは大工さんに本棚を造り付けてもらおうかと思っていたのですが、見積もりを取ってみると、ビックリするくらい高い。しかも、奥行きやビス穴のピッチなど細かいところに注文をつけるとさらに値があがっていく。
そこで、いろいろ探し回り、最終的にネットでオーダーメイドしている「本棚屋」さんへ注文しました。ここは1センチ単位で注文通りの大きさの棚を用意してくれるので、大工さんに造り付けてもらうのとかわらない部屋にぴったりの棚を手に入れられ、なおかつピッチも1センチ刻みなので使い勝手も良いのです。
費用はそれなりにかかり、筆者の場合は2間の壁全体を4本の棚で埋め尽くして、約30万円でした。
この棚を組み立てたところで、リフォームに入っていた大工さんに壁へ固定だけしてもらいました。壁にアンカーを打ち込み、木ネジでL字金具を取り付けてもらったのです。ここはリフォームのついでだったので、特別な料金はかかっていないように記憶しています。
結果、かなりガッチリ頑丈で安定感のある書棚が手に入りました。

さあ、これで来るべき大地震への備えは万全なのか? それは正直よくわかりません。
この本棚を取り付けてから、震度4は一度発生していますが、びくともしていません。といっても、震度4程度であれば、クールラックでもびくともしないので、効果の程はなんとも言えません。

本棚の上にカラーボックスを載せて置いていた「映画秘宝」は、以前に別の記事に書いた通り、OSB合板で固めて二つのボックスを一つの棚にしてしまい、これを映画秘宝専用棚としています。

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これも抜群の安定感があり、腰高なので多分倒れないだろうと思っているのですが、はてさて。

いずれにしても、本棚というのは地震のときには危険極まるものとなり、中途半端な対策では効果がないことがよくわかりました。
壁へ固定していても、壁ごと倒れたらもうオシマイですが(震災のときには壁の一面だけが外側へ倒れている家を見かけましたので、これはあり得ることです)、ともかく生涯を本と共に過ごそうと考えているのであれば、地震対策は常に本気で意識しておいたほうがよいです。

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「本棚屋」さんで買った頑丈で素敵な、現在のわが家の本棚。