201803チョコレート工場197

ティム・バートンはかつては大好きな監督でした(ここ数年は全然見てないのですが)。
「シザー・ハンズ」「エド・ウッド」など、代表作はジョニー・デップ主演のものが多く、これもその一つです。
ティム・バートンで一番好きな映画をあげろ、と言われると、「シザー・ハンズ」? 「エド・ウッド」? 「バットマン・リターンズ」? 「マーズ・アタック」? とどれにしたものか非常に迷います。しかし、正直言って、この「チャーリーとチョコレート工場」はベスト候補には入りません。とはいえ、とても好きな映画で、劇場へも行きましたし、DVDでも何度も見直しています。

この映画はまず、公開前にサントラを聞いていたのですが、その時点でのけぞりました。
ダニー・エルフマンはティム・バートンの盟友と言うべき存在で、ほとんどの監督作で音楽を担当していますが、最高傑作はこのサントラではないかと思います。
冒頭の「Wonka's Welcome Song」、チョコレート工場内でウンパ・ルンパが歌う「Augustus Gloop」など、いずれも歌詞はロアルド・ダールの原作からそのまま使用しており、作品の雰囲気を驚くほど忠実に再現しています。にもかかわらず、これがさらには、完全にダニー・エルフマンの世界となっているのです(歌唱もダニー・エルフマン本人)。
音楽を聞くだけで映画も傑作となることを確信しました。公開を心待ちにして、ようやく劇場で見て、今度は大爆笑。ウンパ・ルンパのダンスのなんと見事なこと!
これまた、ロアルド・ダールの原作の精神を忠実に踏まえながら、なおかつ完全なるティム・バートン映画になっているのです。
原作・映画・音楽の3つがこれほどハイレベルに融合している映画はなかなかないでしょう。

さて、このダニー・エルフマンとは何者か?
音楽を担当した映画で最も有名なのはティム・バートンが製作総指揮を務めた「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」でしょう。これまた、主人公ジャックの歌は全てダニー・エルフマン本人が吹き込んでいます。
この人はそもそもは、オインゴ・ボインゴというバンドのリーダーを務めていました。
非常に実験的な活動をしていており、中でも有名なものにミュージカル映画「フォービデン・ゾーン」があります。
これは、実兄のリチャード・エルフマンが監督し、ダニー・エルフマンが音楽を担当したもので、映画音楽作家としてのダニー・エルフマンのルーツというべき作品です。
この映画にはダニー・エルフマン自身も出演し、魔王を演じていますが、これがなんとイキイキしていることか。

20050929elfman

真ん中の白い服の人がダニー・エルフマン演じる魔王。
ストーリーはあってないような、むちゃくちゃな展開で、ひたすら映像と音楽を楽しむのが正解です。
「チャーリーとチョコレート工場」の公開に合わせたのか、日本ではほぼ同時期にDVDが発売されました。筆者は、このDVDでダニー・エルフマンの真価を知り、「チャーリーとチョコレート工場」サントラの評価もさらにあがりました。「フォービデン・ゾーン」のサントラも輸入盤を購入し、ハードローテーションで聴き続けていましたね。

Charlie and the Chocolate Factory
Warner Home Video
2005-07-12


フォービデン・ゾーン デラックス版 [DVD]
マリー=パスカル・エルフマン
フルメディア
2005-09-22