備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

ゼロ年代名作映画

ゼロ年代名作映画紹介その6「エイリアンVSプレデター」(2004年)

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まるきり反響がないため中断していた「ゼロ年代名作映画」のコーナーですが、久しぶりに。
「プレデター」シリーズの最新作「ザ・プレデター」の公開が迫っていますが、個人的にはこのシリーズの最高傑作は2004年の「エイリアンVSプレデター」だと思っています。

この頃、瞬間的に「VSもの」が流行りました。
前年には「フレディVSジェイソン」が公開されました。
「13日の金曜日」はもともとパラマウント映画、「エルム街の悪夢」はニューライン・シネマが製作しており、ゴジラとガメラのようなもので、同じ立ち位置の人気者でありながら製作会社の壁の阻まれて、それまでは出会うことがありませんでした。
ところが、「13日の金曜日」シリーズの権利がニューライン・シネマへ売却されたことから対決の企画が動き始めました。
そんなこんなで公開された「ファン待望の対決」でしたが、個人的な感想としては画面が暗すぎていまいち何が起こっているのかよくわからず、面白いとはとても言えませんでした(あの大傑作「ジェイソンX」の直後だったのでなおさら)。

それも頭にあって、この「エイリアンVSプレデター」も観る前は全く期待はしていませんでした。
どちらも20世紀FOXの人気者同士なので権利関係は問題ないはずでしたが、エイリアンの方が強いに決まっているし、どっちも意思があるとは思えない暴れ方をしているので、ストーリーを作るのは無理だろう、ということで。
ところが! これが無茶苦茶面白かったんですね。
プレデターはいつの間にやらすごく「いい人」になっていて、人間と共闘してエイリアンと戦ってくれます。味方にしたらこれほど頼もしい人はいない!
ヒロインとジェスチャーでやり取りするシーンなんか、本当に最高です。チューバッカなみに可愛いやんか!
というわけで、それまで「プレデター」シリーズにはそんなに思い入れはなかったのに、シュワルツェネッガー主演の1作目から全てのDVDを揃え直し(当時流行の「アルティメット・エディション」で)、プレデターのフィギュアまで買いましたとも。こんなにかっこいい戦士はいねえよな、と思いながら。「ジェイソンX」を見たときと同じくらい興奮したというわけで、振り返ってみると、俺の映画人生で一番幸福だった時期はこの前後数年だよな、とまで思ったりします。

というわけで、エイリアン、プレデター、どっちのシリーズから見ても正統的とは言えないかなりふざけた設定の映画ですが、どっちのファンも熱狂できること間違いない、大傑作です。
新作公開のこの機会にお見逃しなく!
 

ゼロ年代名作映画紹介その5「シルミド」(2003年)

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「シルミド」は日本では2004年に公開された韓国映画です。
金日成暗殺のため、シルミド(実尾島)の基地で極秘裏に結成された韓国の特殊部隊が主人公。彼らの起こした反乱事件を描いたもので、実話がベースになっています。
ちなみにこの映画は東映が配給しているため冒頭に「波ザッパーン」がありますが、実際、往年の東映実録映画と似た味わいがあります。

筆者は、これを父と一緒に劇場へ観に行きました。
これを読んでいる皆さんには全くどうでもよいことなんですが、振り返ってみるとこれまでの人生で、父と二人で映画を観に行ったというのは、このとき一回きりです。今後もたぶんないでしょう。
つまり、生涯で一度きりの父と二人の映画鑑賞が「シルミド」って……。
たぶん、父は覚えていないんじゃないかという気もします。実家へ帰った時、あまりにヒマだったので、近所に新しくできたシネコンを覗きにいくか、という話になり、父が払ってくれるんならちょうど見たかった「シルミド」にしよう、という単に息子のわがままに付き合わせただけなので。
(ちなみに、母と二人だけの映画を見たのもこれまでに一度だけで、それは中学生の時に「ゴジラvsビオランテ」でした。今考えると、中学生にもなって母親とゴジラなんて……と、思いますが、当時は全く何も違和感を持たず「ゴジラに連れてって!」という感じで観にいきました。その翌年には一人で「ミザリー」を観にいったりしていたわけなので、中学生の成長は早いもんです)

と、どうでもよいところで脱線しましたが、当時は韓流ブームの最盛期(だった気がする)でしたが、オバちゃんが釘付けになっていた恋愛ドラマだけでなく、「シュリ」に始まる激しいアクション映画も人気がありました。
「シルミド」も日本の現代映画では考えられないストーリーとアクションとで、かなり話題になり、ベースになった事件についての本もたくさん出ていました。
映画を見てすっかり興奮した筆者は、そのへんの本も買い漁ったものです。

日韓関係は、この映画が公開された当時と現在とでは隔世の感があります。この頃は嫌韓なんて言葉なかったもんなあ。筆者を含めて、ほとんどの日本人は竹島の存在も知らなかったし。
改めて「シルミド」を見て、そんなに仲良しでもなかったけど、今ほど険悪でもなかった当時を皆さん、思い出してほしいもんだと思います。

ゼロ年代名作映画紹介その4「ホテル・ルワンダ」(2004年)

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この映画は2004年末に製作されたものの、日本での公開は2006年初頭のことで、まる1年のブランクがあります。
この間、ちょっとした騒動になっていました。
実は、アメリカで公開された時点では、日本公開予定が全くなかったのです。
その時の事情は、町山さんのブログ記事がまだ残っていました。
http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20050616

もともとは主演のドン・チードルのファンが「日本で公開して欲しい」と運動を始めたのがきっかけでしたが、町山さんを巻き込んだことで「映画秘宝」誌でも取り上げられ、インターネット上で署名が集められたりしていました。

当時の筆者はリージョン1対応のDVDプレイヤーを持っており、輸入盤を熱心にチェックしていましたので「そんなレアな映画はチェックしておかなければ」という程度の関心で、北米盤のDVDが発売されると、輸入DVDショップへ買いに出かけました。
店員さんへ尋ねると「はいはい」と案内され、たくさん積んであったので、やはり「見ておきたい」と考える人は多かったようです。
帰宅後にさっそく鑑賞すると、これはかなり打ちのめされましたのね。

1994年のルワンダ虐殺を描いた映画なのですが、この理不尽な恐怖!
フツ族とツチ族の民族対立とされていますが、劇中でも触れられているように、この二つの民族には血統や文化の面でほとんど違いはありません。
しかし、ラジオなどを使った猛烈なヘイトスピーチによりツチ族に対するフツ族の憎悪が沸点に達した段階で、大統領の暗殺事件が起こり、これがきっかけで一気にツチ族の大虐殺が始まります。
「隣人が、ある日突然、武器を持って襲ってくる」という状況で、フツ族の主人公はツチ族の妻を守りながら、支配人を務めるホテルでツチ族の難民をかくまい、事態の打開にあたる、という物語です。
見終わると、あまりの緊張感で喉がカラカラになっていました。
「宇宙戦争」「キリング・フィールド」「シンドラーのリスト」「ブラック・ホーク・ダウン」など、あらゆる名作映画をまとめて鑑賞したくらいの衝撃でした。
さっそく、日本公開を求めるインターネット上の運動へ署名を一票投じたものです。

2006年の年明けに、日本でも公開されました。
ユーロスペースから改装したばかりのシアターN渋谷での単館興行という形でスタートしましたが、公開後一週間くらい経って、平日の夜に見に行ったところ、チケット売り場は大行列、客席はすし詰め状態で、かなり盛り上がっていました。


 
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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
ブログ更新通知:https://twitter.com/squibbon19

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