備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

ミステリ映画

テレビ朝日ドラマ「名探偵・明智小五郎」登場人物元ネタ

今月末にテレビ朝日で2夜連続ドラマ「名探偵・明智小五郎」が放映されるということです。
宣伝などを見ていると少年探偵団シリーズ第一作「怪人二十面相」をモチーフとしているようですが、海外ドラマ「シャーロック」を意識しているのか、完全に現代ドラマに置き換えられています。
というわけで、ドラマの内容自体は期待半分怖さ半分といったところですが、ひとまず登場人物名の元ネタを解説。

明智小五郎の助手・小林芳雄は、昭和5年の「吸血鬼」に助手として初登場し、昭和11年「怪人二十面相」から始まる少年探偵団シリーズでは、準主役級の活躍をします。戦後の作品にもずっと登場し続けますが、永遠に少年のままです。
ドラマには成人した小林くんが登場するようで、その奥さんは「小林真由美」と命名されています。
原作にはこのような女性は登場しませんが、少年探偵団シリーズでは途中から「花咲マユミ」という少女助手がメンバーに加わりました。おそらくこの少女をモデルにしていると思われます。

明智の奥さんは、やはり昭和5年の「魔術師」に初登場し「吸血鬼」で結婚した文代さんです。少年探偵団シリーズにも優しいお母さんといった役どころでちょこちょこと登場しますが、「怪人二十面相」には名前が一度出てくるだけで、登場はしていません。大人向け小説では「魔術師」はもちろん「人間豹」なんかでもとんでもない姿でよく出てくるのですが、少年探偵団シリーズではあまり重要キャラではないですね。

警察関係では浪越警部が出てきます。浪越警部といえば、どちらかといえば乱歩の大人向け小説「蜘蛛男」や「魔術師」の印象が強く、少年探偵団シリーズによく登場しているのは中村警部です。
また、中村警部は「中村善四郎」とフルネームが命名されていますが、浪越警部の下の名前が書かれたことはありません(たぶん)。
しかし、ドラマでは下の名前もついていますね。まあ「新宿鮫」の鮫島警部も映画化されたときは下の名前があったのでそういうもんです。
また、少年向け「怪人二十面相」を原作としながら、ドラマに登場するのが中村警部ではなく浪越警部となっているのは、制作局がテレビ朝日のためです。
テレビ朝日で明智小五郎といえば、言わずとしれた天知茂の美女シリーズ。ここではレギュラーとして荒井注演じる浪越警部が登場していました。テレビ朝日で乱歩作品を映像化するのであれば、浪越警部は必須、というわけです。

その他、今のところ発表されているあらすじに見えるキーワードを拾うと
「チームBD」……ハッカー集団ということですが、「BD」は「Boys」「Ditective」の略で、少年探偵団の略称です。団員は「BDバッジ」というアイテムを持っており、いろいろな場面で活用します。
「羽柴壮二」……「怪人二十面相」冒頭で家宝の宝石を狙われる大富豪の次男。少年探偵団の生みの親のような存在です。

というところで、今のところあまり情報がないのでこれくらいですが、放映後にまた気づいたことを書いてみたいと思います。

三島由紀夫「黒蜥蜴」岩波文庫収録!

201811黒蜥蜴293

以前の記事でもご紹介しましたが、「黒蜥蜴」は井上梅次監督、深作欣二監督によって2度映画化されています。

関連記事:
江戸川乱歩原作映画のDVD
日本でDVDが発売されていない邦画1「黒蜥蜴」(1968年・深作欣二監督)

この映画、原作者として江戸川乱歩と三島由紀夫がクレジットされています。つまり、乱歩の小説を舞台劇化した三島由紀夫の戯曲が、映画の原作となっているわけなのです。
要するに、映画「オペラ座の怪人」(2004年)が、ガストン・ルルーの小説をもとにしたミュージカルを原作にしているようなものですね。

ところで、この三島由紀夫の戯曲ですが、これまでなかなか手軽には読むことができませんでした。
新潮社の「三島由紀夫全集」には当然収録されていますが、長らく読むことができたのはここだけ。
筆者は図書館で読みました。
実は10年ほど前に一度、文庫化されたことがあるのですが、学研M文庫という、メジャーとは言い難いレーベルから。筆者は見逃してしまい、あとで知って非常に悔しい思いをしました。

それが! ついに岩波文庫に収録です。三島由紀夫の戯曲集という形で刊行されました。

若人よ蘇れ・黒蜥蜴 他一篇 (岩波文庫)
三島 由紀夫
岩波書店
2018-11-17


岩波文庫は最近になって急に乱歩や三島由紀夫の作品を収録を始めたのですが(そもそも三島由紀夫と岩波書店ってイデオロギー的に相容れないはずなのですが)、この2人の作品がこんなところで出会うなんて、考えてもいませんでした。

表紙は深作欣二監督版「黒蜥蜴」のワンカットです。緑川夫人を演じているのはご存じ美輪明宏(当時は丸山明宏)、そしてその前で中腰で立っているのは三島由紀夫本人! そう、この映画には三島由紀夫も出演しているのです。

というわけで、乱歩ファンには待望の文庫化。今度こそお見逃しなく。

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日本でDVDが発売されていない邦画1「黒蜥蜴」(1968年・深作欣二監督)

金田一耕助映画のパンフレット(その他昭和編)

先日の記事に続いて、昭和50年代の金田一耕助映画のパンフレットご紹介です。

といっても、やはりあんまり書くことはないんですよね。どれも他愛ない内容です。
ほぼ書影のみのご紹介です。

201811八つ墓村278
野村芳太郎監督・渥美清主演「八つ墓村」1977年・松竹

201811悪魔が来りて笛を吹く279
斎藤光正監督・西田敏行主演「悪魔が来りて笛を吹く」(1979年・東映)

201811金田一耕助の冒険280
大林宣彦監督・古谷一行主演「金田一耕助の冒険」(1979年・角川春樹事務所)
古谷一行によるパロディ映画。表紙ですでに「犬神家」のパロディをやっているなど、今の金田一ファンが見てもかなりツボを押さえて、当時の横溝ブームを捉えています。原作は一応、短編集「金田一耕助の冒険」収録の「瞳の中の女」ということになっていますが、一応、です。

201811悪霊島282
篠田正浩監督・鹿賀丈史主演「悪霊島」(1981年・角川春樹事務所)
このパンフレットには「横溝正史原作映画映画化リスト」というものが掲載されています。
インターネットなどなかった当時、このリストをどれほど重宝したことか! 中学生の頃に古本屋で買ってから、毎日毎日舐めるように眺めていました。作る方も大変だったのではないかと思いますが、映画関係者ならそうでもないのでしょうか。
片岡千恵蔵の金田一は当然のこと、人形佐七までフォローしている充実したリストです。
ところで、久しぶりに眺めていて、一つだけ抜けているものを発見しました。
こちらです。

お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷 [DVD]
中村錦之助
東映ビデオ
2009-05-21


このDVDが出たとき、「こんな全然知らない横溝映画があったとは!」と驚いたものですが、なんで知らなかったのかというと、このパンフレットに掲載のリストから漏れていたからなんですね。今になってようやくそれに気づきました。
ちなみにこちらの映画の脚本は千恵蔵版金田一シリーズや多羅尾伴内シリーズで知られる比佐芳武です。

201811蔵の中281
高林陽一監督「蔵の中」(1981年・角川春樹事務所)
金田一映画ではありませんが、横溝正史の戦前の短編を映画化したもの。「悪霊島」と同時上映でした。DVDが発売されて初めて鑑賞しましたが、うーん、男に見える……

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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
ブログ更新通知:https://twitter.com/squibbon19

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