備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

映画

笠原和夫脚本「博奕打ち いのち札」ついにDVD発売!

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東映ビデオからは未だDVDが発売されていない笠原和夫脚本・山下耕作監督の任侠映画「博奕打ち いのち札」。
デアゴスティーニから隔週で刊行が続いていた「東映任侠映画傑作DVDコレクション」の一本として、ついにDVD化されました!

この手のDVD付録つき雑誌、定価でDVDを買っているような熱心なファンは軽視しがちですが、ときどきこういう未DVD化作品が紛れているので油断できません。
同じくデアゴスティーニから出ていた「東宝・新東宝戦争映画DVDコレクション」は、「東宝・新東宝」というあまりに雑なくくりに呆れ、「東宝の戦争映画はどうせ全部DVDになってるし」と、まるでノーチェックだったのですが、その中に結城昌治原作・深作欣二監督・新藤兼人脚本の「軍旗はためく下に」が収録されてビックリしました。そもそも独立プロが製作しているので、東宝映画という認識がなかったのですが、配給は東宝だったんですね。
しかも、それに気づいたのは発売から数ヶ月後だったため、すでに出版社の在庫はなく、Amazonでは転売屋大活躍のプレミア価格になっているという……(ちなみに筆者は、10年以上前にアメリカでDVDが発売された際、輸入ショップで買っていたので、どうしても買わなければ、ということはなかったんですが)



ともかく、そういうがっかりな経験があるため、今回は「絶対に買い逃がさない」と心に決め、本屋でちゃんと予約しましたよ。
しかも、うっかり予約を忘れられては困るので、朝イチで「今日が発売日だから忘れないで取り置きしてくださいね」と念押しまでして、夕方に買ってきました。

「東映任侠映画傑作DVDコレクション」の刊行が始まって4年半。最初に発表されたラインナップの中で「これだけは絶対に買わねば!」と思い続け、ようやくです。他のラインナップでめぼしいものはすでに東映からDVDが出ているためコクション済み。笠原和夫ファンとしてDVD化を熱望していたので、感慨深いものがあります。

というわけで、出張やらなにやらでしばらく見る時間がないんですが、ともかくこれで「買わねば、買わねば」という強迫観念から解放されてぐっすり眠れます。ありがとうデアゴスティーニ。
この記事を読んでいる笠原和夫ファンのみなさんも、早めに購入されることをおすすめします!




関連記事:(=DVD化を待ち望んでいた記録)
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笠原和夫脚本「博奕打ち いのち札」ようやくDVD化!

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以前の記事にも書きましたが、笠原和夫脚本・山下耕作監督の東映任侠映画「博奕打ち いのち札」は、これまでずっとDVD化されていませんでした。
詳しいことは以前の記事をご参照いただければと思いますが、動画配信はされているため、封印作品というわけではなく、なぜDVDになっていないのか、謎というよりありません。



ゼロ年代を怒濤のDVDコレクターとして過ごしていた筆者としては、動画配信でいつでも見られる映画であっても、笠原和夫の代表作とあらばなんとかDVDでコレクションしたい。
ずっとそう思っていました。

それがついに!

……というのは、以前の記事の続きになるのですが、2014年に刊行が始まったデアゴスティーニ「東映任侠映画傑作DVDコレクション」では、「好評につき100号まで延長」されてもとうとう「いのち札」は出なかったため、筆者はすっかり諦めていました。
当然、このシリーズも100号で終わるものと思って続刊予定のチェックもしていませんでした。
そもそも今は、定期購読者のみを対象に刊行されており、書店店頭には並んでいないため、忘れかけていたというのが正直なところです。
ところが!

ふと思い出して公式サイトへアクセスしたところ、なんと100号を過ぎてもまだ刊行が続いているではありませんか。
これはもしかしたら……と、おそるおそる刊行予定を見たところ!
ついに来ました!

7月16日発売予定119号で「博奕打ち いのち札」の登場です。
今のところ公開されているラインナップはその次の120号で、これが「関東緋桜一家」なので、このシリーズももしかするとここでいよいよ終わりかも知れません。

さて、あとは気をつけなければいけないのは「買いそびれ」です。
今のところAmazonでは1ヶ月程度先のものまで予約を受けているようです。
6月になったら忘れずに毎日、チェックをしないと!ですね。
Amazonの検索窓を貼っておきます。



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コーエン兄弟を見たことがない方へ、おすすめ4本

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コーエン兄弟はジョエル・コーエン、イーサン・コーエンという二人兄弟の映画監督・脚本家で、共同で映画を製作しています。
一般的な知名度はそれほど高くはない印象がありますが、映画好きのあいでは非常に人気があり、筆者も以前は、コーエン兄弟の新作が公開されるとなれば「とりあえず見ておかなければ」という感じで、必ず見ていたものです(ここ数年、そもそも映画をあまり見ていないので、コーエン兄弟の作品も追いかけきれていないのですが……)。

基本的にはサスペンスというかスリラーと言うか、ミステリ寄りの筋書きが多いのですが、独特のユーモア感覚が溢れており、どっちかと言うとそこに人気があります。
クエンティン・タランティーノとは雰囲気はまるで違いますが、まあでも映画史の中で大雑把にくくると同時代の同じカテゴリーに入れられんじゃないかな、と思っています。

ここ数年はあまり大きな話題作は公開していませんが、「この人たち何者?」と興味を持たれた方のために、おすすめをいくつかご紹介します。



コーエン兄弟の入門に最適なのは、最高傑作とも評価されているこちら「ファーゴ」でしょう。
アメリカ・ノースダコタ州(ド田舎)の都市・ファーゴが舞台のクライムサスペンスです。
気の弱いが全く善人とは言えないカーディーラーである主人公は、借金の清算のため、チンピラを雇ってに妻を誘拐させ、大金持ちである妻の父親から身代金をせしめようとします。
ところがこのチンピラどもがとんでもないDQNぶりを発揮し、事件は主人公のまるで手に負えない方向へ飛んでいってしまいます。
まあともかく、この短絡的すぎて、逆に全く予想できない悪党2人の暴走ぶり、あまりに情けない主人公のダメっぷり、この辺が見ものです。
事件を追う、妊娠中の女性警官をフランシス・マクドーマンドが演じてアカデミー主演女優賞を獲りました。



「ファーゴ」と並んで評価の高い一作がこちら。やはりクライムサスペンスです。
これはコーエン兄弟にしては珍しく、ユーモア要素控えめ。その分、どこまででも追いかけてくる殺し屋の恐ろしさがこれでもかと描かれています。
一部の映画好きだけでなく、一般客のあいだでも話題になり、アカデミー賞の作品・監督・助演男優・脚色の各賞を受賞しました。



2011年の比較的最近の映画です。
コーエン兄弟初の西部劇でしたが、個人的にはこれはむちゃくちゃ良かった。
14歳の少女が賞金稼ぎを雇い、父のかたきを討つため悪党を追う、という物語ですが、この女の子を演じたヘイリー・スタインフェルドがかわいいこと!
堂々とした小憎らしいトークで2人の賞金稼ぎを翻弄するさまは、まさにコーエン兄弟節炸裂といったところですが、実は原作小説に極めて忠実に作られています。もともとコーエン兄弟向けの素材だったようです。



さて、コーエン兄弟の最高傑作といえばこちら、「ビッグ・リボウスキ」でしょう。
「ファーゴ」がコメディ色もあるクライムサスペンスだったのに対し、こっちは筋書きは同じように犯罪劇ですが、完全にコメディ。まるで予想できない方向に話を転がしながら、抱腹絶倒のシーンが続きます。
何回見ても楽しい映画なので、これはDVDかブルーレイを買って損はありません!

 
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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
ブログ更新通知:https://twitter.com/squibbon19

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