※この記事は、小学館が発行する学習まんが「日本の歴史」の旧版に関するものです。2022年12月刊行の新版ではありませんので、ご注意ください。


201908日本の歴史

こちらの記事「学習漫画「日本の歴史」を買うなら、おすすめはどれ?」の中で、
人物の描き分けや画面の構図などは肖像画や絵巻物、近代であれば写真などを参考に描かれており、高校生になってから日本史の図録を見て、「あ、これは学習漫画のイラストと同じだ」と気づくことが何度もありました。
と書いています。
いくつか、実例をご紹介します。

まずは平安時代の「清涼殿落雷事件」。
菅原道真を太宰府へ左遷したことから、怨霊が御所へ雷を落としたのでは、と言われている一件です。

清涼殿落雷事件

巨大な稲妻と、それに慌てふためく人々が絵巻物を参考に生き生きと描かれています。

次は鎌倉時代の蒙古襲来。
「蒙古襲来絵詞」の有名なワンシーンからの引用です。

蒙古襲来絵詞

「蒙古襲来絵詞」からは、このコマだけでなく、あちこちで引用されています。

次はこの武将。

足利尊氏

実は20年ほど前までこの人物は足利尊氏であるとして教科書にも載っていました。その後、研究が進み実は足利尊氏ではなくて高師直では、と言われるようになっていますが、小学館版は刊行時期が古いこともあり、足利尊氏はこの肖像画を参考に描かれています。
歴史学的にはやや遅れた情報となっているわけですが、とはいえ日本人の認識としては未だにこの人物は足利尊氏、ということで良いでしょう。

次は江戸時代の「ゑちごや」。

越後屋

これはしっかりと模写しています。
やはり忠実に模写している例として、咸臨丸の渡米。

咸臨丸

という感じで、いずれも元になる絵巻などをうまく漫画に落とし込み、ストーリーを楽しみつつ史料にも親しみを持てるという仕組みになっています。
ここでご紹介したのはほんの一部で、シリーズ全体にこのようなコマが散りばめられています。歴史好きの大人が読んでも楽しむことができます。








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