山下耕作監督、高倉健主演の映画「山口組三代目」をようやく観ました。
2年ほど前、このご時世にまさかのDVD化となったので「いずれ」と思っていたのですが、当ブログで何度も書いているとおり、目下、DVDといえどもなかなか映画を観られない状況のため、そのままになってしまっていました。(そもそも、今日こそ、と思ってレンタルショップを覗くと貸出中、ということも多かったのですが)

1973年、「仁義なき戦い」公開直後の製作ということで、なおかつ山口組三代目の田岡一雄組長を実名で主役に据えていることもあり、実録路線の一本と数えられていますが、実際に観てみるとコッテコテの任侠映画。やくざの美化どころではない、様式化、そして神格化された世界です。
しかし、これがびっくりするくらい面白い! 高倉健、かっこいい!
高倉健の映画を全部見ているわけではありませんが、これは間違いなく代表作の一本と言えるレベルです。Wikipediaを見ると当時調査した観客の満足度は92%と、「アホちゃうか」と言いたくなるような信じられない数字が書かれていますが、これはホント、「昭和残侠伝」と並ぶ正統的な任侠映画ですね。殴り込みのシーンは花田秀次郎にしか見えません。
「仁義なき戦い」と並行してこんな映画を作ってしまう東映という会社にますます惚れました。

ところで、Wikipediaで田岡一雄の項を読むと、生い立ちについては「この映画のあらすじ紹介か?」と思うくらい、細部まで完全に合わせてあるので、ちょっと笑ってしまいました。
映画の原作は徳間文庫に今も入っている「田岡一雄自伝」ですが、この内容が公式の伝記ということになっているのでしょうね。



ちなみに、この映画の5年前に発表された溝口敦『血と抗争』は、暴力団への批判的な視点で描かれているため、この映画に感動したあとで読み返すといろいろがっかりします。






 


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