平成5年。
個人的なことですが、この年は高校3年生、大学受験だったため、「今年はミステリを1冊も読まない」と決めて臨んだ年でした。
小学生の頃からずっと「今読んでいる本」というものがない時期は全く無い、という人生を送っていましたが、この1年(といっても実質半年ほど)だけは例外で、とにかく一生懸命に勉強をしていましたね。
しかし、どうしても我慢できず、禁を犯して読んでしまった本が1冊だけある。
それは大沢在昌の「無間人形」でした。
日曜日、塾からの帰りに買ってきて、夕方に読み始め、あまりにノリにノッた物語で、寝る前には読み終わってしまったので、時間的なロスは大したことはなかったのですが。
ここからの数年間は、大沢在昌絶好調の時期でしたね。出る新作全てが、とんでもなく挑戦的で、とんでもなく面白い。平成5年に発表されたのは作品、並べてみると仰天です。
「屍蘭」「B・D・T[掟の街]」「無間人形」「走らなあかん、夜明けまで」
なんと、新宿鮫が年に2作も刊行されていた時期があったんですよ!
あまりに傑作だらけで票が分かれてしまい、「このミス」ランクインは「B・D・T[掟の街]」のみでしたが、これも大沢在昌の新境地として大いに話題となり、数年後の大傑作「天使の牙」へとつながります。
さて、本格勢へ目を移すと講談社ノベルスが絶好調だった印象があります。
夏に「ミステリー・ビッグ5」と銘打って、とんでもなく分厚い5冊が同時刊行されました。
麻耶雄嵩「夏と冬の奏鳴曲」
二階堂黎人「聖アウスラ修道院の惨劇」
井上雅彦「竹馬男の犯罪」
黒崎緑「柩の花嫁」
竹本健治「ウロボロスの偽書」
「ウロボロスの偽書」だけは単行本をノベルス化したものですが、後は書き下ろし。しかも、本格の匂いがぷんぷん漂う、重厚な雰囲気のものが並びます。
この年が大学受験じゃなかったら、全部買ってたと思いますね(「ウロボロス」だけは単行本で読了済みだったので、それ以外)。
しかし、このときはスルーせざるを得ず、大学入学後に「夏と冬の奏鳴曲」だけ読んだのでした。
大学入学まで楽しみに取っておいた本がもう一冊ありました。島田荘司の「アトポス」です。
「アトポス」と「夏と冬の奏鳴曲」。
このトンデモな本格が同じ年に出ていたというのも何か時代を象徴しているようにも思いますが、これを大学へ入学して早々に読み始めたというのも、振り返ってみれば、我ながら「ご苦労さん」と声をかけてやりたい気分になります。
個人的なことですが、この年は高校3年生、大学受験だったため、「今年はミステリを1冊も読まない」と決めて臨んだ年でした。
小学生の頃からずっと「今読んでいる本」というものがない時期は全く無い、という人生を送っていましたが、この1年(といっても実質半年ほど)だけは例外で、とにかく一生懸命に勉強をしていましたね。
しかし、どうしても我慢できず、禁を犯して読んでしまった本が1冊だけある。
それは大沢在昌の「無間人形」でした。
日曜日、塾からの帰りに買ってきて、夕方に読み始め、あまりにノリにノッた物語で、寝る前には読み終わってしまったので、時間的なロスは大したことはなかったのですが。
ここからの数年間は、大沢在昌絶好調の時期でしたね。出る新作全てが、とんでもなく挑戦的で、とんでもなく面白い。平成5年に発表されたのは作品、並べてみると仰天です。
「屍蘭」「B・D・T[掟の街]」「無間人形」「走らなあかん、夜明けまで」
なんと、新宿鮫が年に2作も刊行されていた時期があったんですよ!
あまりに傑作だらけで票が分かれてしまい、「このミス」ランクインは「B・D・T[掟の街]」のみでしたが、これも大沢在昌の新境地として大いに話題となり、数年後の大傑作「天使の牙」へとつながります。
さて、本格勢へ目を移すと講談社ノベルスが絶好調だった印象があります。
夏に「ミステリー・ビッグ5」と銘打って、とんでもなく分厚い5冊が同時刊行されました。
麻耶雄嵩「夏と冬の奏鳴曲」
二階堂黎人「聖アウスラ修道院の惨劇」
井上雅彦「竹馬男の犯罪」
黒崎緑「柩の花嫁」
竹本健治「ウロボロスの偽書」
「ウロボロスの偽書」だけは単行本をノベルス化したものですが、後は書き下ろし。しかも、本格の匂いがぷんぷん漂う、重厚な雰囲気のものが並びます。
この年が大学受験じゃなかったら、全部買ってたと思いますね(「ウロボロス」だけは単行本で読了済みだったので、それ以外)。
しかし、このときはスルーせざるを得ず、大学入学後に「夏と冬の奏鳴曲」だけ読んだのでした。
大学入学まで楽しみに取っておいた本がもう一冊ありました。島田荘司の「アトポス」です。
「アトポス」と「夏と冬の奏鳴曲」。
このトンデモな本格が同じ年に出ていたというのも何か時代を象徴しているようにも思いますが、これを大学へ入学して早々に読み始めたというのも、振り返ってみれば、我ながら「ご苦労さん」と声をかけてやりたい気分になります。
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