201804ラビリンス204

「パンズ・ラビリンス」のメイキングを読んでいたら、急に思い出してDVDを見直したのが、こちらの映画。
タイトルが共通しているだけで、雰囲気や内容は全く違う「ラビリンス/魔王の迷宮」です。
この映画を初めて見たのはテレビ放映のときでした。
小学生の時だったと思いこんでいましたが、調べてみたところどうやら中学1年の夏休みだったようです。ジェニファー・コネリの吹き替えは喜多嶋舞があてていました。
母の実家である、おばあちゃんの家へ家族で泊まりにいっており、夜にテレビをつけたらちょうど映画が始まったので、兄と見ていた、という状況で、いったいどんな映画なのか予備知識は完全にゼロで観ました。
これが、面白かったのなんの。ヒロインの陥る危機にハラハラし、クリーチャーたちのコミカルな騒動に抱腹絶倒し、といった調子で、この世にこんなにおもしろい映画があったのか、というくらいに堪能した記憶があります。
一つ上の兄はこのあとすぐに、講談社X文庫から出ていたノベライズを買っていたので、兄弟でかなりハマったわけです。

さて、テレビで一度見ただけで、この映画に対する知識はほとんどないままでした。定期的にレンタルしてきて見直すことはありましたが、当時はインターネットもなかったので、製作の背景を詳しく調べたりすることはありませんでした。
2005年になってから、ようやく待ちに待ったDVDが発売されたわけですが、これのメイキングを見て、ようやくのこの映画がとんでもない職人芸のアナログ作業で作られていたと知り、ますます評価が上がりましたね。
この映画が好きな方は、DVD、ブルーレイに収録されているメイキングは必見です。
CGをほぼ使わず、大変な苦労をして撮影していたことがわかり、本編以上の感動を覚えます。








さて、ここまでの話は筆者が語るまでもなく、世の中の方はよくご存じでしょう。

ところで、この映画のコンセプトアート集が刊行されているのをご存じでしょうか?
この本、実におかしな形で発行されていたため、映画ファンには全く気づかないままだったように思われます。

いたずら妖精ゴブリンの仲間たち
ブライアン・フラウド
東洋書林
2001-08


「ラビリンス」のデザインとしてブライアン・フラウドが描いたゴブリンのイラストに、やはり「ラビリンス」の脚本を担当したテリー・ジョーンズが解説文を添えており、冒頭にはジム・ヘンソン監督への献辞もあります。原著の刊行は1986年となっており、つまり、どっからどう見ても「ラビリンス」のコンセプトアートというわけなのです。
ところがこの本、邦訳が出たのがようやく2001年のことで、すでに「ラビリンス/魔王の迷宮」は過去の映画となっていました。
このため、冒頭の画像を見ていただくとわかりますが、「映画ハリー・ポッターにぞくぞく登場!」とワケのわからない帯をつけて、単なるゴブリンがテーマの絵本という扱いで刊行されたのです。
筆者も危うく見落とすところでしたが、書店でたまたま「あれ? ラビリンスっぽい」と思って手に取り、あとがきなどをよく読むと、おお、なんと!「ラビリンス」のコンセプトアートではないですか!
内容は登場するゴブリンたちのイラストに添えて、その設定を図鑑風に記載いるものです。

こんなおかしな形で刊行しないで、ハッキリと「ラビリンス」関連本とわかるように出した方がよかったのでは、と思いますが、その辺どうなんでしょう。
ともかく、「ラビリンス」ファンには未だにほとんど認知されていない本と思われるため、今さらながらここで紹介してみました。


この映画は、サントラも最高です。



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