201802絶景本棚183

本の雑誌社から今月出た新刊「絶景本棚」は、この手の本棚写真集としては最強の布陣です。
特にミステリ好きにとっては、京極夏彦、喜国雅彦、日下三蔵、北原尚彦、森英俊、さらには新井素子!……ホントにこれ、オールスターズですよ。
他人の家へ上がり込むと、お茶の用意を待つこともなく、なにはともあれ、まずは本棚チェックに取り掛かってしまうような人種にとっては、眺めているだけで至福のときを過ごすことができます。

一番期待していたのは京極夏彦の本棚なのですが、連載初期だったためか、ページ数・写真枚数が少なくてちょっとがっかり。しかし、その他の皆さんについては目を皿のようにして蔵書をチェックしてしまいます。
特に喜国雅彦の本棚は惚れ惚れします。1枚の写真の中にいったい何冊、横溝正史「呪ひの塔」が写っているんでしょう。いや、横溝はまだわかります。甲賀三郎「妖魔の哄笑」まで、何種類も揃える必要があるんでしょうか? 装丁の問題? 蔵書をスリム化するのが目標ということですが、いやいや、こんなラインナップを散逸させたらもったいない。さらに充実させた上で、最終的にはミステリー文学資料館がまとめて買い上げるべきでしょう。
また、見ているだけで勉強になります。朝日ソノラマから横溝の児童向けリライトが出ていたなんて知りませんでした。ネットで探してみると、かなり入手は難しいようですね。
「バァナビィ・ロッス 紙魚殺人事件」もバージョン違いが2冊ありますが、これはいったいなんだ? と思って検索してみると、ヒットしたのはやっぱり喜国さんのページ。クイーン「レーン最後の事件」の初訳がこのタイトルだったようです。うーん、確かに稀覯本をめぐる話ではありましたが……

と、喜国さんのダブり本をチェックするだけで何時間もかかってしまいますが(いや、それぞれバージョンが違うので、厳密にはダブり本ではありませんが)、登場している方たちのあいだでかぶっている本を探すのも面白いですね。
発見したのは、
「みうらじゅん大図鑑」……荻原魚雷、喜国雅彦
「南総里見八犬伝」(岩波文庫)……祖父江慎、松村幹彦
「光車よ、まわれ!」……藤脇邦夫、北原尚彦
以上、筆者の蔵書にもあるため、おや、と思って気づいた本です。もっとじっくり探せば、まだまだ見つかるでしょう。
ミステリ関係では、喜国雅彦、北原尚彦、森英俊の3氏はかぶりまくりですが、キリがないので省略。日下三蔵氏もかぶっていると思われますが、あまりの魔窟でよくわかりません。日下氏が編集するアンソロジーは膨大な蔵書を活用しているとばかり思っていましたが、この状態の蔵書をどのように活用できているのか、全く謎です。

という形で、ともかくいくら眺めても飽きない素晴らしい本です。続編もきっと出るだろうと期待しています。

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絶景本棚
本の雑誌社
2018-02-22

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ちなみに、以前、別に出ていた同じような企画「書斎探訪」には、なんと島田荘司の書斎も登場していました。「絶景本棚」ほど写真は多くないのですが、ファンには興味津々でした。

書斎探訪
宇田川 悟
河出書房新社
2012-05-17

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わが家の「絶景本棚」


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