201801黒死館殺人事件157

昨年(2017年)購入した本をズラズラっと振り返ってみます。

復刊ミステリ

昨年もこれまで入手困難だったミステリがたくさん復刊されました。ずいぶんマニアックなところを攻められ、筆者もついつい財布の紐が緩んでしまいました。
中でも特筆すべきは、河出文庫の大活躍でしょう。
本邦初の本格長編探偵小説といわれる小酒井不木「疑問の黒枠」を初文庫化したり、泡坂妻夫の初期名作を復刊したり。

疑問の黒枠 (河出文庫)
小酒井 不木
河出書房新社
2017-09-06

関連記事:河出文庫「探偵・怪奇・幻想シリーズ」に期待!

花嫁のさけび (河出文庫)
泡坂 妻夫
河出書房新社
2017-11-07


ちくま文庫からは山田風太郎のエッセイ集「半身棺桶」が復刊。以前に徳間文庫に収録されていましたが、その時に買い損ねており、「いずれ、ちくま文庫が出すだろう」とずっと待っておりました。狙い通り復刊してくれて、大喜び。これで山田風太郎のエッセイが全部そろいました。

半身棺桶 (ちくま文庫)
山田 風太郎
筑摩書房
2017-07-06


ちくま文庫はもう一つ、結城昌治の「あるフィルムの背景」も堪能しました。中学高校の頃、結城昌治の長編は古本屋でせっせと買い集めて読んでいたのですが、短篇はアンソロジーに収録されていた「葬式紳士」を読んで大爆笑した以外、何も読んでいませんでした。そのため、こんなに強烈な短編をたくさん書いていたとは全然知らず、もっといろいろ読みたくなりました。



創元推理文庫からは極め付きの名作が復刊。以前に社会思想社から教養文庫の一冊として出ていましたが、数十年にわたって入手困難だった日影丈吉「内部の真実」です。
実はこの記事(国内名作ミステリ必読リスト100)を書いたときにはうっかり失念して、入れ損ねていたため、復刊に合わせて記事を修正しました。(ベスト100という数字に揃えるため、代わりに何を抜いたか? いや、「内部の真実」を入れるためだったら、何だった抜けますよ!)
太平洋戦争中の台湾駐留軍を舞台にした本格ミステリで、場合によっては「黒死館殺人事件」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」という「黒い水脈」とも同列で語られるような名作中の名作です。
今回の復刊で再評価されることを願います。

内部の真実 (創元推理文庫)
日影 丈吉
東京創元社
2017-12-20


そして、復刊ではないのですが、待望の超大作も刊行。今年の推理作家協会賞評論部門はコレでいいんじゃないでしょうか。

【「新青年」版】黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
作品社
2017-09-28


復刊でもう一つ、ミステリではないのですが、以前から読んでみたかった本。



瀬戸内寂聴の小説を読んだのは初めてなのですが、こんなに面白かったとは!
勢いで続編の「諧調は偽りなり」や、やはり評伝小説の「かの子繚乱」も読んでみましたが、うーん、やはり「美は乱調にあり」が最高です。

乱歩&横溝

すでに本が出るたびに記事にしていますが、乱歩・横溝も当たり年でした。横溝正史は年明けには単行本未刊行小説である「雪割草」が戎光祥出版から出ると発表されており、楽しみです。

江戸川乱歩と横溝正史
中川 右介
集英社
2017-10-26

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新訳

ミステリや文学の新訳も引き続きいろいろ出ています。筆者はこれまで、海外小説はあまり読まずに過ごしてきたので、新訳が出たタイミングでボチボチ読むようにしています。

アメリカ銃の謎【新訳版】 (創元推理文庫)
エラリー・クイーン
東京創元社
2017-07-12


絞首台の謎【新訳版】 (創元推理文庫)
ジョン・ディクスン・カー
東京創元社
2017-10-29


動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル
早川書房
2017-01-07

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オリヴァー・ツイスト (新潮文庫)
チャールズ ディケンズ
新潮社
2017-04-28


というわけで、なるべく顔を上げて未来志向で行きたいけれど、どうしても過去ばかり振り返ってしまう当ブログを、今年もよろしくお願いします。


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