201709水滸伝130

前回の記事に書いたとおり、「水滸伝」新訳刊行にあわせ毎月一冊ずつ読んでいるわけですが、登場人物があまりに多すぎて人間関係を覚えきれないので、備忘録をつけていきたいと思います。
興味のない方には何の価値もないコーナーですが、同じく「水滸伝」を読んでいる最中の方には便利なものになるのでは、と思います。
基本的には、一回ごとに登場する人物名、および簡単な人物関係とその回のあらすじです。赤字は百八星の初登場回です。5回ごとに記事をわけて連載していきます。

第一回 張天師祈禳瘟疫 洪太尉誤走妖魔

登場人物: 洪信
あらすじ: 天下の災厄を祓い清める天師を迎えるため龍虎山へ登った洪信は、そこで誤って伏魔之殿の封印を剥がしてしまい、妖魔を逃してしまう。

第二回 王教頭私走延安府 九紋龍大閙史家村

登場人物: 高?、王進、史進、朱武、陳達、楊春
あらすじ: 遊び人の高?は、蹴鞠の腕前を買われ、トントン拍子で出世し、殿師府大尉(近衛部隊の大将)に取り立てられる。殿師府教頭の王進は、高?が父の王昇を恨んでいることを知っていたため、命の危険を感じて逃げ出し、延安府を目指す。旅の途中、とある屋敷で泊めてもらうことになる。王進はこの屋敷の息子・史進に武芸を仕込むことになり、しばらく滞在して鍛える。王進が去って半年も経たないうちに史進は家督を継ぐことになるが、少華山の頂きに山賊が砦を築いていることを聞く。山賊は朱武、陳達、楊春の三人で、役所も捕まえられず、三千貫の懸賞をかけていた。一方、山賊たちは食料調達のために山を降りることを考えるが、史進の豪傑ぶりを噂に聞き、襲撃をためらう。陳達一人が、あとの二人の制止を聞かずに史進の屋敷へ攻撃を仕掛け、捕まってしまう。朱武と楊春は一計を案じ、二人揃って史進を訪ね、「陳達とは三人で義兄弟の契りを結び、一緒に死のうと誓いあっている。陳達が捕まったからには、我ら二人も共に役所へ突き出してほしい」と涙ながらに訴えた。史進は義に厚い二人を捕縛することができず、陳達ともども解放する。その後、史進と山賊三人のあいだには交流が生まれることになる。ところが、この交流が役所に知られるところとなってしまい、史進の邸宅で集まって酒盛りしているところを、役所の軍勢が取り囲んでしまう。

第三回 史大郎夜走華陰県 魯提轄拳打鎮関西

登場人物: 史進、魯達(魯智深)、李忠
あらすじ: 史進は屋敷に火を放つと、朱武、陳達、楊春と共に包囲を突破して逃げ出した。史進は師匠の王教頭を頼って延安府を目指すことにし、山賊に別れを告げる。山賊たちは砦へ戻っていった。史進は旅の途中、休憩した茶店で隊長の魯達(のちの魯智深)と知り合う。史進と魯達とが飲み屋を探しながら街を歩いていると、史進の昔の師匠、李忠と出会い、三人で飲むことにする。酒楼へ入ると、隣室から泣き声が聞こえる。事情を尋ねると、この父娘(金じいさんとその娘)は肉屋の鄭からひどい目に遭っているとわかった。魯達は金父娘に旅費を渡して逃がすことにし、翌朝、肉屋の鄭を訪ねる。そして鄭に無茶な注文をつけからかった挙句、殴り殺してしまう。魯達はそのまま街から逃げ出す。逃亡先の町で、高札があがり、人々が群がっているのを見かける。人垣の中へ潜り込んでいくと、突然、魯達の袖を引く者が現れる。

第四回 趙員外重修文殊院 魯智深大閙五台山

登場人物: 魯達(魯智深)
あらすじ: 魯達の袖を引いたのは、酒楼で助けた金じいさんだった。金は、自分のせいでお尋ね者になった魯達が自身の手配書を眺めているところに出くわしたため、匿うことにした。金じいさんの娘婿・趙員外の紹介で、魯達は身を隠すために五台山に登り、和尚となって、魯智深と名乗る。魯智深は仏門のことなど何も知らず、寺では騒動を巻き起こす。ある日、酔って仁王やあずまやを叩き壊してしまったため、とうとう五台山から追放されてしまう。

第五回 小覇王酔入銷金帳 花和尚大閙桃花村

登場人物: 魯智深、李忠、周通
あらすじ: 五台山の長老の弟弟子が住職をしている東京の大相国寺へ行くことになった魯智深。注文していた、特注の禅杖と戒刀が出来上がるのを待って旅に出た。途中、劉太公の屋敷で宿を借りる。屋敷全体が騒然としているため、どうしたのかと尋ねると、桃花山の山賊が太公の娘を娶るため、夜に屋敷を訪れることになっているという。魯智深は「自分が山賊を改心させる」と約束し、娘の部屋に隠れて待ち構える。そして、何も知らずに入ってきた山賊に、説教はせず殴りかかった。その後、山へ逃げ帰っていった山賊の兄貴分が劉太公の屋敷を襲撃する。立ちふさがった魯智深を見た山賊はカラカラと笑う。見れば、なんと李忠だった。魯智深に殴られた山賊は周通といい、李忠とやりあって打ち負かされ、弟分になっていたのだった。魯智深は劉太公の娘から手を引くことを約束させる。魯智深が旅立つことになると、李忠と周通は餞別を渡すため、桃花山の麓を通りかかった行列を襲うことにする。それを聞いた魯智深は呆れ、山賊の砦にあった金銀の酒器を潰して自分の荷物へ縛りつけると、山の裏を転げ落ちて立ち去った。李忠と周通の二人はその後も桃花山で山賊稼業を続けた。

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