201909sciencefictiondoublefeature

1年以上も前に「science fiction double feature~筋肉少女帯 Live & PV-clips~」がDVDになっていたことに今ごろ気づきました。
いや、むちゃくちゃ懐かしいですね、これは。

VHSが発売されたのが1998年。
DVDの販売情報を見ると、あちこちに「VHSの発売は1997年」などと書かれていますが、ライブそのものが1997年12月なんで、年内にビデオ発売なんて無理です。
収録されているのは「最後の聖戦ツアー…その後は養蜂と読書の日々 at 赤坂BLITZ '97 12.18」。
というわけで、1997年のアルバム「最後の聖戦」発売記念のライブツアーなのです。

個人的には、筋肉少女帯のライブビデオで一番好きなのがこの一本です。
まずタイトルがすごいね。
「science fiction double feature」⇒「SF映画2本立て」という意味ですが、これはカルト映画として名高い「ロッキー・ホラー・ショー」のオープニングを飾る楽曲のタイトルです。
「最後の聖戦」というアルバムは全体的にホームズネタが散りばめられていたのですが、「その後は養蜂と読書の日々」とは、探偵業を引退後のホームズを指しています。
タイトルからしてネタだらけで、わかる人だけわかればよい、という姿勢です。

とはいえ、「最後の聖戦」「養蜂と読書」というキーワードから、「あれ? 筋肉少女帯って解散する気?」と気づいても良さそうなものだったんですが、当時は全っ然、何も気にしていませんでした。
それどころか、「最後の聖戦」というアルバムの出来が良すぎたんですよね。
こんなに勢いのある演奏をするバンドが、内部でギクシャクしていたなんて、思いもよりませんでした。
当時はインターネットも黎明期であり、ファン同士で情報交換などということもなかったため、単純にアルバムを聴いて、たまにラジオやテレビで見かけて、という程度で、何も情報など持っていなかったわけです。
このあと活動休止となって初めて、「ああ、あのタイトルは!」と思いがいたり、考えてみれば「最後の聖戦」の内容は、バンドの末期を示唆する内容だらけだったな、と気づいたという次第です。(もう十分に君は苦しんだ、とか)

それはともかく、この「最後の聖戦」を引っさげてのツアーを収録したこのビデオは、本当に何度見返したことか。
「タチムカウ」「221B戦記」「小さな恋のメロディ」などこの時期の傑作を連打、さらにライブで定番の「サンフランシスコ」「釈迦」と、盛り上がりっぱなしの内容。
筆者は「きらめき」という、筋少にしてはあまりに爽やかで、しかし歌詞はやはりオーケンらしい曲が大好きなのですが、この曲も演奏していて、すごく嬉しくなったものです。
デビュー当初のビデオは音・映像・演奏のいずれにも難があるように感じていましたが、このビデオによってようやく決定版のライブビデオが出たな、と感じたものでした。
とにかく全てがかっこいい。
筋肉少女帯の再始動後は、大量にライブDVDが出ていて、まるで追いかけられていない状況ですが、やはり若い頃に初期の楽曲ばかり頭に刷り込まれてしまった身としては、ここ数年のDVDよりは、この「science fiction double feature」の方が心の底から楽しいなあと思えるのです。

というわけで、最近はあまりチェックしていなかったため、1年以上も経って今更の言及となりましたが、再始動後の筋少しか知らない若い方は、ぜひこの機会に聴いてみてください。
しかし、若いファンなんているんかいな。
職場の後輩、というよりも、もはや部下というべき20代の社員に「江戸川乱歩とドグラ・マグラが好き」という、筋肉少女帯のお客さんにうってつけの女性がいたため、当然知っていると思って話を振ったところ「えーっ?なんですか、それ。知らないです!」と走って逃げられたという苦い経験がありますが、それがもう4~5年前のことか。


science fiction double feature~筋肉少女帯 Live & PV-clips~ [DVD]
筋肉少女帯
ユニバーサル ミュージック
2018-06-20