ミステリ作家と言ってもミステリばかり書いているわけではなく、多彩な活動をしている作家も多くいますが、ときどき実に意外な著書に出くわすことがあります。
これまでに発見したそんな本をいくつかご紹介します。
中でもちょっと意外な活動は、占いの本の執筆や児童書の翻訳でしょう。いずれも高木彬光ファンにはよく知られていますが、一般的には知らない方も多いと思いますので、一端をご紹介します。
占いに関する著書は多く、このような著作集も出ています。このシリーズは比較的最近まとめられたものですが、すでに品切れしているようです。
占いの本で今も入手しやすい本としては、次のようなものがあります。易学者の生涯を描いた歴史小説です。
児童書の翻訳としては、昔、偕成社の児童文学全集に「高木彬光訳」のものがたくさん収録されていました。
「フランケンシュタイン」のほかに「ロンドン塔」「鉄仮面」「西遊記」などを高木彬光が担当しています。筆者は子どもころ、このシリーズを何冊か買ってもらっていたのですが、高木彬光の巻は子どもにはあまり馴染みのない作品が並んでいることもあり、残念ながら一冊も持っていませんでした。巻末のリストをよく眺めていてそこで初めて「高木彬光」という名を覚え、のちに人気ミステリ作家だと知ったのでした。
筆者は15年くらい前に、たまたま本屋でこの本を見かけたことがあります。
その時はまさ海野十三の著書は思わず、「佐野昌一? 海野十三の本名と同姓同名だな」と思っただけで、手にとることすらしませんでした。
しかし、家へ帰ってから気になって調べてみたところ、なんとやはり海野十三本人の著書ではありませんか。
こんな珍しい本は買っておこうと、改めてその本屋へ行ってみると、なんとその間に売れてしまっており、買い損ねました。出版元でもすでに品切れしており、そのまま手に入れることができなくなってしまったのでした。
とはいえ、買っていたところでパズルには全然興味が無いので、問題を解くことはなかったと思いますが……。
急に現代の作家になりますが、池井戸潤はもともと銀行マンであり、デビュー前からビジネス書を何冊か執筆していました。もしかするとビジネス書読者のあいだでは「ビジネス書からミステリへ転身」と認識している人もいるかもしれません。
作家デビュー後もビジネス書や銀行業務についての実務書をいくつか書いています。
ここに挙げた本は、これは完全に実務書で銀行員以外は読まないタイプの本です。池井戸潤が大流行作家になっても、この辺の本を池井戸潤の著書の一冊として売り出している本屋は見たことがありません。
この本も、笠井潔の読者にはあまり珍しくないかもしれませんが、スキーについてのエッセイです。
笠井潔のスキー好きはよく知られており、スキー探偵というものまで書いているくらいです。
筆者もスキーは大好きなので、この本はかなり何度も読み返しました。もしかすると笠井潔の著書の中で最も好きな本かもしれません。
最後は島田荘司を。
これもファンにはよく知られているのですが、島田荘司は車マニアで車に関する著書もいくつか出しています。その中でもこの本は極めつけにマイナーな存在でしょう。
筆者は一時期まで、島田荘司の著書は何もかも一つ残らず購入して読んでおり、その頃はインターネットなどもなかったため、どこの本屋へ入るときでも、必ず島田荘司のコーナーを覗いて新刊が出ていないかどうかを確認していました。
それくらい頑張ってチェックした筆者も、この本の存在には数ヶ月気づきませんでした。
しかも気づいたのは、たまたま行きつけの本屋にパソコンの検索機が新たに設置され、当時は客が使える端末というものが珍しかったため、何気なく「島田荘司」を検索したところヒットしてきたのです。
慌てて取り寄せを依頼しました。
内容的には、ミステリのミの字もない、完全なる車の本で、たぶんどこの本屋もミステリコーナーではなく、車のコーナーに置いていたのでしょう。
というわけで、甚だ簡単ですが、ミステリ作家が書いたちょっと意外な著書を並べてみました。
また何か思いついたら追記します。
これまでに発見したそんな本をいくつかご紹介します。
高木彬光
高木彬光は戦後本格ミステリの第一人者として知られていますが、一方でも時代小説も量産していたりと、非常に幅広い作品を発表しています。中でもちょっと意外な活動は、占いの本の執筆や児童書の翻訳でしょう。いずれも高木彬光ファンにはよく知られていますが、一般的には知らない方も多いと思いますので、一端をご紹介します。
占いに関する著書は多く、このような著作集も出ています。このシリーズは比較的最近まとめられたものですが、すでに品切れしているようです。
占いの本で今も入手しやすい本としては、次のようなものがあります。易学者の生涯を描いた歴史小説です。
児童書の翻訳としては、昔、偕成社の児童文学全集に「高木彬光訳」のものがたくさん収録されていました。
「フランケンシュタイン」のほかに「ロンドン塔」「鉄仮面」「西遊記」などを高木彬光が担当しています。筆者は子どもころ、このシリーズを何冊か買ってもらっていたのですが、高木彬光の巻は子どもにはあまり馴染みのない作品が並んでいることもあり、残念ながら一冊も持っていませんでした。巻末のリストをよく眺めていてそこで初めて「高木彬光」という名を覚え、のちに人気ミステリ作家だと知ったのでした。
海野十三
海野十三は本名である佐野昌一名義でこのような本を出しています。戦後も何度か版を改めて発行されていたようです。筆者は15年くらい前に、たまたま本屋でこの本を見かけたことがあります。
その時はまさ海野十三の著書は思わず、「佐野昌一? 海野十三の本名と同姓同名だな」と思っただけで、手にとることすらしませんでした。
しかし、家へ帰ってから気になって調べてみたところ、なんとやはり海野十三本人の著書ではありませんか。
こんな珍しい本は買っておこうと、改めてその本屋へ行ってみると、なんとその間に売れてしまっており、買い損ねました。出版元でもすでに品切れしており、そのまま手に入れることができなくなってしまったのでした。
とはいえ、買っていたところでパズルには全然興味が無いので、問題を解くことはなかったと思いますが……。
池井戸潤
急に現代の作家になりますが、池井戸潤はもともと銀行マンであり、デビュー前からビジネス書を何冊か執筆していました。もしかするとビジネス書読者のあいだでは「ビジネス書からミステリへ転身」と認識している人もいるかもしれません。
作家デビュー後もビジネス書や銀行業務についての実務書をいくつか書いています。
ここに挙げた本は、これは完全に実務書で銀行員以外は読まないタイプの本です。池井戸潤が大流行作家になっても、この辺の本を池井戸潤の著書の一冊として売り出している本屋は見たことがありません。
笠井潔
この本も、笠井潔の読者にはあまり珍しくないかもしれませんが、スキーについてのエッセイです。
笠井潔のスキー好きはよく知られており、スキー探偵というものまで書いているくらいです。
筆者もスキーは大好きなので、この本はかなり何度も読み返しました。もしかすると笠井潔の著書の中で最も好きな本かもしれません。
島田荘司
最後は島田荘司を。
これもファンにはよく知られているのですが、島田荘司は車マニアで車に関する著書もいくつか出しています。その中でもこの本は極めつけにマイナーな存在でしょう。
筆者は一時期まで、島田荘司の著書は何もかも一つ残らず購入して読んでおり、その頃はインターネットなどもなかったため、どこの本屋へ入るときでも、必ず島田荘司のコーナーを覗いて新刊が出ていないかどうかを確認していました。
それくらい頑張ってチェックした筆者も、この本の存在には数ヶ月気づきませんでした。
しかも気づいたのは、たまたま行きつけの本屋にパソコンの検索機が新たに設置され、当時は客が使える端末というものが珍しかったため、何気なく「島田荘司」を検索したところヒットしてきたのです。
慌てて取り寄せを依頼しました。
内容的には、ミステリのミの字もない、完全なる車の本で、たぶんどこの本屋もミステリコーナーではなく、車のコーナーに置いていたのでしょう。
というわけで、甚だ簡単ですが、ミステリ作家が書いたちょっと意外な著書を並べてみました。
また何か思いついたら追記します。