20170110キラキラと輝くもの019

筋少アルバムの元ネタ探し第2弾。今回は「キラキラと輝くもの」です。
このアルバムは「人を救おうとして歌っているが、つらい」というのがテーマです。
同じタイトルの短編小説が『くるぐる少女』に収録されていますが、内容的につながりはありません。

ジャケットは高橋葉介のイラストです。このイラストは描き下ろしではなく、江戸川乱歩『パノラマ島奇談』の角川文庫版表紙絵と描かれたものです。角川文庫の乱歩作品は、70年代に宮田雅之の切り絵を表紙に使って刊行された後、87年頃に表紙絵と口絵を高橋葉介に入れ替えた新装版が出ています。これはそのバージョンです。筆者としては、あまり乱歩的な印象を受けないのですが、大槻ケンヂはこれがことのほかお気に入りのようで、アルバムタイトルのフォントも『パノラマ島奇談』の表紙で使われたフォントに揃えている凝りようです。
また、高橋葉介は後に『くるぐる少女』の角川文庫版表紙絵も提供しています。
20170110角川文庫


1.冬の風鈴

【スティーブ・マックイーンが氷に閉じ込めたアメーバみたいなドロっとした心だ】
映画「マックイーンの絶対の危機(人喰いアメーバの恐怖)」に登場する宇宙生物「blob」のこと。北極の氷で凍結されました。赤黒くドロっとしています。
【サーチライト】
5曲目「サーチライト」につながります。
【行くぞ9番】
詩集『花火』の解説で、映画「太陽を盗んだ男」の菅原文太のセリフが元ネタと明かされています。筆者はそれを読むまで、迂闊にも全然気づいていませんでした。
この映画は沢田研二演じる若い高校教師が原爆を手作りし、政府を脅迫するという物語です。当時、原爆保有国は8ヶ国であったことから、主人公は9番目の原爆保有者ということで「9番」と名乗ります。菅原文太はこの犯人を追う刑事で、いよいよ追い詰め、格闘のあげく共にビルから落下する際に「行くぞ、9番」と叫びます。
歌詞とは内容的につながりはなく、単純にかっこいい掛け声として使っているように感じます。

2.小さな恋のメロディ

映画「小さな恋のメロディ」から。幼い男女二人の恋を描いた映画ですが、こんなに凄絶な話でありません。しかし、聴き込んでいると、映画の本質が見えてくるというか、まあいろいろな面で大変な名曲だと思います。(解説になっていない)

3.機械

マッドサイエンティストを描いたこれまた名曲。個人的には筋少のベスト。
歌詞カードには載っていませんが、間奏で歴代マッドサイエンティストの名前を読み上げています。しかし、曲が激しすぎて、筆者に聞き取れるのは最初の「ニコラ・テスラ」と最後の「コナン・ドイル」くらいです。
コナン・ドイルはホームズの作者ですが、心霊研究にも凝っており、晩年には「コティングリー妖精事件」にも関係しています。

4.僕の歌を総て君にやる

つらい鬱状態を歌ったもの。
【薬は常備三種類】
『花火』によれば、レンドルミンとラナックスとレキソタンとのことです。
【夜間飛行】
サン・テグジュベリの小説「夜間飛行」からの連想と思われます。サン・テグジュベリは「星の王子さま」の作者で、オーケンの歌詞に頻出します。

5.サーチライト

アルバムのテーマ曲。
【やあ!詩人】
自身の作詞を揶揄しているもの。
【中也のパクリ】
初期の筋少は中原中也の詩からの引用が非常に多かった。
【カリブロ】
この曲の登場人物として生み出された架空の詩人。(『花火』より)
【風鈴】
1曲目および10曲目からの連想。

7.ザジ、あんまり殺しちゃダメだよ

【ミッキー・フィン】
T-Rexのマーク・ボランじゃない方。(「花火」より)


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