今回は少年探偵団シリーズの話です。

乱歩といえば怪人二十面相、ということで、大人向けの小説ではなく少年探偵団シリーズを読んでみようという方もいらっしゃるでしょう。
少年探偵団シリーズは、ここ数十年はポプラ社が独占的に刊行してきましたが、2015年に乱歩の死後50年経って著作権が切れたことにより、新潮文庫などからも刊行が始まっています。
とはいえ、少年探偵団シリーズのほぼ全てを読めるのはポプラ社のみです。(光文社文庫の全集にも収録されていますが、これについては、また別の機会にご紹介します)

さて、というわけで少年探偵団シリーズを読むならポプラ社、というわけですが、ポプラ社では現在3つのバージョンが出ています。
1.少年探偵・江戸川乱歩
2.文庫版 少年探偵・江戸川乱歩
3.江戸川乱歩・少年探偵シリーズ(ポプラ文庫クラシック)

それぞれの表紙を見てみましょう。

江戸川 乱歩
ポプラ社
1998-10
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ご覧いただくとわかる通り、「1」はハードカバーの単行本、「2」はその児童向け文庫版(B6ソフトカバー)です。

では、「3」のポプラ文庫クラシックとは何でしょう?
この表紙を見て、「懐かしい!」と思われる方も多いかと思いますが、新装版である「1」が出る前の、旧版単行本の表紙絵を使った文庫版シリーズがこちらなのです。
筆者などはこの旧版にドハマリした世代なので、少年探偵団といえばやはりこの表紙だよな、と思ってしまいますが、とはいえ新装版が出てからもそろそろ20年近くになりますので、現在の20代の方は、新装版の方が親しみがあるのかもしれません。
ちなみに、もっと古い世代は光文社から出ていたシリーズで読んでいるため、ポプラ社の旧版でも違和感があるそうです。北村薫が辻村深月との対談の中で「小林くんが髪を伸ばしているのは受け入れられない」という発言をしていて(「ユリイカ」2015年8月号)、驚くとともに、非常に納得しました。

というわけで、少年探偵団シリーズをひと通り読みたいという場合、子どもであれば「1」か「2」、大人の方は「3」で読んでいけばよいかと思います。

ところで、ポプラ社旧版の「少年探偵」シリーズを図書室で読んでいた方たちは、現在の各シリーズを見て、「あれ? 時計塔の秘密は? 黒い魔女は?」と首を傾げるかもしれません。
そう、現在は旧版での後半の巻が全て絶版となっているのです。
旧版での「黄金仮面」以降の巻は、大人向け小説を子ども向けにリライトしたものですが、全て乱歩以外の作家による代作でした。
だから、なのか、ほかに事情があるのかわかりませんが、現在は前半の少年探偵団シリーズのみが刊行されています。後半は古本屋を探すか、物持ちの良い図書館で借りるしかありません。

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