備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

NHK大河ドラマ原作紹介 平成17年~平成21年

大河ドラマ原作紹介、今回で最終回です。
というのは、「天地人」を最後に、ずっとオリジナル脚本の大河ドラマが続いているのです。今回ご紹介する5年間は、ここ最近ではまれな、原作ありのドラマが続いた時期でした。

第44作 義経 2005年(平成17年)

原作:宮尾登美子『宮尾本 平家物語』
週刊朝日に連載された「宮尾本 平家物語」が原作となっています。個人的には文章が読みづらく感じられ、チャレンジしていませんが、人気はあり、朝日文庫と文春文庫の2種類刊行されており、どちらもまだ現役です。
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第45作 功名が辻 2006年(平成18年)

原作:司馬遼太郎『功名が辻』
司馬遼太郎、6度目の大河ドラマ化です。原作は司馬遼太郎の人気作の一つであり、ずっと読み継がれています。
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第46作 風林火山 2007年(平成19年)

原作:井上靖『風林火山』
初の井上靖原作の大河ドラマです。「風林火山」は昭和30年に発表された、井上靖の初期作品です。三船敏郎主演で映画化されたこともあります。
大河ドラマの原作としては最も短いと思われる小説で、ドラマはほぼオリジナルストーリーが展開します。
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第47作 篤姫 2008年(平成20年)

原作:宮尾登美子『天璋院篤姫』
「義経」に続き、宮尾登美子原作2作目です。この原作は、非常によく売れました。
個人的には、どこが面白いのかよくわからなかったのですが、ドラマもかなり人気があり、高視聴率が話題になりました。
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第48作 天地人 2009年(平成21年)

原作:火坂雅志『天地人』
火坂雅志は、個人的には印象ではやや胡散臭い時代小説を書いている作家という印象があり、大河ドラマ原作に選ばれたのは意外でした。とはいえ、「天地人」の発行元は日本放送出版協会(NHK出版)でしたので、もともとドラマの原作用に執筆したものなのかもしれません。ドラマ化の3年前に発表されているので、その辺がよくわかりません。
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NHK大河ドラマ原作紹介 平成10年~平成16年

割りと記憶に新しい年代になってきましたが、原作なしが多くなってきます。

第37作 徳川慶喜 1998年(平成10年)

原作:司馬遼太郎『最後の将軍 徳川慶喜』
「翔ぶが如く」以来の司馬遼太郎原作ですが、この小説は何冊も続くような大作ではなく一巻本です。このため、原作とは離れたエピソードも多々挿入されたドラマでした。
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第38作 元禄繚乱 1999年(平成11年)

原作:舟橋聖一『新・忠臣蔵』
第一作「花の生涯」以来の舟橋聖一原作です。全8冊もある大作で、放映時には文春文庫に収録されていましたが、現在は品切れとなっており、電子書籍もありません。

第39作 葵 徳川三代 2000年(平成12年)

原作:原作なし

第40作 北条時宗 2001年(平成13年)

原作:高橋克彦『時宗』
高橋克彦の原作は、前回の「炎立つ」と同じく、ドラマ制作と並行して執筆されたものです。
これも人気があり、講談社文庫で今も版を重ねています。
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第41作 利家とまつ 2002年(平成14年)

原作:原作なし

第42作 武蔵 2003年(平成15年)

原作:吉川英治『宮本武蔵』
吉川英治の「宮本武蔵」は、昭和59年にもNHKで「水曜時代劇」として一年かけてドラマ化されました。大河ドラマが現代劇をやっていたあいだ、大河の代わりに時代劇枠を作っていたもので、実質的には大河ドラマのような大作ドラマでした。その時は役所広司が武蔵、古手川裕子がお通と、安定した配役で人気を博しました。
それから約20年経って、あらためて大河ドラマ枠で武蔵をやることになったわけですが、問題の多いドラマでした。
特に第一回の放映では、原作とは離れて「七人の侍」をモロにパクったエピソードを放映し、その後、黒澤プロから裁判を起こされる事態となりました。個人的にも、武蔵が原作だから、と初回を楽しみにしていましたが、呆れて見るのをやめてしまった記憶があります。
というわけで、吉川英治ファンにとっても、大河ドラマファンにとっても、なかったことにしたい一年だったのではないかと思います。(裁判自体は、「春の波涛」事件と同じく原告敗訴となっており、著作権侵害の立証の難しさが改めて示されました)
「宮本武蔵」は改めて紹介するまでもなく、吉川英治の代表作であり、時代小説の代表作でもあります。
著作権が切れているため、あちこちの出版社から文庫が乱発され、電子書籍も激安で大量に出ています。
最もスタンダードな版は、講談社の吉川英治歴史時代文庫版です。
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第43作 新選組! 2004年(平成16年)

原作:原作なし

NHK大河ドラマ原作紹介 平成5年~平成9年

大河ドラマ原作紹介の第7回です。
この時期になると、オリジナルストーリーが目立ち、時代小説の名作を原作にするという従来の伝統は失われてきています。

第31作 琉球の風 1993年(平成5年)

原作:陳舜臣『琉球の風』
琉球が舞台、放映期間が半年、テーマ曲が谷村新司、という異例づくしの一作。原田知世が出演した唯一の大河ドラマという点も、個人的にはポイント。さらに特筆すべきは、大河ドラマ史上初めて乱歩賞作家が原作を執筆しました。
陳舜臣によるその原作は、ドラマにあわせて書かれたものですが、昨年、講談社文庫からは新装版が出ており、今も読まれています。
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第32作 炎立つ 1993年(平成5年)

原作:高橋克彦『炎立つ』
「琉球の風」が半年で終了し、その後、7月から翌年3月にかけて9ヶ月間放映されたのが本作です。
「独眼竜政宗」で一躍人気俳優となった渡辺謙が、白血病で休業を余儀なくされ、復活したのがこのドラマでした。
盛岡在住で東北を舞台にした小説が多い高橋克彦が、ドラマにあわせて原作を執筆しています。2作連続で乱歩賞作家が原作者となったわけですが、当時、世間的には「2作続けて直木賞作家が……」という言われ方をしていたのが、大変な不満だった記憶があります。直木賞作家であれば、海音寺潮五郎、村上元三、新田次郎、司馬遼太郎、杉本苑子、永井路子、宮尾登美子……と、大河ドラマ原作者としては全く珍しくありません。
「炎立つ」は高橋克彦作品の中でも人気作で、ロングセラーとなっています。
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第33作 花の乱 1994年(平成6年)

原作:原作なし

第34作 八代将軍吉宗 1995年(平成7年)

原作:原作なし

第35作 秀吉 1996年(平成8年)

原作:堺屋太一『秀吉』
これも、ドラマにあわせて書かれた原作で、単行本は日本放送出版協会、文庫は文春文庫から出ていましたが、現在は品切れです。

第36作 毛利元就 1997年(平成9年)

原作:永井路子『山霧』
数年ぶりに、もともとあった小説が原作となりました。原作のサブタイトルは「毛利元就の妻」ですが、実質的には毛利元就を描いた小説になっているようです。読んでいないので、よく知りませんが。
大河ドラマ史上、最も地味な原作では?と思われ、歴史小説に詳しい人でも、本作が「毛利元就」の原作だったということがすぐにわかる人はなかなかいません。
とはいえ、原作は永井路子作品として人気があり、何年か前に新装版も出て、今もよく読まれています。
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NHK大河ドラマ原作紹介 昭和63年~平成4年

大河ドラマ原作紹介、第6回です。
今回も原作があるものはロングセラーばかりです。

第26作 武田信玄 1988年(昭和63年)

原作:新田次郎『武田信玄』
新田次郎は山岳小説で有名ですが、甲斐・信濃の地形や気象に精通しており、この「武田信玄」をライフワークと語っています。徹底した取材に基づいて、史料にできる限り忠実な内容を目指したという、記録文学のような趣きの小説となっています。
武田信玄の合戦は、信長や秀吉などとは全く異なります。融通無碍、変幻自在とでも言うべきか、三国志の武将のように、人間の心理を手玉に取った神話のような戦いが続き、驚かされます。
この精神を受け継いだのが、真田昌幸、幸村の親子ではないかという印象があります。昨年の「真田丸」でも、昌幸は最期まで信玄への想いが途切れなかった、と描かれていました。
大河ドラマの「武田信玄」でも、個人的に最も印象に残ったのは、橋爪功が演じていた真田幸隆(昌幸の父)でした。
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第27作 春日局 1989年(昭和64年~平成元年)

原作:原作なし

第28作 翔ぶが如く 1990年(平成2年)

原作:司馬遼太郎『翔ぶが如く』
「花神」以来、13年ぶりの司馬遼太郎原作です。西郷隆盛と大久保利通の友情を描いた原作は全10冊もありますが、物語は明治に入った時期からスタートします。ドラマは幕末編と明治編との二部構成でしたが、原作に沿っているのは後半の明治編のみということになります。
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第29作 太平記 1991年(平成3年)

原作:吉川英治『私本太平記』
吉川英治の原作は、戦後の大作「新・平家物語」につづいて書かれたもので、晩年の作品となります。
新潮文庫が「新・平家物語」を一冊ずつ刊行してくれたのが非常に読みやすかったので、続けて「私本太平記」も出してくれないかな、と待っていますが、その気配はありません。諦めて講談社版で読もうかと考えているところです。
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第30作 信長 1992年(平成4年)

原作:原作なし
原作はありませんが、ルイス・フロイスの視点から描いた信長、という設定のドラマでしたので、強いていえばフロイスが残したとされる「日本史」が原作になるでしょうか。強いていえば、ですが。
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NHK大河ドラマ原作紹介 昭和58年~昭和62年

NHK大河ドラマ原作紹介の第5回です。超大作の原作が並びます。
この時期は3年続けて現代劇が放映されました。筆者は小学生の頃、両親に付き合って見ていましたが、「いのち」は子どもには退屈で退屈で……という記憶しかありません。時代劇が復活した翌年の「独眼竜政宗」が、大河ドラマ史上最高の視聴率を記録したのもむべなるかな。
一方、太平洋戦争を描いた「山河燃ゆ」は未だにテーマ曲を聞くと体が熱くなるくらい、大好きでしたが。

第21作 徳川家康 1983年(昭和58年)

原作:山岡荘八『徳川家康』
割と厚めの文庫で全26冊もあり、Wikipediaによれば、世界で最も長い小説としてギネスブックにも登録されているという山岡荘八のロングセラーが原作です。筆者は読んでいませんが、死ぬまでには挑戦したいとずっと思っています(しかし、これを読む時間を使って、ほかにどれだけ本が読めるのだ、ということを考えるとなかなか踏み切れません)。
筆者が大河ドラマを見始めたのはこれが最初でした。

第22作 山河燃ゆ 1984年(昭和59年)

原作:山崎豊子『二つの祖国』
山崎豊子の「二つの祖国」を原作とした、大河ドラマ現代編第一弾です。松本幸四郎、沢田研二、柴田恭兵と、かっこいいおじさんがたくさん出てくるので、小学生だった筆者は夢中で見ていました。存命中だった昭和天皇が登場する回では、我が家のお茶の間が騒然となった記憶があります。
原作は、山崎豊子の代表作の一つとして現在ももちろん版を重ねています。
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第23作 春の波涛 1985年(昭和60年)

原作:杉本苑子『冥府回廊』『マダム貞奴』
明治の開化期を舞台に、川上貞奴、川上音二郎、福沢桃介らの青春劇。
杉本苑子による原作はいずれも絶版で電子書籍もありません。この原作以上に有名なのは、別の作家が自著の記述から盗用していると裁判になった著作権侵害事件(いわゆる「春の波涛」事件)です。
ずっとDVD化されなかったため、この事件によって封印されているのかと思っていましたが、来月(2017年2月)にDVDが発売されるとのことです。
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また、「春の波涛」事件については、こちらの本で詳しい経緯を知ることができます。
〈盗作〉の文学史
栗原 裕一郎
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第24作 いのち 1986年(昭和61年)

原作:原作なし

第25作 独眼竜政宗 1987年(昭和62年)

原作:山岡荘八『伊達政宗』
久しぶりの時代劇ということもあってか、大河ドラマ史上最高視聴率を記録したドラマです。本編が始まる前に解説コーナーが挿入されたり、子役が人気者になったりと、現在の大河ドラマのフォーマットがスタートした作品でもあります。
原作は山岡荘八の「伊達政宗」。小学生だった筆者は、ドラマを見つつ原作にも挑戦してみましたが、
・全く原作に忠実ではない。(ドラマの方が遥かに面白い)
・小学生には意味のわからない色っぽいシーンが多い。
という理由で、全8冊中2冊くらいでやめてしまいました。
同時に、あかね書房から出ていた子ども向けの伝記シリーズでも「伊達政宗」を読みましたが、こちらの方は「あれ?」と思うくらい、ドラマと全く同じ内容でした。まあ、ドラマにあわせて出された本のようなので、今考えればそうなるのは当然かもしれませんが。
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あかね書房
1981-05-30
(こちらは図書館の児童図書コーナーで、今もよく見かけます)
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profile

筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
ブログ更新通知:https://twitter.com/squibbon19

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