備忘の都

40年間の読書で得た偏った知識をツギハギしながら、偏った記事をまとめています。同好の士の参考に。

横溝正史エッセイ集 その3『横溝正史の世界』

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横溝正史エッセイ集第3弾となる本書は、1976年に単行本として発行されました。
本書の特徴は、対談がたくさん含まれている点です。昭和24年の乱歩との対談、昭和51年の都筑道夫との対談など、その顔合わせだけでミステリファンには感動的です。
乱歩は作家同士の付き合い以前に、編集者と作家という関係があり、また長年の友人でもあるため、なかなか作品を書かない乱歩に対する横溝正史の容赦ない突っ込みが見どころです。
都筑道夫は評論家でもあるので、後輩として、また一ファンとして横溝正史に対する敬意を示しつつ、的確な質問を繰り出しており、これもまた興味深い内容です。
巻末には、「幻影城」増刊「横溝正史の世界」に掲載された「続桜日記」「書かでもの記」が収録されています。「書かでもの記」は幼少期の生い立ちを綴った内容なのですが、探偵小説関係のエピソードはほとんどなく、育った家庭の複雑な人間関係について書かれています。
横溝ミステリの特色の一つは、「血の系譜」を巡る抗争であり、そこには生い立ちが影を落としているというのはよく言われることですが、そのあたりを自身で語っています。

目次は以下のとおりです。

エッセイ ちかごろ想うこと
 七十三翁の執念
 七十三歳の抵抗
 善き哉、プロ野球
 「パノラマ島奇譚」と「陰獣」が出来る話
 私たちの結婚式
 本格探偵小説への転機
 「本陣殺人事件」封切を前にして
 「本陣殺人事件」映画化
 奪われた旅の愉しみ
 私の一九七五年
 クリスティと私
 甦る青春の日々
 書かでもの記
 無題

小説 私の好きな自作
 ネクタイ綺譚
―ナンセンス時代
 蔵の中
―耽美・ロマン派時代
 蜃気楼島の情熱
―本格時代

対談 愉しき哉、探偵小説
 探偵小説の阿修羅として VS大西赤人
 野球 このスリルとミステリィ VS佐野洋・有馬頼義
 「探偵小説」対談会 VS江戸川乱歩
 歌手が来りて推理小説を語る VS大橋国一
 金田一耕助VSコロンボ VS石上三登志
 われら華麗なる探偵貴族 VS都筑道夫

日記 私の闘いの記録
 続桜日記 昭和二十二年度

年譜
横溝正史の人と作品 中島河太郎
あとがき

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横溝正史エッセイ集 その2『探偵小説昔話』

20170527探偵小説昔話080

前回の「探偵小説五十年」に続き、「探偵小説昔話」のご紹介です。

これは、講談社から1974年から刊行された「新版横溝正史全集」の第18巻として刊行されたものです。
1972年に初のエッセイ集である「探偵小説五十年」が刊行されたばかりでしたが、にわかに世間の注目が集まり、エッセイを発表する機会が増えたため、前著で収録から漏れたものを加えて、直近のエッセイで構成した一冊です。

収録エッセイは以下のとおりです。

探偵小説昔話
 1 森下雨村と「樽」
 2 乱歩と稚児の草紙
 3 甲賀三郎と電話
 4 大下宇陀児と青酸加里
 5 海野十三と敗戦日記
 6 浜尾四郎と春本
 7 小栗虫太郎とピンチヒッター
 8 木々高太郎と人生二回結婚説
 9 一杯亭主人の憂うつ
槿槿先生夢物語
続槿槿先生夢物語
探偵小説闇黒時代
あとがき集
 「本陣殺人事件」
 「蝶々殺人事件」
 「獄門島」
 「悪魔が来りて笛を吹く」
真言秘密の自分の道楽
大阪の友人・藤沢桓夫君
まあちゃんのお婿さん
誤植奇談
屍体を匿す
エラリー・クィーン氏、雑誌の廃刊を三ヵ月おくらせること
余暇善用
山荘無精記
ノンキな話
初対面の乱歩さん
西田さんご兄弟のこと
好敵手甲賀・大下
不如丘と不木
啓蟄記
傷ましき母
本格探偵小説への転機
四半世紀ゆめうつつ
私の衆道趣味
蟇とともに
金硫黄奇談
ご趣向本意
しかも私は飲む
一杯亭綺言
むささび悲歌
「国定忠治」の思い出
年寄りの冷や水
探偵作家の嘆き
黒岩涙香を読む
山荘愚談
贋作楢山節考
淋しさの極みに立ちて
鬼の大罪
お目出度き男
わが町・わが本
八つ当りの記
しずごころなく
「パノラマ島奇譚」と「陰獣」が出来る話
対談
 金田一耕助VSコロンボ警部――石上三登志
 歌手が来りて推理小説を語る――大橋国一
桜日記
桜日記に寄せて
年譜・目録――中島河太郎編
 年譜
 執筆作品目録
解説 中島河太郎

表題の「探偵小説昔話」は1972年から朝日新聞に連載されたもので、戦前戦後の同時代作家の思い出を綴っています。山藤章二のイラスト付き。
「桜日記」は「本陣殺人事件」「蝶々殺人事件」を並行して執筆した時期の誠に興味深い日記です。金田一耕助がこの世に誕生した日もわかります。
エッセイを読んでいると全体的に「真説金田一耕助」の記述を重複している内容が多いのですが、本書の刊行と「真説金田一耕助」の執筆の時期が重なっていますので、「探偵小説昔話」収録のエッセイをを参照しながら「真説金田一耕助」を書いたのでは、と推測しています。

また、巻末の中島河太郎による目録は、小説だけでなくエッセイなども対象としたもので、完全な内容ではないと但し書きはついているものの、今に至るもなかなか貴重な資料です。

なお、本書は初版が刊行されたのみですが、刷り部数が多かったのか、比較的に容易に入手できます。また、現在は電子書籍にもなっていますので、さらに簡単に読むことができるようになりました。

探偵小説昔話
横溝正史
講談社
2014-08-29


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横溝正史エッセイ集 その1『探偵小説五十年』

20170526探偵小説五十年079

横溝正史は膨大な数の小説を遺していますが、エッセイ集として編まれたものは案外少なく、生前に刊行されたものはわずかに以下のとおりです。

講談社「探偵小説五十年」(1972年)
講談社「探偵小説昔話」(1975年)
徳間書店「横溝正史の世界」(1976年)
毎日新聞社「真説金田一耕助」(1977年)

また没後に刊行されたものとして以下があります。

角川書店「金田一耕助のモノローグ」(1993年)
角川書店「横溝正史自伝的随筆集」(2002年)

このほか、アンソロジーや研究書などにちょこちょことエッセイが収録されることがありますが、一冊まるごと横溝正史のエッセイや対談などで構成された書籍は以上6冊のみとなります。
さらにもう一冊、番外編的な位置づけのものとして

角川書店「横溝正史読本」小林信彦編(1976年)

があります。
これは小林信彦によるインタビュー中心の内容ですが、これを対談とみなせばまあエッセイ集の一つと数えてもよいかと思います。インタビューそのものは、ファンにはかなり興味深い内容です。

上記はいずれも現在は絶版ですが、古本屋や電子書籍などを駆使すればそれほど読むのは難しくありません。それぞれの内容、目次などを順番にご紹介していきます。
第一回目の今回は、第一随筆集である「探偵小説五十年」です。

このタイトルはもちろん、江戸川乱歩の「探偵小説四十年」から借りたものです。
1970年に講談社から「横溝正史全集」全10巻が刊行されましたが、その完結後、1972年に横溝正史の古稀を記念して装丁を揃える形で初めてのエッセイ集として刊行されました。
1972年(昭和47年)というと、角川文庫への横溝正史作品の収録はスタートしていましたが、本格的なブームはまだ始まっていない時期でした。

収録エッセイは以下のとおりです。

途切れ途切れの記
続・途切れ途切れの記
読み本仕立て
文章修行
「二重面相」江戸川乱歩
代作ざんげ
海野十三氏の処女作
惜春賦――渡辺温君の想い出
浜尾さんの思い出
乱歩書簡集
青年角田喜久雄君
片隅の楽園
探偵小説への饑餓
「本陣」「蝶々」の頃のこと
「獄門島」――作者の言葉――
わが小説――「獄門島」――
田園日記
田舎者東京を歩かず
断腸記――海野十三氏追悼――
思いつくまま
十風庵鬼語
幸福とは
私の乗物恐怖症歴
歩き・歩き・歩く
「悪魔の手毬唄」楽屋話
谷崎先生と日本探偵小説
文殻を焚く
日々これ物憂き
白浪始末記
還暦の春や春
賤しき読書家
ものぐさ記
もうかりまっか氏
古きよき時代の親分――森下雨村氏追悼――
木々高太郎氏追悼
作者の幸福
私の推理小説雑感
年譜(中島河太郎編)
編者再言(中島河太郎)


この中で最も読み応えがあるのは冒頭の「途切れ途切れの記」「続途切れ途切れの記」でしょう。
これは、正編は前述の「横溝正史全集」の月報に、続編は同時期に刊行された「定本人形佐七捕物帳全集」の月報に、それぞれ連載された自伝的エッセイです。
作家デビューの経由や、若い頃からの交友歴などが綴られた内容で、戦前の探偵小説が好きな方には非常に興味深い内容です。

また「代作ざんげ」は、その筋では有名なエピソードを綴った文章です。
横溝正史の作品として角川文庫『山名耕作の不思議な生活』に収録されている「犯罪を猟る男」「あ・てる・てえる・ふいるむ」「角男」は、雑誌掲載時に江戸川乱歩名義でした。
乱歩がなかなか新作を書かないため、雑誌の編集に携わっていた横溝正史が自身の作品を乱歩作品として掲載してしまったものなのですが、戦後になって双方から代作であったことを公表したのです。
このうち「あ・てる・てえる・ふいるむ」については、乱歩へ作品執筆を依頼し、旅先まで追いかけて原稿を貰おうしたものの「自信がないから便所へ流してしまった」と言われ、代わりに自身の作を乱歩名義で雑誌掲載したものですが、このときに「便所へ流した」という作品が「押絵と旅する男」の原型だったと言われており、横溝は「穴があったら入りたい」と述懐しています。
(余談ですが、筆者は「あ・てる・てえる・ふいるむ」も大変な傑作だと思っており、これほどの作品をあっさり提供してしまうあたり、乱歩に対する横溝正史の敬意がなみなみならぬものだったことが伺えます)

なお、本書は初版は1972年に箱入りで刊行されましたが、この時の発行部数は6000部だったそうで、現在ではなかなか入手が困難です。
筆者は1976年に刊行された新版を持っていますが、古本屋などでたまに見かけるのはこちらのバージョンばかりです。またこの新版は現在は電子書籍にもなっていますので、読むのは容易です。

探偵小説五十年
横溝正史
講談社
2014-08-29


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気になる新刊『コックリさんの父 中岡俊哉のオカルト人生』

少し先ですが、新潮社からこんな新刊が出るようです。



「コックリさんの父」??というところに若干の違和感を感じますが、やはり80年代の小学生を虜にした心霊写真ブームの立役者といえば、この中岡俊哉大先生でしょう。
本書の内容がどんなものなのか今のところまるでわかりませんが、著者の岡本和明氏は中岡俊哉の息子さんです。

筆者の中では「中岡俊哉=心霊写真」というイメージがあるのですが、小学生時分は極度のビビリだったため、自分で心霊写真集を買ったことはありません。
したがって、中岡俊哉の著書についても正確な書誌を語る立場にないのですが、かつて書店の児童書売場を席巻していた、強烈にうさん臭い本のことはよく覚えています。

今や、児童書売場といえば、子どもの教育を配慮し、正しい人生を歩ませる糧となるものばかりが並んでいます。しかし、昔の児童書はそうとばかりは限りませんでした。
名作全集や図鑑のたぐいは今よりも活発に刊行されていましたし、創作シリーズにも良書がたくさんあったのは確かですが、一方で「バカな子どもをビビらせて、小遣いをだまし取ってやろう」というコンタンが見え見えの企画が売場の一角を占め、しかも、ものすごい勢いで稼いでいたのです。

思えば、いい時代でした。
名作全集のたぐいは完訳とはほど遠い、デタラメな翻訳のオンパレード(最たるものが山中峯太郎のホームズでしょう)。
ダジャレばかりのクイズの本。学研の学年誌は毎号、ノストラダムスの話ばかり掲載して、未来の「ムー」読者を大量生産していました。
そして、極めつけは心霊写真。
岩波書店や福音館書店の児童書がケーキや和菓子とすれば、これらのえげつない本は、いわば駄菓子です。

でもやっぱり、子どもには駄菓子ですよ。
良質で健康によいお菓子ももちろん必要ですが、そればかりでは飽きてきます。
明らかに不健康で、着色料と化学調味料満載のお菓子に対する欲求は猛烈にあります。
そして、駄菓子は食べたらそれでオシマイ。
栄養にもならずに忘れられ、自宅の書棚に並べられることもなくどこかへ消えていきます。
だからこそ、この年になるとノスタルジーを感じてしまいます。
(ただし、前述のとおり、心霊写真の本は、筆者は怖くて買えず、クラスメイトが教室へ持ち込んだものを、横からこっそり覗いていた派です。したがって、中岡俊哉の著書が児童書と分類されていたのかどうか、正確なところはよくわかりません。当時は児童書だけではなく、新書でもたくさんの心霊写真が出ていました)

ところで、80年代の心霊写真ブームが、90年代後半からのJホラーブームを陰で支えていた点も見逃せません。
心霊写真がなぜ怖いのか、ということを考えると、「現実にはありえないものが写っているから」という論理的な説明だけでは充分な理由とはなり得ません。
恐怖を感じさせるためには「この世のものならざる存在」を感じさせる「何か」、理屈を超越した感覚的な「何か」が必要です。
いったい、何なのか?
Jホラーの牽引役となった脚本家・高橋洋はそこに注目し、山岸凉子の漫画における心霊描写などを参考にしつつ、小中千昭の作品から「小中理論」と呼ばれる技法を抽出し、確立していきます。
そして誕生したのが「女優霊」や「リング」なのです。
「小学生が心霊写真を怖がる」という素朴な現象からはじまり、やがて世界に誇るJホラーが誕生したというわけで、ここでは中岡俊哉も殊勲者に列せられて然るべきでしょう。

というわけで、本書の内容は目下のところ、全っ然わからないのですが、刊行されたらチェックしなければ、と思います。
それにしても、新潮社から出るとは。


再販制度ってなに?

本が好きで、その流通現場にも興味のある方なら「再販制度」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
ところが、この言葉を誤解・誤使用して使用している例も見受けられます。

よくあるのが「本は書店から出版社へ返品できる。返品された本を改めて書店へ出荷できることが再販制度だ」というものですが、これは誤使用です。
実はかつて、とある自費出版専門の出版社が、著者募集の広告にこのような説明を入れたこともあります。むろんのこと、出版社がこの言葉の正確な意味を知らないはずはなく、これは意図的に著者を騙そうとしているのでは、ということで問題になったりしました。

では、再販制度とは、何でしょうか?
「再販制度」というのは略称で、正しくは「再販売価格維持制度」です。

書籍以外の商品流通においては、一般的に価格の決定権は小売店が持っています。
メーカー・問屋は、小売店へ商品を販売し、小売店はそれをさらに消費者へ「再販売」します。
この時、「再販売価格(=小売価格)」についてはメーカーや問屋は口出しはできません。
これは業界の慣習でそうなっているわけではなく、独占禁止法によって禁じられているのです。
メーカーや問屋が、小売店での再販売価格を指定したりすると「価格拘束」と言って、新聞沙汰になります。
「メーカー希望小売価格」というものがありながら、お店によって価格がバラバラなのはこのためで、これによって自由な価格競争が生まれ、消費者にとって有利な環境となります。

ところが、独占禁止法の例外により、書籍・雑誌・新聞などについては価格拘束が認められているのです。
このため、書籍は全国一律の価格で流通し、値引きは行われません。
書籍は文化の根幹であり、全国の読者に同じ条件で商品を供給するため、また、文化を維持するためには価格競争がなじまないことなどが理由とされています。

さて、ここでまたよくある誤解の一つが、「本は書店から出版社へ返品できる(=実質的に委託販売)。だから出版社が価格を決められるのだ」ということがあります。
これも誤りで、書店から出版社へ返品できない場合でも、価格拘束はされています。書籍の再販制が認められている理由は上記の通りで、小売店からの返品の可否は全く関係ないからです。

再販制度というのは、独占禁止法の例外によって「認められている」と書きましたが、再販制度に反して本を値引きしても、法律で罰せられることはありません。独占禁止法はあくまで、書籍の価格拘束を認めているだけで、義務付けているわけではないのです。
では、書店を「拘束」しているものは何か?
これは「契約」です。
出版社・取次(本の問屋)・書店は「再販契約」というものを結んでいます。
書店はこの契約を結ばなければ取次と取引をできません。
この中で、お互いに「再販売価格を守る」ということを約束しているのです。
書店は値引きをしない、そのかわり、出版社には他の書店でも値引きをさせない。
このような関係があります。
したがって、この契約は書店が出版社から書籍を買い取る(=返品できない)場合にも適用されており、書店は返品できない本だからといって値引きしたりすると、取次から取引を停止される恐れがあります。

ただし、価格を決定するのは出版社なので、出版社が「この商品は価格拘束しません」と宣言した場合、全国の書店はそれぞれの判断で自由に値引きできます。
書店の商品をよく見ると「定価」「価格」という二種類の表記があります。
「定価」は、価格拘束されている商品です。書店は値引きできません。
「価格」は、価格拘束されていないため、書かれている金額は単なる希望小売価格です。書店は自由に値引きできます。
とはいえ、書店は定価販売を当たり前と考えているため、「価格」と書いてあるだけで値引きすることはまずありません。

ここ最近、ブランドバッグや化粧品などが雑誌の付録となっているのをよく見かけますが、これはこのような書店の特殊な価格事情を利用しているものです。
バッグや化粧品は再販制度が適用されないため、メーカーは価格拘束をできません。しかし、雑誌の「付録」ということにしてしまえば、雑誌は定価販売できるため、価格競争にさらされることなく販売をできます。
しかし、明らかにバッグがメインで冊子がおまけ、という形の商品になると、さすがに定価表示することができなくなります。
それでも、書店で流通させておけば、基本的には値引きされることなく希望小売価格で販売してもらえます。
このような事情で、書店の雑誌売場には「なんで本屋で?」と思うような商品があふれることになっているわけです。書店にとってもまた、通常の雑誌より高価格な新商材はありがたい存在です。

さて、書籍は書籍でも、電子書籍には独占禁止法の例外規定が及ばず、定価販売はできません。
電子書籍の場合には、各ショップによって値段が違ったり、バーゲンがあったり、高還元率のポイントがついたりということがありますが、これはそのような事情によります。
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筆者:squibbon
幼稚園児の頃から40を過ぎた現在に至るまで読書が趣味。学生時代は読書系のサークルに所属し、現在も出版業界の片隅で禄を食んでいます。
好きな作家:江戸川乱歩、横溝正史、都筑道夫、泡坂妻夫、筒井康隆、山田風太郎、吉村昭。好きな音楽:筋肉少女帯、中島みゆき。好きな映画:笠原和夫、黒澤明、野村芳太郎、クエンティン・タランティーノ、ティム・バートン、スティーヴン・スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー。
ブログ更新通知:https://twitter.com/squibbon19

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